冬の朝、暖房をつけているのに窓際だけひんやりする。ガラスにびっしり水滴がつき、サッシの下にカビが出てくる。そんな家で「内窓を付けると変わる」と聞いても、どのくらい変わるのか、工事費に見合うのかは分かりにくいものです。施工業者のサイトは効果を大きく書きがちで、逆に「効果なし」という声も目に入るので、判断に迷う人が多いテーマです。
先に結論をお伝えすると、内窓の効果の中心は「窓の断熱性能を上げて、家の熱の最大の出入り口をふさぐこと」です。アルミサッシの単板ガラス窓の熱貫流率は6.51 W/㎡・Kですが、内側に樹脂の内窓を足した二重窓では2.00 W/㎡・Kまで下がり、断熱性能は約3.3倍になります。冬の暖房熱の約58%、夏の冷房熱の約73%が窓を通って出入りしているため、ここを止めると冷暖房費は15~30%下がるという試算があります。
ただし、効果が大きく出る家と、ほとんど実感できない家があります。この記事では、内窓が効く仕組みを熱の流れから説明したうえで、冷暖房費・結露・防音の変化を数字で示し、外窓交換との違い、2026年の補助金で内窓がいくら戻るか、効きにくい家の条件まで、売り手の立場に立たずに整理します。
・内窓で熱貫流率が6.51から2.00に下がる仕組みと、冷暖房費が15~30%下がる理由
・リビング・寝室・子ども部屋で年間削減額がどれだけ違うか
・結露と防音はどこまで変わるのか、外窓交換とどちらが向くか
・先進的窓リノベ2026で内窓がSグレード以上だけ対象になった影響
内窓の効果は「窓の断熱性能を約3.3倍にする」ことに尽きる

数字で見ると、単板ガラス窓の熱の通しやすさは二重窓の3倍以上
内窓の効果を一言でいえば、窓から熱が通り抜ける量を減らすことです。窓の断熱性能は「熱貫流率(U値)」という数字で表され、アルミサッシに単板ガラスの窓は6.51 W/㎡・K、その内側に樹脂の内窓を足した二重窓は2.00 W/㎡・Kです。数字が小さいほど熱を通しにくく、この差は断熱性能にして約3.3倍に相当します。
熱貫流率は、窓の内と外に1℃の温度差があるとき、窓1㎡あたり何ワットの熱が移動するかを示す指標です。つまり同じ広さの窓、同じ外気温の条件なら、単板ガラスの窓は二重窓の3倍以上の熱を外へ逃がしている計算になります。環境省の先進的窓リノベ2026事業の内窓設置ページでも、アルミサッシ単板ガラスのU値は約6.51で、内窓を追加すれば2.0台まで下がるケースがあると説明されています。
ここで押さえておきたいのは、内窓は「外窓の性能を上げる」のではなく「窓の構成を変える」工事だということです。外窓は古いアルミ単板のまま残り、そこに2枚目の窓と空気の層が加わることで、窓全体としての熱の通しにくさが変わります。築年数が古い家ほど外窓の性能が低いので、差が大きく出ます。
自分の家が当てはまるかどうかは、窓ガラスが1枚か2枚か、サッシの枠が金属か樹脂かを見れば判断できます。ガラスが1枚でサッシがアルミなら、6.51の側にいる可能性が高く、内窓で改善できる幅も大きいと考えてよいでしょう。
| 項目 | アルミサッシ+単板ガラス | 樹脂サッシ+Low-E複層ガラス | 二重窓(外アルミ単板+内樹脂複層) |
|---|---|---|---|
| 熱貫流率 | 6.51 W/㎡・K | 2.15 W/㎡・K | 2.00 W/㎡・K |
| 単板窓との比較 | 基準 | 外窓ごと高性能化 | 断熱性能 約3.3倍 |
| 工事の内容 | 築年数の古い家に多い構成 | 外窓を交換する | 既存窓の内側に内窓を足す |

冬の朝、リビングのアルミサッシの枠を触ると氷のように冷たく、下枠には水がたまっている。エアコンの設定温度を上げても窓際だけ寒い。築20年前後の家に住んでいれば、…
