和室の障子は冬になると窓際から冷気が降りてきます。破れや黄ばみが出るたびに張り替えも必要です。「障子をやめて内窓にしたら暖かくなるのか」「でも和室の雰囲気は残したい」。この2つのあいだで迷っている方は少なくありません。
結論から言うと、障子を内窓(今ある窓の室内側にもう1枚つける窓)に置き換えるか、障子と組み合わせると、断熱性の数字ははっきり変わります。窓の熱の通しやすさを示す熱貫流率で比べると、従来の障子の窓は4.8 W/m²K、高断熱ペアガラスの内窓を設置した場合は1.7 W/m²Kです。断熱性能は約3倍になるとされます。和紙調ガラスを選べば、障子の見た目を残したまま張り替えも不要になります。
ただし、どのガラスを選んでも同じ効果が出るわけではありません。和紙調でも単板ガラスなら断熱の伸びは小さくなります。また2026年度の国の補助金では、内窓はUw1.5以下の性能でないと対象になりません。この記事では、仕組み、窓枠の条件、ガラスの選び方、費用、補助金までを整理します。売り手の立場ではなく、ご自身で判断するための材料としてお読みください。
・障子を内窓にすると熱貫流率が4.8から1.7へ下がる仕組み
・障子を残すか外すかを決める「窓枠の奥行き」の見方
・和紙調ガラスの単板と複層で断熱性が別物になる理由
・費用の目安と、2026年度の補助金がSグレード以上に限られる条件
障子内窓とは?「紙の建具」を「ガラスの窓」に替える発想

障子内窓には「置き換え型」と「組み合わせ型」の2通りがある
「障子内窓」は、和室の窓の室内側に内窓を取り付ける工事を指すのが一般的です。やり方は2通りあります。障子を外して内窓に置き換える方法と、障子を残したまま内窓を追加する方法です。
多くの和室の窓は、外側のサッシと室内側の障子という二重の構成になっています。障子はもともと「室内側のもう1枚」の役割を担っているわけです。この位置をフレームとガラスでできた内窓に替えると、外窓と内窓のあいだに空気の層ができ、二重窓として働くようになります。
置き換え型では、和紙調ガラスを使えば見た目を障子に近づけられます。組み合わせ型なら障子の風合いはそのまま残ります。ただし組み合わせ型は、窓枠の奥行きに余裕がないと物理的に入りません。「障子も残して内窓も付けたい」と考えていても、現地で置き換えしか選べないと判明することがあります。
最初に整理しておきたいのは、残したいのが「障子の見た目」なのか「障子そのもの」なのかです。見た目で足りるなら和紙調ガラスでの置き換えが候補になります。障子そのものを残したいなら、窓枠の奥行きの確認が最初の仕事です。この区別ができていると、見積もりの比較がしやすくなります。
内窓=今ある窓の室内側に取り付けるもう1つの窓。外窓とのあいだに空気層をつくり、二重窓にする。
熱貫流率(W/m²K)=室内外に温度差があるとき、窓1㎡あたりどれだけ熱が通り抜けるかを示す値。数字が小さいほど熱を通しにくい。
Uw値=窓全体(ガラスとフレームを合わせたもの)の熱貫流率。国の窓の補助金では、このUw値でグレードが決まる。
障子の弱点は寒さより「張替え・破れ・変色」
障子は桟・框・組子・障子紙で構成されています。弱点は4つあります。紙の張替えが必要なこと、破れやすいこと、汚れやすいこと、変色することです。
障子紙は光を柔らかく通してくれる反面、水や衝撃には弱い素材です。子どもやペットがいる家では破れが、日当たりのよい窓では変色が早く進みます。張替えには時間がかかり、糊や道具の準備も必要です。そのため「分かっているけれど後回しになる」家事になりがちです。
費用の目安は、業者に張替えを頼むと1枚1,500~8,000円、自分で張り替えると1枚200~1,500円です。1回の出費は小さく見えます。しかし障子の枚数が多い和室や、何部屋も和室がある家では、手間と費用が毎回積み重なります。
悩みの中心が「冬が寒い」よりも「張替えが面倒」なら、断熱性能を追いかけすぎず、見た目とメンテナンス性で選ぶという考え方もあります。反対に、寒さや結露が一番の悩みならガラスの性能を優先します。何に一番困っているのかをはっきりさせると、予算の配分が決めやすくなります。
実は障子も日射の熱をさえぎっている
意外と知られていないのですが、障子は熱の出入りを抑える建具としても働いています。熱をさえぎる割合(熱遮蔽率)について、障子は40~50%、単板ガラスは約10%とする資料があります。
