内窓の見積もりを取ったら「この窓はふかし枠が必要です」と書かれていて、追加費用の行が増えていた。そもそもふかし枠とは何なのか、本当に必要なのか、分からないまま判断を迫られる方は少なくありません。業者によって「要る」「要らない」の説明が違うと、なおさら迷いますよね。
結論から言うと、ふかし枠は「窓枠の奥行きが、内窓を付けるのに必要な深さより足りない分を継ぎ足す部材」です。従来型の内窓では引違い窓で73mm、FIX窓で55mmの奥行きが目安とされ、これに届かない窓にだけ必要になります。厚みは20mm・40mm・50mm・70mmの4規格で、公表されている価格は20・40・50mmの4方枠で9,900円~47,300円です。
一方で、最近はふかし枠なしで付く薄型の内窓も出てきました。この記事では、奥行きの測り方、規格ごとの費用、薄型内窓という選択肢、DIYで失敗しやすい点まで、売り手の立場に立たずに「自分の窓はどちらか」を判断できる材料として整理します。
・ふかし枠が必要になる窓と、要らない窓の見分け方
・20mm・40mm・50mm・70mmの4規格の選び方と公表価格
・ふかし枠なしで付く薄型内窓のメリットと弱点
・補強・カーテンレール移設など見落としやすい追加費用とDIYの注意点
内窓ふかし枠とは?窓枠の奥行きを「継ぎ足す」部材の正体

ふかし枠は窓枠の奥行きを延長する部材
ふかし枠とは、窓枠の奥行寸法を延長させる部材のことです。内窓そのものではなく、内窓を取り付ける「土台」を室内側へ継ぎ足すためのパーツだと考えると分かりやすいです。
なぜこんな部材があるのかというと、内窓は既存の窓の室内側にある額縁(窓まわりの木枠)にレールを固定して取り付けるからです。レールと障子(ガラスの入った可動部分)を納めるには一定の奥行きが要ります。額縁が浅いと、内窓の枠が室内側にはみ出してしまい、ビスで固定する面が確保できません。そこで額縁の内側に同じ形の枠を足し、取り付けに必要な奥行きを稼ぐわけです。
具体的には、壁が薄めの住宅やマンションのサッシまわりで額縁が浅いケース、既存窓のクレセント錠(鍵)が室内側に出っ張っているケースで必要になりやすい部材です。逆に、額縁に十分な奥行きがある窓なら、ふかし枠はまったく不要です。
見積もりに「ふかし枠」と書かれていたら、まず「どの窓に」「何mmの枠が」付くのかを窓ごとに確認してください。家じゅうの窓に一律で付いている見積もりは、窓ごとの採寸結果を反映しているか質問する価値があります。
なぜ奥行きが足りないと内窓は付かないのか
引違い窓の内窓で奥行きが多く要るのは、障子2枚が前後にすれ違う構造だからです。レールが2本並ぶぶん、FIX窓(開かない窓)よりも厚みが必要になります。LIXILの内窓「インプラス」の場合、従来型で求められる奥行きの目安は引違い窓で73mm、FIX窓で55mmとされています。
この差は、そのまま「レールと障子が前後に並ぶかどうか」の差です。FIX窓は1枚のガラス面を固定するだけなので浅い額縁でも納まり、引違い窓は2枚分の走行スペースが要るため深い額縁が必要になります。
よくあるのが、同じ部屋の中で「FIX窓はそのまま付くのに、隣の引違い窓だけふかし枠が必要」と言われるパターンです。これは窓の大きさではなく窓の種類で必要な奥行きが違うためで、業者の説明が矛盾しているわけではありません。
判断のコツは、窓の種類ごとに目安の奥行きが違うと知っておくことです。自分で下調べするときは、引違い・FIX・内開きなど窓の種類をメモしてから奥行きを測ると、どの窓にふかし枠が要りそうか事前に当たりを付けられます。
空気層が広がると断熱・防音にも効く理由
ふかし枠は「足りない奥行きを補う」だけの部材ではありません。既存窓と内窓の間隔を広げることで、断熱・防音効果を高める目的でも使われます。LIXILの案内でも、ふかし枠で空気層を広げることで防音効果アップにもなると説明されています。
理屈はこうです。内窓の効果は、外窓と内窓の間に閉じ込めた空気の層から生まれます。空気は動かなければ熱を伝えにくく、音にとってはガラスとガラスの間の「緩衝地帯」になります。この層を厚くすれば、音が2枚目のガラスに届くまでの減衰が増える、という考え方です。
たとえば幹線道路や線路に面した寝室で、断熱より防音を優先したい家庭なら、奥行きが足りていてもあえてふかし枠で間隔を広げる選択肢があります。一方で、断熱目的だけなら奥行きが足りている窓に追加する優先度は下がります。