家の熱は冬に約58%、夏に約73%が窓から出入りしている
内窓の効果が大きく出る理由は、窓が家の中で最も熱を通しやすい部位だからです。冬の暖房熱の約58%が窓から逃げ、夏の冷房中に入ってくる熱の約73%が窓から流入しているとされます。壁・屋根・床をすべて足しても、窓1か所の出入りに及ばないということです。
なぜここまで偏るのかというと、壁には断熱材が入っていても、窓はガラスとサッシという薄い部材だけで外と接しているからです。先ほどの6.51という熱貫流率は、断熱材の入った壁と比べると桁違いに大きい値です。家全体の断熱を考えるとき、最も弱い部分から手を付けると費用あたりの効果が大きくなります。
よくある誤解は「壁や天井の断熱が弱いから寒い」と考えて、大がかりな断熱リフォームから検討し始めることです。もちろん壁や天井も大切ですが、熱の出入りの過半を占めているのは窓です。工事の規模と費用を考えると、先に窓の対策を済ませてから、残った寒さを別の部位で詰めていく順番のほうが合理的です。
判断のコツは、冬に部屋の中で冷たいと感じる場所を手で触って確かめることです。窓ガラスやサッシが壁より明らかに冷たければ、熱の逃げ道は窓にあります。窓際に立つと足元がスーッと冷える感覚がある家も、窓からの熱損失が大きい典型です。
冷暖房費への効果は15~30%減が目安、ただし窓の数で変わる
内窓を設置した場合の冷暖房費の削減率は、15~30%が目安とされています。主要な4窓に一括で施工したケースでは、年間およそ2~3万円の削減が見込めるという試算です。家全体の電気代が下がるわけではなく、あくまで「冷暖房にかかる分」が下がる点に注意してください。
削減率に幅がある理由は、効果が「どれだけの窓面積を内窓にしたか」と「外窓の元の性能」で決まるからです。窓からの熱損失は窓の面積に比例するので、大きな掃き出し窓を含む主要な窓を押さえれば削減率は上の方に寄り、小窓1か所だけなら下の方か、それ以下になります。
やりがちなのは、「冷暖房費が30%下がる」という数字だけを見て、電気代全体が3割減ると期待してしまうことです。電気代には照明・冷蔵庫・給湯・調理など窓と関係ない使い道も含まれるため、家計全体で見た下がり幅はもっと小さくなります。オール電化の家では給湯の割合が大きいので、なおさらです。
自分の家で期待できる額を見積もるなら、まず検針票や電力会社のWebサービスで、冬と夏の使用量が春・秋よりどれだけ多いかを確認します。その「季節で増えている分」が冷暖房の目安で、内窓で下げられるのはこの部分の15~30%程度だと考えると、過大な期待をせずに済みます。
なぜ窓を1枚足すだけで熱が止まるのか?空気の層がつくる断熱
答えは内窓と外窓の間にできる「動かない空気」
内窓が熱を止める主役はガラスではなく、内窓と外窓の間にできる空気の層です。この空気が静止空気層として働き、断熱材のような役割を果たします。空気は熱を伝えにくい物質で、動かずにとどまっている限り、優秀な断熱材になります。
家の断熱材であるグラスウールや発泡系の断熱材も、実は素材そのものではなく、中に閉じ込めた空気で熱を止めています。内窓はこれと同じ原理を窓で再現しているわけです。外窓と内窓という2枚の仕切りで空気を閉じ込めるので、ガラス1枚のときには存在しなかった断熱層が窓に加わります。
ここで失敗につながるのが、「空気層は厚ければ厚いほどよい」という思い込みです。空気層が広すぎると、中の空気が温度差によって対流を始め、熱を運んでしまいます。空気は動き出すと断熱材として働かなくなるため、層の厚さは「動かない範囲」に収まっていることが大切です。補助金制度でも内窓の位置に要件があるのは、このあと触れるとおりです。