理由は構造にあります。障子紙と組子は光を拡散させながら通します。外窓とのあいだには空気の層もできます。紙1枚でも、何もない状態よりは熱の出入りを和らげているわけです。「障子は古くて性能が低いもの」と見られがちですが、日射をさえぎる役割はきちんと果たしています。
見落としやすいのは、障子を外して透明な単板ガラスの内窓に替えるケースです。見た目はすっきりしますが、障子が担っていた遮光と目隠しがなくなり、夏の日差しが室内に届きやすくなります。冬の寒さ対策のつもりで工事したのに、夏にまぶしさや暑さを感じる、という逆転が起きることがあります。
西日の強い窓や、道路に面して視線が気になる窓では「障子の働き」を残す方向で考えるのが無難です。障子を残す組み合わせ型にする、目隠しと採光を両立できる和紙調ガラスを選ぶ、といった方法があります。障子を外す前に、その窓で障子が何を担っていたかを一度確認しておきましょう。
断熱は約3倍:熱貫流率4.8と1.7の差はどこで生まれるのか
4.8から1.7へ下がると、逃げる熱は約3分の1になる
従来の障子の窓は熱貫流率4.8です。これに高断熱ペアガラスの内窓を設置すると1.7になり、約3倍の断熱性能を持つことになる、と内窓の解説コラムで説明されています。
熱貫流率は、室内と屋外に温度差があるとき、窓の面積あたりにどれだけの熱が通り抜けるかを表す値です。4.8と1.7を比べると、同じ面積・同じ温度差でも通り抜ける熱は約3分の1になります。暖房で温めた熱が窓から逃げにくくなるので、同じ設定温度でも室温が保たれやすくなります。
暮らしの中で差を感じやすいのは窓際の冷え込みです。暖房をつけていても窓際だけ寒いのは、窓ガラスで冷やされた空気が床へ降りてくるためです(コールドドラフトと呼ばれます)。窓面から逃げる熱が減れば、窓際の空気も冷えにくくなります。
注意したいのは、1.7という値が「高断熱ペアガラスの内窓」を前提にしている点です。単板ガラスの内窓を付けても同じ数字にはなりません。見積もりを受け取ったら、金額より先にガラスの種類欄を見てください。複層なのか、Low-E複層なのか、単板なのかで期待できる効果が変わります。
ガラスの枚数と空気層で熱の通り道が変わる
熱貫流率の参考値としては、単板の窓で5.5、複層ガラスで3.0という数字も示されています。ガラスが1枚か2枚か、あいだに空気の層があるかで、熱の通しやすさは段階的に変わります。
空気は動かなければ熱を伝えにくい性質があります。複層ガラスは2枚のガラスのあいだに空気の層を挟むことで、単板より熱を通しにくくしています。内窓は、この「空気の層」を外窓と内窓のあいだにもう1つつくる仕組みです。ガラスの層と空気の層が重なるほど、熱の通り道は長く、細くなっていきます。
下の表は、ファクトシートに記録した資料上の値を並べたものです。ただし、それぞれ前提条件(サッシの素材や窓の大きさ)が異なる参考値です。数字どうしを厳密に比べるより、「層を重ねるほど下がる」という傾向をつかむために使ってください。
すでに外窓が複層ガラスになっている家では、単板の家ほど大きな伸びは期待できません。逆に外窓が単板ガラスの和室では、内窓を付けたときの変化が大きく出ます。まずはご自宅の外窓がどちらかを確認すると、期待値のずれを防げます。
| 窓の構成 | 熱貫流率 | 位置づけ |
|---|---|---|
| 単板の窓(参考値) | 5.5 W/m²K | ガラス1枚。熱をもっとも通しやすい |
| 従来の障子の窓 | 4.8 W/m²K | 障子が室内側の層として働く |
| 複層ガラス(参考値) | 3.0 W/m²K | ガラス2枚+空気層 |
| 障子の窓+高断熱ペアガラス内窓 | 1.7 W/m²K | 従来比で約3倍の断熱性能 |
結露が減るのは、室内側のガラスが冷えにくくなるから
内窓を付けると、室内側の窓の結露は減る方向に働きます。障子を内窓に替えるメリットとして、断熱性の向上と並んで結露の軽減がよく挙げられます。
結露は、室内の湿った空気が冷たい面に触れて水滴に変わる現象です。単板ガラスの窓は外気で冷やされ、表面温度が下がりやすくなります。そこに暖房で温まった湿った空気が触れると水滴が付きます。内窓の室内側ガラスは外気から離れた位置にあり、あいだに空気層もあるので表面温度が下がりにくくなります。その結果、水滴ができにくくなるわけです。