注意したいのは、間隔を広げるほど室内側への張り出しも増えることです。「防音をどこまで求めるか」と「部屋がどれだけ狭くなるか」のトレードオフになるので、防音目的で追加するなら、張り出し量を業者に具体的な寸法で確認しておきましょう。
4方枠と3方枠、下側を省けるかどうかの違い
ふかし枠には、上下左右の4辺に付ける4方枠と、下側を省いた3方枠があります。3方枠は、床とフラットにつながる掃出し窓や腰窓などで、下側の枠が要らない納まりのときに使われます。
なぜ下側を省けるのかというと、ふかし枠の目的はあくまで「内窓のレールを固定する奥行きを確保すること」だからです。下側の奥行きが足りている、あるいは床面をそのまま下枠の受けにできる納まりなら、わざわざ段差を増やす枠を付ける必要がありません。3方枠にすると部材が減るぶん、価格も下がります。
具体的には、掃出し窓で下側まで4方枠にすると、床と内窓の間に段差が生まれ、出入りのたびにつまずきやすくなることがあります。逆に、下側にも奥行きが足りないのに3方枠を選ぶと、下枠が固定できない事態になります。
判断の目安は「どの辺の奥行きが足りていないか」です。上下左右それぞれの奥行きを測り、足りない辺だけを補う発想で考えると、4方か3方かを取り違えにくくなります。
額縁=窓のまわりを囲む室内側の木枠。内窓はここにビスで固定する。
見込み=窓枠や額縁の奥行き方向の寸法。「見込みが浅い」は奥行きが足りないという意味。
ふかし枠=額縁の内側に足して見込みを延長する枠。4辺に付ける4方枠と、下側を省く3方枠がある。
自分の窓に要るかどうかは「奥行き」を測れば分かる
従来型内窓の目安は引違い73mm・FIX55mm
ふかし枠が要るかどうかの分かれ目は、額縁の奥行きです。従来型の内窓では、引違い窓で73mm、FIX窓で55mmが取り付けに必要な奥行きの目安とされています。YKK APの従来型内窓でも、引違い窓の目安は73mmです。
この数値は「内窓のレール幅+固定に必要な余裕」から決まっています。額縁の奥行きがこれ以上あれば額縁の内側に内窓が納まり、足りなければ足りない分をふかし枠で継ぎ足す、という単純な引き算の世界です。
よくある誤解は、「うちは窓が小さいから浅くても付くだろう」と考えることです。必要な奥行きは窓の大きさではなく、窓の種類と製品の構造で決まります。小さな腰窓でも引違いなら73mmの目安が基準になります。
確認しておきたいのは、この数値があくまで目安で、製品やシリーズで変わる点です。後で紹介する薄型内窓のように、もっと浅い奥行きで付く製品もあります。「73mmに足りないからふかし枠が必須」と決めつけず、候補の製品ごとに必要な奥行きを確かめてから比べるのが正しい順番です。
測る位置を間違えると見積もりがずれる
奥行きは、既存窓の室内側に出っ張っている部分から、額縁の室内側の端までを測ります。サッシ本体だけでなく、クレセント錠のつまみや取っ手など、室内側に突き出している部品も含めて考えるのが基本です。
理由は、内窓の障子がこうした出っ張りにぶつかると、外窓の開閉や施錠ができなくなるからです。額縁そのものの奥行きが足りていても、クレセント錠の出っ張りぶんだけ実質の奥行きが減っている、ということが起こります。
また、額縁は上下左右で奥行きが同じとは限りません。古い住宅では額縁がわずかに歪んでいたり、左右で寸法が違ったりします。1か所だけ測って「足りている」と判断すると、施工当日に別の辺で足りないことが分かる、という事態になりかねません。
判断のコツは、上下左右の複数箇所を測り、いちばん浅い値で考えることです。ただし採寸方法は製品ごとにメーカーが決めているので、自分の測定はあくまで事前の当たり付けにとどめ、最終的な発注は業者の採寸か公式の採寸ガイドに従ってください。
ふかし枠が必要になる3つのケース
ふかし枠が必要になるのは、大きく3つのケースです。1つ目は窓枠の奥行きが内窓の取り付けに必要な深さより不足している場合、2つ目は外窓と内窓の間隔を広げて断熱・防音効果を高めたい場合、3つ目は外窓のクレセント錠などの部品が内窓と干渉する場合です。
1つ目と3つ目は「付けないと物理的に納まらない」必須のケースで、2つ目だけが「付けると性能が上がる」任意のケースです。見積もりでふかし枠が入っていたら、どの理由で入っているのかを聞くと、削れる費用かどうかが分かります。