確認しておきたいのは、内窓を閉めたときに隙間なく枠に収まっているかどうかです。すき間があると空気層の空気が室内と入れ替わり、静止空気層が成り立ちません。見積もりや施工後のチェックでは、窓を閉めた状態で枠とのすき間が残っていないかを見ておきましょう。
熱貫流率(U値)=窓や壁の内外に温度差があるとき、1㎡あたりどれだけの熱が通り抜けるかを表す数値。単位はW/㎡・K。小さいほど断熱性能が高い。
Low-E複層ガラス=2枚のガラスの間に空気層などを設け、ガラス表面に特殊な金属膜(Low-E膜)をコーティングして熱の出入りを抑えるガラス。
静止空気層=対流せずにとどまっている空気の層。空気は動かなければ熱を伝えにくく、断熱材として機能する。
樹脂サッシが効くのは、アルミが熱の通り道になるから
内窓の枠に樹脂が使われることが多いのは、枠そのものから熱が逃げるのを防ぐためです。ガラスをいくら高性能にしても、枠が熱を通してしまえば、そこから熱が抜けていきます。アルミサッシの窓でサッシ部分がひときわ冷たくなるのは、金属が熱を伝えやすいからです。
アルミは軽くて加工しやすく、雨風に強いという長所があるため、長く日本の住宅の窓に使われてきました。ただし熱を伝えやすいという性質上、冬には室内の熱を外へ運ぶ「熱の橋」になります。樹脂はアルミに比べて熱を伝えにくいため、内窓の枠に使うと窓全体の熱の通り道が減ります。
よくある状況として、「ガラスを複層にしたのに窓際が寒い」という相談があります。ガラスだけを交換して枠はアルミのまま、というケースでは、枠から熱が逃げ、枠の表面で結露が続くことがあります。内窓は樹脂の枠ごと新しい窓を足すため、ガラスだけの交換で残りがちな枠の弱点もカバーできます。
見積もりを取るときは、内窓の枠の材質とガラスの種類を必ず確認しましょう。内窓の代表的な製品の一つであるLIXILの「インプラス」も樹脂サッシで、Low-E複層ガラスやLow-E三層ガラスを選べます。枠が樹脂かどうか、ガラスが単板か複層かで、内窓の性能は大きく変わります。
内窓のガラスは単板か複層か、効果の差はここで出る
同じ内窓でも、ガラスの種類で断熱効果は変わります。二重窓で2.00 W/㎡・Kという値は、外窓がアルミ単板、内窓が樹脂サッシに複層ガラスという組み合わせのものです。内窓側のガラスを単板にすれば性能は下がり、Low-E複層にすればさらに上がります。
メーカーの公式FAQでも、内窓の熱貫流率や日射熱取得率は「ガラス種類や既設窓(外窓)との組合せにより異なります」と明記されています(LIXIL公式FAQ)。つまり「内窓を付ければ一律で2.00になる」わけではなく、組み合わせ次第で上下します。
失敗しやすいのは、見積もり額を下げようとして内窓のガラスを単板にするケースです。費用は抑えられますが、断熱性能の伸びが小さくなるうえ、2026年の補助金では内窓の対象がSグレード以上に限られたため、グレードが足りずに補助金の対象から外れる可能性があります。結果として、補助後の実質負担で比べると割高になることもあります。
判断のコツは、見積書に内窓のガラス種類と性能グレードが書かれているかを確認することです。「内窓一式」としか書かれていなければ、どのガラスが入るのかを聞いてください。寒さ対策が目的なら複層以上、補助金を使うならSグレード以上の組み合わせかどうかを確認するのが基本です。
実は、窓からの熱の出入りは冬より夏のほうが大きい
内窓は冬の寒さ対策というイメージが強いのですが、実は窓経由の熱の割合が大きいのは夏のほうです。冬に窓から逃げる暖房熱が約58%なのに対し、夏に窓から入ってくる熱は冷房熱の約73%を占めます。夏こそ窓が家の弱点になっているわけです。