ただし、結露がゼロになるわけではありません。よくあるのが、外窓と内窓のあいだ(窓間)に結露するケースです。室内の湿気が内窓のすき間から入り込み、冷たい外窓の内側で水になります。障子のころは紙が湿気を吸っていたので目立たなかった結露が、ガラスになって見えるようになった、と感じる方もいます。
加湿器を強く使う部屋や、洗濯物を室内に干す部屋では、湿度の管理と換気もセットで考えてください。窓間の結露を含めた内窓の弱点は、別記事で詳しく整理しています。

断熱リフォームを調べていると、内窓(二重窓)はほぼ必ず「まずここから」とすすめられます。工事は1窓あたり1時間ほどで終わり、壁を壊さず、補助金の対象にもなる。た…
防音と防犯は「2枚の窓」になることの副産物
障子を内窓に替えると、断熱と結露のほかに、防音と防犯の効果も期待できます。どちらも「窓が2重になる」ことから生まれるメリットです。
音は空気の振動として伝わります。ガラスとフレームで仕切られた窓が2つ並ぶと、外の音は外窓と内窓の2段階で弱められます。障子紙は音をほとんど遮らないので、紙からガラスへ替わるだけでも室内への音の入り方は変わります。道路に面した和室や、寝室として使う和室では、こちらの効果を重視して内窓を検討する方もいます。
防犯面では、侵入するには窓を2枚突破する必要が出てきます。手間と時間がかかる窓ほど侵入の対象になりにくい、という考え方です。ただし内窓を付けたから安全になる、と言い切れるものではありません。防犯を主な目的にするなら、合わせガラスなど防犯向けのガラス種を選べるかどうかを確認しましょう。
防音の効き方は、窓の気密性やすき間の有無で変わります。「どれだけ静かになるか」を数字で保証するものではない点は理解しておいてください。騒音が一番の悩みなら、見積もりの際に防音を目的にしていると伝え、ガラス種の提案を受けるのが近道です。
障子を残す?外す?窓枠の奥行き73mmが最初の分かれ道

プラマードUの取り付けには奥行き73mmが要る
内窓は、どの窓にも付けられるわけではありません。YKK APの内窓プラマードUの場合、引違い窓・内開き窓・開き戸で73mm、FIX窓(開かない窓)で53mmの取り付けスペースが必要です。
内窓は、窓枠の内側にレールやフレームを固定して取り付けます。そのため窓枠の奥行きが必要寸法に足りないと、フレームがはみ出したり固定できなかったりします。プラマードUは従来品より薄く設計されており、今まで内窓を取り付けられなかった窓にも設置できるようになった、とメーカーは説明しています。
和室の窓枠は、障子の敷居と鴨居の溝を含めて奥行きが決まっています。障子を外して置き換えるなら、障子が使っていた奥行きをそのまま内窓に回せます。障子を残して内窓を追加する場合は、障子の溝とは別に内窓の奥行きを確保しなければなりません。どちらを選ぶかで、必要な奥行きの考え方が変わります。
必要なスペースは製品ごとに異なります。上の数字はプラマードUのものです。他の製品を検討する場合は、そのメーカーの公式情報で必要寸法を確認してください。最終的な判断は、施工する業者の現地採寸で決まります。
障子を残すなら、障子の溝とは別に内窓の居場所が要る
障子を残したまま内窓を追加できるのは、窓枠に障子と内窓の両方が収まる奥行きがある場合に限られます。奥行きが足りなければ、障子を外して置き換えるのが現実的な選択肢になります。
障子は敷居と鴨居の溝を走って開け閉めします。内窓はこの溝と重ならない位置にレールを固定する必要があります。窓枠の奥行きが障子の分でほぼ埋まっている和室では、内窓を入れる余地がありません。製品によっては窓枠を室内側に延長する部材が用意されている場合もあります。ただし、見た目や費用が変わるので、見積もりの段階で確認が必要です。
見た目の面でも差が出ます。障子を残す場合、室内から見えるのは今までどおりの障子で、内窓はその奥(外側)に隠れる配置になることが多くなります。置き換える場合は内窓そのものが室内の顔になるため、フレームの色や和紙調ガラスの有無が部屋の印象を左右します。
「障子を残せるかどうか」は、ご自身で結論を出さず、採寸の場で業者に確かめてもらうのが確実です。そのとき、「残したい」「置き換えでもよい」のどちらの優先度が高いかを伝えておくと、提案がぶれにくくなります。