たとえば額縁の奥行きは足りているのに、クレセント錠のつまみが室内側に大きく出ている窓では、3つ目の理由でふかし枠が入ることがあります。この場合、ふかし枠を外すと内窓を付けた後に外窓の鍵が操作できなくなるので、削ってはいけない費用です。
判断の目安として、「必須」の理由で入っているふかし枠は削らない、「任意」の理由で入っているものは防音をどこまで求めるかで決める、と分けて考えると、見積もりの取捨選択がしやすくなります。
付けられない枠・補強が必要な枠
ふかし枠はどんな窓枠にも付けられるわけではありません。プラスチック製の窓枠、不安定で固定が不十分な枠、壁紙で覆われていて下地となる基材がない枠は、使用できない場合があるとされています。また、既存の窓枠が老朽化・腐食している場合、ビスが効きにくい場合、70mmのふかし枠を付ける場合は補強が必要になります。
理由は固定の仕組みにあります。ふかし枠は額縁にビスで留め、その上に内窓の重量が乗ります。ビスを受け止める下地がしっかりしていないと、内窓の重さや開閉の振動を支えきれず、枠がぐらつく原因になります。70mmで補強が求められるのも、張り出しが大きいほど固定部にかかる負担が増えるためと考えられます。
具体的には、結露で額縁の木部が黒ずんで柔らかくなっている窓や、壁紙が額縁まで巻き込まれていて木部が見えない窓は要注意です。見た目では分からなくても、ビスを打つ段階で下地がないことが判明するケースがあります。
確認のコツは、額縁を指で押してへこみや浮きがないか、木部が露出しているかを事前に見ておくことです。怪しい場合は、見積もりの段階で「補強が必要になる可能性」と「その費用」を聞いておくと、後から金額が増える事態を避けられます。
よくある失敗が、三方枠と四方枠の違いを理解せずに誤注文するケースです。原因は「どの辺の奥行きが足りないか」を確かめずに注文すること。掃出し窓で下側まで4方枠にすると床との間に段差ができ、逆に下側も奥行き不足なのに3方枠にすると下枠が固定できません。対策は、上下左右の奥行きを辺ごとに測り、足りない辺を書き出してから枠の種類を決めること。ネット注文やDIYでは特に、発注前に窓の写真と寸法を販売元に確認してもらうのが確実です。
厚みは20mm・40mm・50mm・70mmの4規格、どう選ぶ?

4規格は「不足分を埋められる最小の厚み」で選ぶ
LIXILのインプラス用ふかし枠は、20mm・40mm・50mm・70mmの4つの厚さバリエーションに対応しています。材質は樹脂製です。選び方の基本は、足りない奥行きを埋められる範囲で、いちばん薄い規格を選ぶことです。
理由は、厚みを増やすほど室内側への張り出しが大きくなり、費用も上がるからです。奥行き不足をぴったり埋めるだけなら、必要以上に厚い枠を選ぶメリットはありません。たとえば不足分が20mm以内に収まるなら20mmで足ります。
例外は、防音を目的に空気層を広げたい場合です。この場合は奥行きが足りていても、あえて厚めの規格を選ぶことがあります。ここで「どうせ付けるなら厚いほうが効く」と考えて最大の70mmを選ぶと、後で説明する補強や張り出しの問題が一気に増えます。
判断のコツは、目的を「納めるため」か「防音のため」かに分けることです。納めるためなら不足分をカバーできる最小規格、防音のためなら張り出しと費用の許容範囲内で厚みを決める。この2段階で考えると、過剰な仕様を避けられます。
70mmだけ価格帯と補強の扱いが違う
4規格のうち、70mmだけは扱いが別枠です。公表価格は20・40・50mmが同じ価格帯なのに対し、70mmは独立した価格帯になっており、さらに補強が必要になるケースとして名指しされています。
これは、70mmになると室内側への張り出しが大きくなり、ふかし枠と内窓の重量を支える固定部の負担が増えるためと考えられます。LIXILの案内でも、条件によって下部補強材が必要になると明記されています。
具体的な場面として多いのは、額縁がごく浅い窓に従来型の内窓を付けようとして、不足分が大きくなるケースです。このとき「70mmのふかし枠+補強」という組み合わせになり、本体価格とは別にまとまった追加費用が発生します。
70mmが必要と言われたら、一度立ち止まる価値があります。薄型内窓なら薄い規格で済む、あるいはふかし枠自体が不要になる可能性があるからです。70mmの見積もりが出た窓こそ、製品を変えた場合の見積もりと並べて比較してみてください。