夏に窓の割合が大きくなるのは、ガラス越しの伝導熱に加えて、日差しそのものが室内に入り込むからです。内窓はガラスとサッシを伝わる熱を減らすことには効きますが、ガラスを透過してくる日射熱を止める力は、ガラスの種類に左右されます。遮熱タイプのLow-Eガラスを選ぶと、夏の効果を上乗せしやすくなります。
意外と見落とされるのが、西日の強い部屋で内窓だけに頼るパターンです。日射は室内に入ってから止めるより、窓の外側で遮るほうが止めやすい性質があります。すだれやシェードなど外側の日よけと組み合わせると、内窓の効果と役割分担ができます。
自分の家で夏と冬どちらの効果が大きく出るかは、冷房と暖房どちらの電気使用量が多いかで見当がつきます。夏に使用量が跳ね上がる家では、内窓のガラスを選ぶ段階で遮熱タイプを検討する価値があります。
冷暖房費はいくら下がる?窓の場所で削減額が変わる理由

リビングの掃き出し窓だけで年約12,000円という試算
窓ごとの削減額を見ると、リビングの掃き出し窓に内窓を付けた場合の年間削減額は約12,000円という試算があります。寝室の腰高窓は約4,500円、子ども部屋の腰高窓は約3,700円で、リビングの1窓だけで寝室と子ども部屋の2窓分を上回る計算です。同じ内窓でも、付ける場所で削減額にはっきり差が出ます。
差が生まれる理由は二つあります。一つは窓の面積です。熱の出入りは窓の面積に比例するので、床まである掃き出し窓は腰高窓より多くの熱を通しています。もう一つは、その部屋を冷暖房している時間の長さです。家族が長く過ごし、冷暖房をつけている時間が長いリビングほど、窓から逃げる熱の総量も大きくなります。
つまり内窓の効果は「窓の大きさ×冷暖房している時間」で決まると考えると分かりやすいでしょう。日中は誰もいない部屋や、ほとんど暖房を使わない部屋の窓に内窓を付けても、削減額は小さくなります。一方で、在宅時間が長く一日中冷暖房を使うリビングは、内窓の費用対効果が最も出やすい場所です。
優先順位をつけるなら、まず一番大きな窓があり、冷暖房を最も長く使う部屋から検討するのが合理的です。予算が限られる場合も、小窓を何か所も付けるより、リビングの大窓を先に押さえたほうが削減額は大きくなります。
10年で約24.4万円、ただし前提条件を読み飛ばさない
窓メーカーの試算では、東京でアルミサッシの窓に内窓を付けた場合、10年間で約24.4万円の節約が見込まれるとされています(窓メーカーの公開試算ページ)。月額に直すと約2,250円程度の削減という試算もあります。
こうした試算には必ず前提があります。地域が東京であること、外窓がアルミサッシであること、施工する窓の数や大きさ、冷暖房の使い方、電気料金単価などです。寒冷地であれば冬の削減額は大きくなりやすく、温暖な地域や冷暖房をあまり使わない家では小さくなります。電気料金単価が変われば、同じ使用量の削減でも金額は変わります。
ここで注意したいのは、「10年で約24.4万円」をそのまま自分の家の回収計算に当てはめてしまうことです。施工した窓の数が試算より少なければ削減額も小さくなり、費用を回収するまでの期間は長くなります。投資回収だけを目的に内窓を検討すると、条件によっては期待より回収に時間がかかる可能性があります。
判断のコツは、削減額を「元を取るための数字」ではなく「毎年の光熱費がどのくらい軽くなるかの目安」として受け止めることです。そのうえで、結露の減少や窓際の寒さの解消といったお金に換算しにくい効果を含めて、自分の家にとって価値があるかを考えると、後悔しにくくなります。