失敗パターン1:「障子は残せるはず」と思い込んで話を進めてしまう
よくある失敗は、障子を残す前提でガラスや予算を決め、採寸の段階で「奥行きが足りないので置き換えになります」と言われるケースです。
原因は、窓枠の奥行きを確認する前に完成イメージを固めてしまうことにあります。障子を残す前提なら、内窓は障子の奥に隠れるので、ガラスは透明でも見た目に影響しません。ところが置き換えになると、内窓が室内から丸見えになります。「和室の雰囲気が壊れるので和紙調ガラスに変更したい」となり、ガラスの選び直しと見積もりのやり直しが発生します。
和紙調ガラスへの変更は、見た目だけでなく価格にも影響します。さらに補助金を使う予定なら、変更後のガラスが対象グレードに入るかどうかも改めて確認しなければなりません。工事時期がずれ込み、補助金の予算状況が変わってしまうリスクもあります。
対策はシンプルです。最初の見積もり依頼の時点で「障子を残す案」と「置き換え案(和紙調ガラスを含む)」の2案を並べて出してもらうことです。比較のうえで決めれば、採寸後に計画が崩れても慌てずに済みます。
障子を残せるかどうかは窓枠の奥行きで決まります。採寸前にガラスや予算を1案に絞り込むと、置き換えになった時点でガラスの選び直し・見積もりのやり直し・補助対象の再確認が一度に発生します。最初から「残す案」と「置き換え案」の2案で見積もりを取りましょう。
和紙調ガラスは「見た目の障子」:単板と複層で中身が別物
和紙調ガラスは、フィルムやデザイン膜で障子の見た目を再現したガラス
和紙調ガラスは、ガラスに和紙の風合いを表現したフィルムを貼ったり、デザイン膜を挟み込んだりして、障子の見た目を再現したガラスです。紙と違って破れず、水に溶けず、張り替えも要りません。
障子の見た目は、紙の繊維の模様と、光を柔らかく拡散させる半透明の質感でできています。和紙調ガラスは、この模様と質感をフィルムや膜で再現しています。目隠しと採光を両立できるので、和室や和モダンの部屋で障子の代わりに使われています。
ガラスの見た目が障子に近くなるだけでなく、日々の手入れが変わるのも大きな違いです。障子紙は汚れたら張り替えるしかありませんが、ガラスなら拭き掃除で済みます。プラマードUの和紙調ガラスは格子入りで、格子にホコリがたまらず、掃除や和紙の貼替えといったメンテナンスも不要だと説明されています。
一方で、本物の障子紙のような手ざわりや、光が紙を通るときの独特の柔らかさまで同じになるわけではありません。質感にこだわりがある場合は、ショールームなどで実物のサンプルを見て、光の通り方を確かめてから決めるのがおすすめです。
単板の和紙調は「障子紙の置き換え」、断熱の主役は複層・Low-E
同じ和紙調ガラスでも、単板か複層かで断熱性は別物になります。LIXILのインプラスの和紙調ガラスのFAQでは、複層ガラスは合わせガラスの内側にデザイン膜を挟み込み、単板ガラスは室内側に樹脂フィルムを貼る構成だと説明されています。
断熱性を決めるのは、ガラスの枚数と空気層の有無です。和紙調のフィルムやデザイン膜は見た目をつくる層で、それ自体が断熱の主役ではありません。単板の和紙調ガラスは、障子紙を「破れないガラス」に置き換えるもの、と考えるのが実態に近いでしょう。
外窓と単板の和紙調内窓の組み合わせでも、二重窓として空気層はできます。ただ、「従来比で約3倍」とされる断熱性能は高断熱ペアガラスの内窓を前提にした数字です。単板を選んだ場合には当てはまりません。寒さ対策を目的にするなら、和紙調でも複層ガラスやLow-E複層ガラスを選ぶのが筋です。
見積もり書で「和紙調」とだけ書かれている場合は、単板なのか複層なのかを必ず確認してください。見た目は同じでも中身が違うため、写真やサンプルだけでは判別できません。
| 項目 | 障子紙 | 和紙調・単板ガラス | 和紙調・複層ガラス |
|---|---|---|---|
| 構成 | 桟・框・組子・障子紙 | 単板ガラス+室内側に樹脂フィルム | 合わせガラス内にデザイン膜を挟んだ複層ガラス |
| 断熱の考え方 | 紙と空気層で熱をやわらげる | ガラス1枚。見た目の置き換えが中心 | ガラス2枚+空気層で断熱の主役になる |