対応サイズは幅500mm~5000mm・高さ600mm~2450mm
インプラス用ふかし枠の対応サイズは、幅500mm~5000mm、高さ600mm~2450mmと案内されています。一般的な腰窓から大きな掃出し窓まで、住宅の窓の多くをカバーする範囲です。
サイズの上限が決まっているのは、枠の強度と施工性の制約があるからです。幅の広い窓ほど枠がたわみやすくなり、高い窓ほど上枠の固定に負担がかかります。メーカーは強度を確保できる範囲でサイズを設定しています。
範囲外になりやすいのは、トイレや浴室の小窓で幅が足りないケースや、吹き抜けの大開口で高さが超えるケースです。小さすぎる窓は内窓自体の製作範囲から外れることもあり、ふかし枠以前に内窓が付けられないこともあります。
確認のコツは、ふかし枠の対応サイズと内窓本体の製作可能サイズを両方確かめることです。どちらか一方が範囲外なら、その窓は別の方法(ガラス交換や窓そのものの交換など)を検討することになるので、早い段階で業者に相談しておきましょう。
部屋側に7~10センチ張り出すことを想定しておく
ふかし枠を付けると、窓全体が室内側に7~10センチ程度張り出してくるとされています。そのため、既存のカーテンレールの位置を移動しなければならない可能性があり、その費用も考慮が必要です。
理屈は単純で、額縁の内側に枠を継ぎ足し、さらにその内側に内窓が付くので、窓の「顔」が室内側へ前進します。今まで窓の手前に吊るしていたカーテンやブラインドが、内窓の障子や取っ手に当たるようになるわけです。
よくあるのは、内窓を付けた後で「カーテンが閉まらない」「ロールスクリーンが障子の取っ手に当たる」と気づくケースです。窓際に置いていた家具やエアコンの吹き出し位置とも干渉することがあります。出窓や窓台に物を置いていた家庭では、置き場所がなくなることもあります。
見積もりの段階で、カーテンレールの移設が必要か、その費用は含まれているかを確認しておきましょう。張り出しを避けたいなら、ふかし枠を最小限にできる薄型内窓を候補に入れるのが近道です。
| 項目 | 20・40・50mm(4方枠) | 70mm(4方枠) | 3方枠にした場合 |
|---|---|---|---|
| 公表価格 | 9,900円~47,300円 | 19,800円~94,600円 | 4方枠から2,200円~13,200円減額 |
| 補強の扱い | 枠の老朽化・ビスが効きにくい場合に必要 | 補強が必要になるケースとして明記 | 厚みに準じる |
| 向いている場面 | 奥行き不足が小さい窓 | 額縁がごく浅い窓・防音で空気層を広げたい窓 | 下側の枠が要らない掃出し窓・腰窓 |
追加費用はいくら?見積もりで確認したい内訳と補助金
20・40・50mmは9,900円~47,300円
インプラス用ふかし枠の公表価格は、20・40・50mmの4方枠で9,900円~47,300円です。この金額は内窓本体とは別にかかる部材費で、窓1か所ごとに上乗せされます。
価格に幅があるのは、窓のサイズで枠の長さが変わるからです。小さな腰窓なら下限に近く、大きな掃出し窓なら上限に近づきます。20mmでも50mmでも同じ価格帯なので、厚みより窓の大きさが金額を左右すると考えてください。
たとえば、リビングの掃出し窓と寝室の腰窓の2か所にふかし枠が必要な家庭では、同じ規格でも窓ごとの金額はかなり違ってきます。家全体で何か所にふかし枠が入るかで、総額への影響が決まります。
見積もりを確認するときは、ふかし枠が「窓ごと」に記載されているか、それとも「一式」でまとめられているかを見てください。一式表記だと、どの窓に何mmの枠が入るのか分からず、比較もできません。窓ごとの内訳を出してもらうのが、見積もりを読み解く第一歩です。
70mmは19,800円~94,600円、3方枠なら2,200円~13,200円減額
70mmのふかし枠は、4方枠で19,800円~94,600円と、20・40・50mmより一段高い価格帯です。一方、下側を省いた3方枠にすると、4方枠から2,200円~13,200円減額されます。
70mmが高いのは、部材が厚く大きくなるぶん材料費がかさむためです。3方枠が安くなるのは単純に1辺分の部材が減るからで、窓が大きいほど減額幅も大きくなります。