失敗パターン:小窓1か所だけ付けて「効果なし」と感じる
内窓の効果を実感できない原因で多いのが、部分的な施工です。予算を抑えるために、結露がひどいトイレや浴室脇の小窓だけ、あるいは寝室の腰高窓1か所だけに内窓を付けたものの、光熱費も室温もほとんど変わらなかった、というパターンです。
原因ははっきりしています。家の熱は、断熱性能の低い窓から優先的に逃げていきます。部屋に窓が複数あるのに1か所だけを内窓にしても、残りの単板ガラスの窓から熱が逃げ続けるため、部屋全体の熱損失はあまり減りません。特にリビングの大窓を手つかずのままにしていると、家全体で見た効果は小さくなります。
対策は、同じ部屋の窓はできるだけ一括で施工し、家全体では冷暖房を長く使う部屋の大きな窓を優先することです。予算内で一度にすべてを施工できなければ、まず一部屋を完結させて、効果を体感してから次の部屋に広げるやり方もあります。
見積もりを取る段階で、施工を予定している窓が部屋のどの窓なのか、同じ部屋に手つかずの窓が残っていないかを確認しておきましょう。「内窓を付けたのに効かなかった」と感じる理由はほかにもあるので、気になる方は下の記事も参考にしてください。
部屋に窓が複数あるのに1か所だけ内窓にすると、残りの単板ガラスの窓から熱が逃げ続け、部屋全体の熱損失はあまり減りません。原因は「効果の出る窓を選べていない」ことです。対策は、同じ部屋の窓は一括で施工し、家全体ではリビングなど冷暖房時間の長い部屋の大きな窓から優先することです。

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結露と音はどこまで減る?内窓の効果を断熱以外で見る
結露が減るのは、室内側のガラスが冷えにくくなるから
内窓を設置すると、室内側のガラスに結露がほとんど付かなくなり、暖房効率も上がるとされています。特に築20年以上で単板ガラスやアルミサッシが使われている住宅では、窓からの熱損失が大きく、結露の悩みも深刻になりやすいので、効果を感じやすいといわれます。
結露が起きる仕組みは、暖かく湿った室内の空気が冷たいガラスに触れて冷やされ、空気中に含みきれなくなった水分が水滴になることです。単板ガラスは外気で冷やされやすく、冬には表面温度が大きく下がるため、水滴が付きやすくなります。内窓を付けると、室内側に面するのは内窓のガラスになり、外窓との間の空気層が外気の冷たさを遮るので、ガラス表面の温度が下がりにくくなります。
とはいえ、結露がゼロになると断言はできません。室内の湿度が高すぎる場合や、内窓と外窓の間に室内の湿った空気が入り込む場合は、外窓の内側に結露が出ることがあります。洗濯物の室内干しや加湿器の使いすぎ、換気不足が重なると、内窓があっても結露は起こり得ます。
判断のコツは、結露対策を内窓だけに任せず、換気と湿度の管理とセットで考えることです。いまの結露がガラスに出ているのか、サッシの枠に出ているのか、窓の下のカビがどの程度進んでいるのかを見ておくと、内窓でどこまで改善できそうかの見通しが立てやすくなります。
防音はT-1~T-4の等級で見る、気密の高い内窓で約7~10dB
内窓には防音の効果もあります。窓の遮音性能はJIS規格のT-1~T-4という等級で評価され、数字が大きいほど音を通しにくくなります。気密性の高い内窓ではT-4相当で、約7~10dBの遮音効果とされています。
音が窓から入ってくる経路は、主にガラスを振動させて伝わるものと、サッシのすき間から空気と一緒に入り込むものの二つです。内窓はガラスとサッシがもう1組加わるので、振動で伝わる音が弱まり、すき間から入る音も内窓の枠で止まりやすくなります。ここでも内窓の気密性、つまりすき間の少なさが効果を左右します。