| 手入れ | 張替えが必要、破れ・汚れ・変色あり | 張り替え不要、拭き掃除 | 張り替え不要、拭き掃除 |
| 向いている窓 | 障子を残す組み合わせ型 | メンテナンス性と見た目を優先する窓 | 寒さ・結露対策を優先する窓 |
紫外線99%カットと飛散防止は、畳と家族を守る機能
和紙調ガラスのフィルムやデザイン膜には、見た目以外の働きもあります。紫外線を99%カットする機能と、ガラスが割れたときの飛散防止効果です。
和室の畳や木部、室内の家具は、日差しに含まれる紫外線で色あせが進みます。障子紙もこの紫外線で変色していきます。和紙調ガラスはフィルムや膜が紫外線をさえぎるので、窓際の畳の日焼けを抑える方向に働きます。障子紙のように、ガラス自体が黄ばんで張り替えが必要になることもありません。
飛散防止は安全面の機能です。ガラスが割れても、フィルムや膜が破片をつなぎとめて飛び散りにくくします。和室は床に座ったり、布団を敷いて寝たりと、床に近い位置で過ごす時間が長い部屋です。窓の近くで子どもが遊ぶ家でも、破片が散らばりにくいのは安心材料になります。
ただし、飛散防止は「割れない」という意味ではありません。紫外線カットも日射の熱をすべて止めるわけではありません。夏の暑さ対策まで期待するなら、日射をさえぎる性能をもつLow-E複層ガラスを選べるかどうかを確認しておきましょう。
失敗パターン2:「障子らしさ」を優先して単板を選び、寒さと結露が残る
和紙調ガラスでありがちな失敗は、見た目の近さと価格の手ごろさで単板を選び、冬になってから「思ったほど暖かくない」「窓の結露が減らない」と感じるケースです。
原因は、和紙調という見た目の分類と、ガラスの断熱性能を混同してしまうことにあります。ショールームやカタログで見る和紙調ガラスは、単板でも複層でもほぼ同じ見た目です。見た目で選ぶと、断熱の差は目に入りません。加えて、単板のほうが価格が抑えられるので、予算を気にしていると単板に傾きやすくなります。
もう1つの落とし穴は補助金です。2026年度の国の補助金では、内窓はUw1.5以下の性能でなければ対象になりません。単板ガラスの内窓でこの水準を満たすのは難しいため、単板を選ぶと補助を受けられない可能性が高くなります。結果として、価格差を補助金で埋めるという選択肢もなくなります。
対策は、「和紙調かどうか」と「ガラスが単板か複層か」を別々の項目として決めることです。寒さ・結露が悩みなら複層以上を前提にし、和紙調はそのうえで見た目の選択として考えます。
「和紙調」は見た目の分類で、断熱性能を表す言葉ではありません。単板の和紙調ガラスは、断熱の伸びが小さいうえに、2026年度の補助金(内窓はUw1.5以下)の対象から外れる可能性が高くなります。寒さ対策が目的なら、先に「複層以上」を決めてから和紙調を選びましょう。
和室向けに2製品を比べるなら、見るべきはガラスの選択肢
プラマードU:約60分施工と「より薄い」設計が持ち味
YKK APのプラマードUは、施工時間が約60分で、従来品より薄く設計されているのが特徴です。今まで内窓を取り付けられなかった窓にも設置できるようになった、とメーカーは説明しています。
和室の窓で問題になりやすいのは窓枠の奥行きです。フレームが薄ければ、それだけ取り付けられる窓の範囲が広がります。必要スペースは引違い窓・内開き窓・開き戸で73mm、FIX窓で53mmです。ガラスは単板、複層、真空ガラス、Low-E複層、和紙調ガラスから選べ、ガラスのバリエーションは280種類以上とされています。
和紙調ガラスは格子入りのタイプで、洋室にも和室にも合わせやすいと紹介されています。格子にホコリがたまらず、掃除や和紙の貼替えといったメンテナンスも不要とされる点は、障子の手入れに悩んでいる家にとって分かりやすい利点です。サッシのタイプは引違い窓、内開き窓、開き窓テラス(ドア)、FIX窓に対応しています。
施工時間が短いのは、住みながら工事したい家にとって見逃せない点です。ただし約60分は標準的な施工の目安です。窓の数や状態によって工事全体の時間は変わるので、実際の工程は見積もり時に確認しましょう。
インプラス:和紙調をLow-E複層(クリア・グリーン)から選べる
LIXILのインプラスは、和紙調ガラスをLow-E複層ガラス(クリア・グリーン)、一般複層ガラス、単板ガラスから選べます。