具体的な注意点として、掃出し窓は3方枠で済むことが多い一方、腰窓は下側にも奥行きが要ることがあります。「3方枠なら安い」と考えて下側の奥行き不足を見落とすと、施工時に4方枠へ変更になり、かえって手間と費用が増えます。
判断のコツは、70mmや4方枠の見積もりが出たら「3方枠にできないか」「薄い規格で足りないか」を質問することです。業者によっては余裕を持たせて厚めの規格で見積もることもあるので、理由を聞くだけで費用が下がる可能性があります。
見落としがちな追加費用は補強材とカーテンレール
ふかし枠本体とは別に、見落としやすいのが補強と付帯工事の費用です。LIXILの案内では、条件によって下部補強材が必要となり、その料金は4,950円~148,500円と幅があります。さらに、室内側への張り出しでカーテンレールの移設が必要になれば、その費用も加わります。
補強材の価格幅が大きいのは、窓のサイズと補強の範囲が家ごとに違うからです。小さな窓の下部だけを補強するのか、大開口で広い範囲の補強が要るのかで、金額は大きく変わります。
よくある失敗は、ふかし枠の金額だけを見て予算を組み、施工当日に「枠が傷んでいるので補強が必要です」と言われて追加費用が発生するケースです。特に築年数が経って額縁に結露跡がある家では、補強が必要になる可能性を見込んでおくべきです。
見積もりを取るときは、「補強が必要になる条件」と「必要になった場合の上限額」を事前に聞いておきましょう。カーテンレールの移設が見積もりに含まれているかも、あわせて確認しておくと安心です。
ふかし枠が絡む内窓の総額は「内窓本体+ふかし枠+補強材+付帯工事(カーテンレール移設など)」の足し算です。ふかし枠だけでも20・40・50mmで9,900円~47,300円、70mmで19,800円~94,600円、下部補強材が4,950円~148,500円と、それぞれに幅があります。見積もりは窓ごとの内訳で出してもらい、補強が必要になる条件を事前に確認しておくのが、後から金額が膨らむのを防ぐいちばん確実な方法です。
先進的窓リノベ2026は内窓の性能等級で決まる
内窓の設置には、環境省などが進める先進的窓リノベ2026事業の補助金が使える可能性があります。2026年度の対象工事は内窓設置と既存内窓の交換で、上限は1戸あたり100万円、申請は合計5万円以上から可能です。
補助額は、内窓の性能区分と窓のサイズで決まります。性能区分はP(SS)等級(Uw値1.1以下)とS等級(Uw値1.5以下)で、断熱性能が高いほど、窓が大きいほど補助額が増える仕組みです。窓ごとの具体的な補助額は、公式サイトの工事種別ページで確認してください。
気をつけたいのは、補助額が内窓の性能で決まる制度だという点です。ふかし枠そのものの扱いを含め、どの部材・費用が対象になるかは公式の要件で確かめる必要があります。また、2026年度は予約申請期限が2026年11月16日、交付申請期限が2026年12月31日とされていますが、予算の状況で受付が変わる可能性もあります。
判断のコツは、見積もりの段階で「この内窓の性能区分は何か」「補助金の申請は誰が行うか」を業者に確認することです。製品選びと補助金の申請は切り離せないので、補助金を使う前提なら早めに段取りを決めておきましょう。

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実は「ふかし枠なし」で付く窓が増えている――薄型内窓という選択肢
ここまでふかし枠の話をしてきましたが、実は、ふかし枠を付けるかどうかより先に検討すべき選択肢があります。内窓そのものを薄くして、ふかし枠を不要にした製品です。見積もりでふかし枠を勧められても、製品を変えるだけで不要になるケースがあることは、意外と知られていません。
薄型内窓は見込みを薄くしてふかし枠を不要にした製品
薄型内窓とは、従来製品より薄い見込み寸法で、ふかし枠が不要または最小限で対応できる内窓のことです。リフォーム会社の解説でも、薄型化された最新製品を選ぶことで、以前はふかし枠が必要だった窓でも枠内にスッキリ納まるケースが大幅に増えていると紹介されています。
仕組みとしては、レールや障子の枠を薄く設計し、内窓本体が必要とする奥行きを小さくしています。必要な奥行きが小さくなれば、浅い額縁にもそのまま納まるので、ふかし枠という「継ぎ足し」が要らなくなるわけです。