和紙調ガラスは、障子紙のようなデザインが施されており、昼夜とも目隠しと採光の効果があると説明されています。夜に室内の照明をつけると、透明なガラスでは外から室内が見えやすくなります。和紙調なら障子と同じように、夜も視線をさえぎれます。構成は、複層ガラスでは合わせガラスの内側にデザイン膜を挟み込み、単板ガラスでは室内側に樹脂フィルムを貼る方式です。
デザイン膜には紫外線99%カットと、ガラスが割れたときの飛散防止の機能があります。ガラスの厚みは3mmと5mmの設定があり、合わせガラスも選択肢に含まれます。
寒さ対策と和室の見た目を両立したい場合、和紙調とLow-E複層を組み合わせられるかどうかが判断の軸になります。インプラスを検討するなら、その組み合わせで見積もりを取り、補助対象になる性能区分かどうかも同時に確認しておくと、後から比較しやすくなります。
| 項目 | プラマードU(YKK AP) | インプラス(LIXIL) |
|---|---|---|
| 和紙調ガラス | 対応(格子入り。和紙の貼替え不要) | 対応(Low-E複層クリア・グリーン、一般複層、単板) |
| ガラスの選択肢 | 単板、複層、真空、Low-E複層など280種類以上 | Low-E複層、一般複層、単板、合わせガラス |
| ガラス厚 | 3mm、5mm | 3mm、5mm |
| 公表されている特徴 | 施工時間約60分、必要スペース73mm(FIX窓53mm) | デザイン膜で紫外線99%カット・飛散防止 |
比べるときは製品名ではなく「ガラス種×窓の形」で条件を揃える
2製品を比べるときは、「どちらのメーカーがよいか」ではなく、「同じガラス種・同じ窓の形で見積もったときにどう違うか」で比べてください。
内窓の価格と性能は、フレームよりもガラス種と窓の大きさで大きく動きます。片方の見積もりが単板、もう片方がLow-E複層なら、金額も断熱性も違って当然です。条件が揃っていない見積もりを並べても、製品の差は見えてきません。
比較のずれは起こりがちです。業者によって標準で提案するガラスが違い、得意なメーカーも違います。「A社はプラマードUのLow-E複層、B社はインプラスの和紙調単板」といった見積もりが並ぶと、安いほうが得に見えてしまいます。
見積もりを依頼するときは、「和紙調」「Low-E複層」「補助金の対象グレード」の3点を条件として伝え、同じ土俵で出してもらいましょう。そのうえで、窓枠の奥行きに収まるか、見た目の好み、施工時間の違いで選ぶと判断がぶれません。どちらの製品も、公式情報の範囲では和室向けの選択肢を用意しています。
費用はいくら?内窓の参考価格と障子張替えを並べてみる
本体価格はガラス種で段階的に上がる
内窓の価格は、ガラス種によって段階的に上がります。参考価格として、1窓あたり単板ガラスで4~6万円、複層ガラスで6~9万円、Low-Eガラスで9~12万円程度という目安があります(窓のサイズや施工条件で変動します)。
価格差が生まれる理由は、ガラスの構造の違いです。単板はガラス1枚、複層はガラス2枚と空気層、Low-Eは複層に金属膜をコーティングして熱の出入りをさらに抑えたものです。構造が複雑になるほど、製造コストが上がります。単板、複層、Low-E複層、合わせガラスの順に高くなるのが一般的な傾向です。
障子の窓で考えると、「単板の和紙調ガラスなら4~6万円程度で済む」と感じるかもしれません。しかし、断熱を目的にするなら複層以上が前提になります。安いほうを選んで寒さが残れば、その費用は目的を果たしていないことになります。
価格はあくまで参考値です。同じガラス種でも、窓の大きさ、和紙調かどうか、地域や業者によって変わります。「ガラス種×サイズ」で見積もりを取り、この記事の目安と照らし合わせて大きく外れていないかを確認する、という使い方をしてください。
施工費は1窓3~7万円が相場という見方
内窓の施工費については、1窓あたり3~7万円程度が相場とする見方があります。ただし、本体と施工費を分けて書くかどうかは業者によって違い、1つの資料にもとづく目安です。
施工費に幅があるのは、窓の大きさや数、取り付けの難しさで作業量が変わるためです。窓枠の奥行きが足りず延長の部材が要る場合や、障子の敷居・鴨居まわりの調整が必要な場合は、標準より手間がかかります。
見積書を比べるときに起きやすいのが、「本体込みの総額」と「本体と施工費が別」の見積もりを並べてしまうことです。総額だけで比べると、どこにお金がかかっているのか見えません。本体価格、施工費、処分費(外した障子の引き取りなど)がそれぞれいくらかを確認すると、比較の精度が上がります。
複数の窓をまとめて依頼すると、1窓あたりの手間が変わることもあります。和室の窓だけにするか、家全体の窓で検討するかも、見積もり時に相談してみてください。二重窓の費用と回収の考え方は、別記事で詳しく扱っています。

「内窓を1枚入れるだけなのに、なぜ見積もりが10万円を超えるのか」——二重窓の費用を調べ始めた人が最初にぶつかるのが、この金額の違和感です。カーテンやシートなら…
障子の張替え費用とは、手間の総量で比べる
障子の張替えは、業者に頼むと1枚1,500~8,000円、自分でやると1枚200~1,500円が目安です。1回あたりの金額だけを見れば、内窓よりはるかに安く済みます。
ただ、比べる軸は金額だけではありません。障子紙は破れ・汚れ・変色のたびに張り替えが必要で、その手間は何年も続きます。内窓は一度取り付ければ張り替えがありません。断熱・結露・防音の効果も加わります。張替えの手間を「毎年のようにかかるコスト」と見るか、「たまに発生する作業」と見るかで、判断は変わります。
「張替えより内窓のほうが得か」を年数で割り出すのは難しいところです。張替えの頻度は家族構成や窓の日当たりで変わりますし、断熱で下がる暖房費も住まいや使い方しだいです。ここを断定する見積もりやセールストークには注意してください。
判断の目安として、張替えが負担になっている、冬の窓際が寒い、結露に悩んでいる、の3つのうち2つ以上に当てはまるなら、内窓を検討する価値があります。張替えの手間だけが悩みなら、まずは破れにくい障子紙に替えるといった手軽な方法から試す選択肢もあります。
本格的な内窓のDIYはどこまで現実的か
メーカー製の内窓は、業者による採寸と施工を前提とした製品です。ご自身で付けたい場合は、簡易型の内窓キットなどが現実的な選択肢になります。
内窓は、窓枠にレールとフレームを正確に固定しないと、すき間ができて断熱や防音の効果が落ちます。障子の窓枠は、敷居や鴨居の溝があるうえ、長年の使用でゆがみが出ていることもあります。採寸を誤ると、発注した内窓が入らない、閉まらないといった事態になりかねません。
DIYで取り組むなら、目的を絞るのがコツです。「冬の冷気を少し和らげたい」「補助金は使わない」「賃貸で原状回復が必要」といった条件なら、簡易型でも納得しやすいでしょう。逆に、補助金を使いたい、和紙調のLow-E複層にしたい、という場合は業者施工が前提になります。申請は補助事業者が行う仕組みだからです。
簡易型と本格的な内窓で断熱効果がどう違うかは、別記事で数字をもとに比べています。DIYを考えている方は、こちらで効果と手間のバランスを確かめてから決めてください。

冬の朝、暖房を入れているのに窓際だけ足元が冷える。夏は西日が入る部屋のエアコンがいつまでも効かない。その原因の多くは壁でも屋根でもなく、窓です。だから「内窓を自…
2026年度の補助金は「内窓はSグレード以上」が条件
先進的窓リノベ2026事業は「施工業者が申請する」補助金
2026年度に内窓で使える国の補助金の中心は、環境省の先進的窓リノベ2026事業です。補助上限は1戸あたり100万円で、対象工事はガラス交換、内窓設置、外窓交換(カバー工法・はつり工法)、ドア交換です。
この補助金は、消費者が自分で申請するものではありません。事業に登録した補助事業者(施工業者など)が申請手続きを行い、補助金はその事業者を通じて還元されます。そのため、工事を依頼する業者が補助事業者として登録しているかどうかが、最初の確認事項になります。
対象となる住宅は、自己所有の戸建て住宅、マンション、賃貸物件、別荘とされています。和室のある戸建てでも、マンションの和室でも、条件を満たせば対象になりえます。
注意したいのは、補助金が「もらえるかどうか」は製品の性能区分、工事内容、予算の状況で決まる点です。予算に達すると受付が終わることもあります。見積もりの段階で、「この内容で補助対象になるか」「申請は業者側で行うか」の2点をはっきり確認しておきましょう。
内窓はUw1.5以下だけが対象、旧Aグレードは外れた