メリットは3つあります。室内側への張り出しが少ないので部屋を狭く感じさせないこと、額縁の中に納まるので見た目がスッキリすること、既存の額縁が浅い窓にも対応できることです。カーテンレールの移設が不要になる可能性も高まります。
判断のコツは、ふかし枠が必要と言われた窓について「薄型内窓なら納まるか」を必ず聞いてみることです。業者が扱っているメーカーや製品によっては、薄型の選択肢を最初から提示しないこともあるので、こちらから質問するのが確実です。
ウチリモは引違い47mm・内開き39mm・FIX45mmから付く
薄型内窓の代表例が、YKK APの内窓「ウチリモ」です。取り付けに必要な窓額縁の奥行き(最小見込み)は、引違い窓で最小47mm、内開き窓・開き窓テラスで最小39mm、FIX窓で最小45mmとされています。
従来型の目安である引違い73mm、FIX55mmと比べると、必要な奥行きが大きく浅くなっているのが分かります。この差がそのまま、ふかし枠が要らなくなる窓の範囲の広さにつながります。
ウチリモの引違い窓は2026年4月6日、その他の窓種は2026年4月30日に発売されました。ガラス仕様はLow-E複層ガラスで、熱貫流率は1.5W/(㎡・K)以下とされています。カラーは単色3種、木目調4種です。窓種は引違い窓(単板・真空障子・浴室仕様)、FIX窓、内開き窓、開き窓テラスがそろっています。
確認のコツは、自分の窓の奥行きを測ったうえで、従来型の目安と薄型の最小見込みの両方と比べることです。従来型では足りないけれど薄型なら足りる、という窓があれば、ふかし枠の費用と張り出しの両方を避けられる可能性があります。
| 分類・方式 | 薄型内窓(引違い窓・FIX窓・内開き窓・開き窓テラス) |
| 最小見込み | 引違い窓47mm/内開き窓・開き窓テラス39mm/FIX窓45mm |
| ガラス・性能 | Low-E複層ガラス、熱貫流率1.5W/(㎡・K)以下 |
| 向いている用途 | 額縁が浅い窓、部屋を狭くしたくない窓。既築物件の約75%の窓に取付可能とされる |
「既築物件の約75%に取付可能」という数字の読み方
YKK APは、ウチリモについて既築物件の約75%の窓に取付可能で、ふかし枠なしの納まりに対応すると案内しています。対応する建物種別は、RC造マンション、軽量鉄骨住宅、2×4住宅、木造住宅です。
この数字は、薄型化によってふかし枠なしで納まる窓の範囲が広がったことを示しています。従来型では奥行き不足でふかし枠が必須だった窓の一部が、薄型なら素直に納まるようになった、という意味です。
ただし裏返せば、すべての窓に付くわけではないということでもあります。額縁がごく浅い窓や、クレセント錠の出っ張りが大きい窓では、薄型内窓でもふかし枠が必要になることがあります。「薄型だから絶対にふかし枠は要らない」と思い込むのは危険です。
判断のコツは、この数字を「自分の家の窓が必ず対応する保証」ではなく「対応する可能性が高いかどうかの目安」として受け取ることです。最終的には窓ごとの採寸で決まるので、薄型内窓を検討する場合も、必ず現地で採寸してもらってから判断してください。
薄型にも弱点はある、防音重視ならふかし枠に理がある
薄型内窓にも弱点はあります。内窓全般に言えることとして、窓が2重になるぶん開閉に手間がかかり、掃除の負担も増えます。さらに薄型特有の注意点として、外窓との間隔が狭い場合、外窓のクレセント錠が操作しにくくなることがあります。
理由は、薄型内窓は額縁の中に納まるぶん、外窓との距離が近くなりがちだからです。外窓の鍵を開け閉めするには内窓を開けて手を入れる必要があり、間隔が狭いと指が入りにくくなります。
また、空気層の理屈で考えると、防音を重視する場合はふかし枠で間隔を広げたほうが有利になる可能性があります。薄型内窓は「部屋を狭くしない・スッキリ納める」ことを優先した製品なので、幹線道路沿いの寝室のように防音が最優先の窓では、あえて従来型+ふかし枠を選ぶ判断もあり得ます。
判断のコツは、窓ごとに「断熱・見た目重視か」「防音重視か」を決めることです。家全体を同じ製品でそろえる必要はありません。リビングは薄型、寝室は従来型+ふかし枠、と窓ごとに使い分ける考え方もあります。

断熱リフォームを調べていると、内窓(二重窓)はほぼ必ず「まずここから」とすすめられます。工事は1窓あたり1時間ほどで終わり、壁を壊さず、補助金の対象にもなる。た…
メーカー3社でふかし枠への向き合い方はどう違う?
LIXIL インプラス:4規格の樹脂製ふかし枠と公表価格
LIXILのインプラスは、ふかし枠を20mm・40mm・50mm・70mmの4規格で用意しています。材質は樹脂製で、関連サービスサイトでは規格ごとの価格や下部補強材の料金まで公表されています。
価格が公表されているのは、ふかし枠を「必要に応じて組み合わせる前提の部材」として位置づけているからです。規格と価格が明示されていると、見積もりに入っているふかし枠の金額が妥当かどうかを、利用者側で照らし合わせやすくなります。
インプラスは従来型の内窓なので、引違い窓で73mm、FIX窓で55mmが奥行きの目安です。額縁の奥行きが足りない窓では、ふかし枠との組み合わせで対応する設計になっています。防音目的でふかし枠を付けて空気層を広げる使い方も案内されています。
判断のコツは、公表価格を見積もりのチェックに使うことです。ふかし枠の金額が公表レンジから大きく外れていたら、施工費が別に含まれているのか、規格やサイズが想定と違うのかを確認してみてください。
YKK AP ウチリモ:ふかし枠なしの納まりを前面に
YKK APのウチリモは、ふかし枠なしの納まりを前面に出した薄型内窓です。最小見込みは引違い窓で47mm、内開き窓で39mm、FIX窓で45mmとされ、既築物件の約75%の窓に取付可能と案内されています。
このアプローチは、ふかし枠の費用と張り出しを「製品側の薄型化」で解決しようとする考え方です。ふかし枠を後から足すのではなく、最初から浅い額縁に納まるように設計することで、施工の手間と付帯工事を減らしています。
価格の目安としては、メーカーが示す参考価格の一例に85,900円程度があります。ただし窓のサイズやガラス仕様で大きく変わるため、あくまで参考値として受け取り、実際の金額は見積もりで確認してください。
判断のコツは、従来型+ふかし枠の見積もりと、ウチリモ単体の見積もりを並べて比べることです。ふかし枠と補強、カーテンレール移設の費用を合わせると、製品単体の価格差だけでは見えない差が出てきます。
三協アルミ プラメイクEⅡ:ふかし枠はオプション、遮音は約40dB
三協アルミのプラメイクEⅡにも、オプションとしてふかし枠が用意されています。窓とプラメイクEⅡの間隔を広げることで、中間の空気層を大きくできると案内されています。
プラメイクEⅡは、中間に閉じ込めた空気層で断熱効果を高める仕組みで、遮音性能は約40dBとされています。ガラスにはLow-E複層ガラスが使われ、結露の抑制にも配慮した設計です。
ふかし枠を「オプション」と位置づけている点は、奥行き不足への対応だけでなく、空気層を広げて性能を上げる用途も想定しているということです。防音を気にする家庭にとっては、遮音性能の数値が公表されている点が比較の材料になります。
判断のコツは、遮音性能の数値を比較に使うときに条件をそろえることです。遮音の数値はガラスの種類や空気層の厚みで変わるので、ふかし枠の有無で性能がどう変わるかを、見積もりの段階で業者に確認しておきましょう。
| 項目 | LIXIL インプラス | YKK AP ウチリモ | 三協アルミ プラメイクEⅡ |
|---|---|---|---|
| ふかし枠の位置づけ | 4規格(20・40・50・70mm)の樹脂製 | 多くの場合ふかし枠なしで納まる | オプションで用意 |
| 引違い窓の必要奥行き | 目安73mm | 最小47mm | 公式の採寸ガイドで確認 |
| 公表されている特徴 | ふかし枠・下部補強材の価格を公表 | 既築物件の約75%の窓に取付可能 | 遮音性能約40dB |
| 向いている窓 | 防音で空気層を広げたい窓 | 額縁が浅い窓・張り出しを避けたい窓 | 遮音性能を数値で比べたい窓 |
自分の家はどれ?読者タイプ別の選び分け
3社の違いを踏まえると、選び方は「何を優先するか」で分かれます。部屋を狭くしたくない、カーテンまわりの工事を増やしたくないなら、ふかし枠なしで納まる薄型内窓が第一候補です。防音を最優先したいなら、ふかし枠で空気層を広げられる従来型が候補になります。
理由は、ふかし枠の役割が「納めるため」と「性能を上げるため」の2つあるからです。前者を避けたいなら製品を薄くする、後者を狙うならふかし枠を積極的に使う。目的が逆なので、選ぶ製品も逆になります。
たとえば、額縁が浅いマンションで断熱と結露対策が目的の家庭なら、まず薄型内窓で納まるかを確認するのが合理的です。線路沿いの戸建てで寝室の騒音に悩んでいる家庭なら、ふかし枠を含めた従来型の提案と遮音性能を比べる価値があります。見積もりの内訳を自分で比較したい人には、ふかし枠の価格が公表されている製品が判断しやすいでしょう。
判断のコツは、1社の提案だけで決めないことです。業者は扱うメーカーが決まっていることが多く、提案される製品もそのメーカーに偏りがちです。薄型と従来型+ふかし枠の両方の見積もりを取ると、自分の窓に合う答えが見えてきます。
内窓ふかし枠をDIYで付ける前に確認したい4つのこと
工具は電動ドライバーとプラスドライバー、施工は約60分が目安