2026年度から、内窓設置で補助対象になるのはUw1.5以下(SまたはSSグレード)の製品だけです。Uw1.9以下の旧Aグレードは対象外になりました。SSグレードはUw1.1以下のトリプルガラス相当という基準です。
Uw値は、ガラスとフレームを合わせた窓全体の熱貫流率です。国はこの数字で窓の性能をグレード分けし、一定以上の性能の窓だけを補助対象にしています。2026年度は内窓の基準が引き上げられ、以前なら対象だった性能の内窓でも、今年度は外れるケースが出ています。
障子内窓で問題になるのは、先に触れた単板の和紙調ガラスです。性能区分がUw1.5以下に届かなければ補助はありません。Sグレード以上になるのは、Low-E複層ガラスなど断熱性の高い構成が中心です。和紙調で補助を受けたい場合は、その和紙調ガラスの組み合わせが対象製品に登録されているかを確認する必要があります。
確認は、事業の公式サイトの対象製品情報と、見積もりを出す業者の説明の両方で行ってください。「内窓なら補助が出る」という前年度までの感覚で進めると、契約後に対象外と分かることがあります。
窓の大きさで決まる補助額
先進的窓リノベ2026事業の内窓Sグレードの補助額は、窓の面積区分で決まります。戸建住宅では、特大(4.0㎡以上)が76,000円、大(2.8~4.0㎡未満)が52,000円、中(1.6~2.8㎡未満)が34,000円、小(0.2~1.6㎡未満)が22,000円です。
面積で区分されているのは、窓が大きいほど使うガラスとフレームが増え、工事費も上がるためです。和室の掃き出し窓のような大きな窓は、上の区分に入りやすくなります。腰高窓や小窓は下の区分になるので、窓ごとに補助額が変わります。
低層集合住宅では区分ごとの額が異なり、特大83,000円、大66,000円、中48,000円、小24,000円です。お住まいの建物の種類でどちらの表が当てはまるかを確認してください。SSグレードの補助額は別に設定されているので、公式の補助額表で確認しましょう。
| 窓の大きさ | 戸建住宅 | 低層集合住宅 |
|---|---|---|
| 特大(4.0㎡以上) | 76,000円 | 83,000円 |
| 大(2.8~4.0㎡未満) | 52,000円 | 66,000円 |
| 中(1.6~2.8㎡未満) | 34,000円 | 48,000円 |
| 小(0.2~1.6㎡未満) | 22,000円 | 24,000円 |
補助金を前提に進めるときに押さえておく3つの順番
補助金を使って障子内窓にするなら、決める順番が大切です。まず窓枠の奥行き、次にガラス種と性能区分、最後に見た目(和紙調かどうか)の順で決めると、計画が崩れにくくなります。
理由は、後の工程ほど前の条件に縛られるからです。奥行きが足りなければ障子を残す案は消えます。性能区分がUw1.5以下に届かなければ補助はありません。見た目の好みを先に決めてしまうと、どちらかの条件に合わずに選び直すことになります。
よくある例は、和紙調の見た目にひかれて単板で契約し、後から補助対象外と気づくケースです。価格差を補助で相殺できるつもりが、結果的に割高になってしまいます。
判断のコツは、見積もりを受け取ったら「この窓のUw値はいくつか」「補助対象の区分と面積区分はどれか」を業者に書面で示してもらうことです。口頭の「たぶん対象です」で進めないことが、補助金ありきの計画で失敗しない一番の方法です。
2026年度の先進的窓リノベ2026事業では、内窓はUw1.5以下(SまたはSSグレード)だけが補助対象で、旧Aグレードは外れました。申請は補助事業者が行います。見積もりでは「Uw値」「補助の区分」「面積区分」の3点を書面で確認しましょう。
まとめ:障子内窓で後悔しないための判断の順番
最初の一歩としては、和室の窓の外窓が単板か複層かを確認してください。そのうえで、「障子を残す案」と「和紙調Low-E複層で置き換える案」の2案で見積もりを依頼し、Uw値と補助の区分を書面で出してもらいましょう。条件を揃えた2案が手元にあれば、見た目・断熱・費用のどれを優先するかを、ご家族で落ち着いて決められます。
※補助制度・製品仕様は2026年度(2026年9月時点)の情報です。最新情報は各公式サイトでご確認ください。

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