DIYで内窓とふかし枠を付ける場合、必要な工具は電動ドライバーとプラスドライバーが基本で、マイナスドライバーはオプションです。DIY向け内窓を扱うメーカーの手順解説では、施工時間の目安は約60分とされています。
工具が少なくて済むのは、ふかし枠も内窓の枠も、基本的にはビスで額縁に固定するだけの構造だからです。大がかりな加工や解体を伴わないため、採寸と部材の注文が正確であれば、作業自体はシンプルです。
ただし約60分という目安は、部材が正しく届き、額縁の状態が良好な場合の話です。額縁に歪みがあったり、補強が必要だったりすると、作業時間は大きく延びます。初めてのDIYで、慣れた施工者と同じ時間で終わると考えないほうが安全です。
判断のコツは、作業時間より「採寸と注文」に時間をかけることです。DIYの成否は現場作業よりも、どの規格のふかし枠を何方枠で注文するかで決まります。注意事項としても、正確な測定、枠の補強確認、カーテンレール位置の移動検討の3点が挙げられています。
取り付けは縦枠→上枠→下枠の順で進める
DIY向け内窓の手順解説では、縦枠を額縁に当ててセットし、木ビスで固定したうえで、上枠は中央部を下に反らせてはめ込み、下枠も同じ要領で取り付けると説明されています。ふかし枠を使う場合も、まず額縁に枠をしっかり固定し、その上に内窓の枠を組む流れになります。
縦枠から始めるのは、左右の枠が上下の枠を受ける基準になるからです。縦枠の位置と垂直が決まれば、上枠と下枠はその間にはめ込むだけで位置が決まります。上枠を反らせてはめ込むのは、枠をたわませて差し込み、戻る力で左右の縦枠に密着させるためです。
よくある失敗は、縦枠の垂直を確認せずに固定し、上枠や下枠がうまくはまらなくなるケースです。額縁そのものが傾いていると、縦枠も傾いて固定され、障子の開閉が重くなったり隙間ができたりします。
判断のコツは、縦枠を仮留めした段階で一度垂直と位置を確認することです。本締めしてからずれに気づくと、ビス穴を開け直すことになり、額縁を傷めます。仮留め→確認→本締めの順で進めるのが、DIYで失敗しないための基本です。
DIYで起きやすい失敗が、窓周囲の高さがそろわず、枠の加工が必要になるケースです。原因は、額縁が上下左右で同じ寸法だと思い込み、1か所だけ採寸して注文すること。古い住宅ほど額縁のわずかな歪みや傾きがあり、届いた枠がぴったりはまりません。対策は、上下左右それぞれ複数箇所を測り、寸法差があれば注文前に販売元へ相談すること。加工が必要と分かった時点で、無理に削ったり押し込んだりせず、業者への依頼に切り替える判断も大切です。
額縁の高さや歪みを見落とすと加工が必要になる
DIYで最も時間とお金を無駄にしやすいのが、額縁の状態の見落としです。窓周囲の高さがそろっていないと、ふかし枠や内窓の枠を現場で加工する必要が出てきます。
なぜこれが起きるかというと、ふかし枠も内窓も、注文した寸法どおりに工場で作られて届くからです。額縁が理想的な長方形であれば問題ありませんが、実際の住宅では建物の経年変化で額縁がわずかに歪んでいることがあります。注文寸法と現場の寸法が食い違うと、そのずれを現場で吸収しなければなりません。
具体的には、築年数の経った木造住宅で、窓の左側と右側で額縁の高さが違う、上枠が中央でたわんでいる、といった状態がよくあります。こうした窓で1か所だけ測って注文すると、届いた枠がどこかで当たるか隙間ができます。
判断のコツは、採寸時に「最小値」と「最大値」を両方記録しておくことです。寸法差が大きい窓は、DIYではなく採寸から任せられる業者に依頼したほうが、結果的に安く確実に仕上がることがあります。

冬の朝、暖房を入れているのに窓際だけ足元が冷える。夏は西日が入る部屋のエアコンがいつまでも効かない。その原因の多くは壁でも屋根でもなく、窓です。だから「内窓を自…
補強が要る窓・70mmの窓・補助金を使う窓は業者に任せる
DIYに向かない窓もはっきりあります。額縁が老朽化・腐食している窓、ビスが効きにくい窓、70mmのふかし枠が必要な窓は、補強を伴うため業者に任せたほうが安全です。大きな掃出し窓も、枠の重量と精度の点でDIYの難易度が上がります。
理由は、補強が必要な窓では、ふかし枠を固定する下地そのものを整える作業が加わるからです。下地の状態を判断し、適切な補強をするには経験が要ります。固定が不十分なまま内窓を付けると、開閉のたびに枠がぐらつき、落下などの危険につながりかねません。
また、補助金を使いたい場合も注意が必要です。先進的窓リノベ2026事業の対象になるかどうかは、製品の性能区分だけでなく、施工や申請の方法にも要件があります。DIY施工が補助対象になるかは、事前に公式サイトの要件を必ず確認してください。
まとめ
最初の一歩は、ふかし枠が要りそうな窓の奥行きを、クレセント錠の出っ張りも含めて上下左右で測ってみることです。その数値を持って、従来型+ふかし枠と薄型内窓の両方の見積もりを取れば、自分の窓に合う答えが数字で見えてきます。
※価格・補助金は2026年度時点の公表情報です。最新情報は各メーカー・事業の公式サイトでご確認ください。

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