やりがちな失敗は、「内窓を付ければ外の音がほとんど聞こえなくなる」と期待しすぎることです。音の感じ方は人によって違い、交通量の多い道路沿いや線路の近くでは、内窓を付けても音がゼロになるわけではありません。換気口や壁からも音は入ってくるので、窓だけ対策しても限界があります。
防音を主な目的にする場合は、施工業者に遮音等級がどのくらいの製品なのか、ガラスの種類で違いがあるのかを確認しておくと安心です。断熱のついでに防音も少し良くなればよい、という期待値でいるほうが、施工後の満足度は高くなりやすいでしょう。
窓際の冷えが減ると、部屋の使える広さが変わる
光熱費の数字には表れにくいものの、内窓の効果として実感しやすいのが窓際の冷えの軽減です。冬に窓際に座ると冷たい空気が降りてくる感覚がある家では、内窓を付けることでこの冷えが和らぎ、窓際まで快適に使えるようになります。
窓際が寒く感じるのは、冷えたガラスに触れた室内の空気が冷やされて重くなり、窓の下へ流れ落ちて床を這うように広がるからです。いわゆるコールドドラフトと呼ばれる現象で、暖房で部屋の上の方は暖かくても、足元だけが冷える原因になります。内窓で室内側のガラスが冷えにくくなると、この冷たい空気の流れが弱まります。
よくあるのは、窓際が寒いために暖房の設定温度を上げ、それでも足元が冷えるので電気代だけが増える、という悪循環です。原因が窓にある場合は、暖房の設定を上げても足元の冷えは解消しにくく、窓の対策をしたほうが体感は改善しやすくなります。
自分の家が当てはまるかは、冬に窓際と部屋の中央で体感がどれだけ違うかで判断できます。窓際のソファやデスクが冬に使えない、窓側のベッドだと寒くて眠りにくい、といった悩みがあるなら、内窓で解決できる可能性があります。
外窓交換やガラス交換と比べて、内窓はどちらが得か
断熱性能は内窓+外窓の二重構造が上回るケースが多い
断熱性能で比べると、外窓を樹脂サッシとLow-E複層ガラスの窓に交換した場合の熱貫流率は2.15 W/㎡・K、アルミ単板の外窓の内側に樹脂複層の内窓を足した二重窓は2.00 W/㎡・Kです。外窓を丸ごと高性能な窓に替えるより、内窓を足した二重構造のほうが数字の上では断熱性能が上になります。
理由は空気層にあります。内窓と外窓の間には空気層ができるため、ペアガラス1枚の窓に交換するより熱損失を抑えやすくなります。断熱だけでなく防音についても、内窓を設置したほうが効果が高くなるとされています。ガラスとサッシがもう1組加わる二重構造は、外窓1組の性能だけで勝負するより有利になりやすいわけです。
ただし、これは「内窓がどんな場合でも外窓交換より優れている」という意味ではありません。外窓の枠が傷んで雨漏りやすき間風がある場合や、サッシの開け閉めが重くなっている場合は、内窓を足しても外窓の不具合そのものは直りません。外窓の状態によっては交換のほうが適しています。
判断のコツは、まず外窓の状態を確認することです。外窓がまだ使えて、不満が「寒さ」「結露」「音」に集中しているなら内窓が候補になり、外窓自体の劣化や故障が気になるなら外窓交換を検討する、という切り分けが分かりやすいでしょう。
| 項目 | 内窓を追加(二重窓) | 外窓を樹脂窓に交換 |
|---|---|---|
| 熱貫流率の例 | 2.00 W/㎡・K(外アルミ単板+内樹脂複層) | 2.15 W/㎡・K(樹脂サッシ+Low-E複層) |
| 10年間の削減額の試算 | 約24.4万円程度 | 約22~24万円程度 |
| 既存の外窓 | そのまま残す | 取り替える |
| 向いている家 | 外窓は使えるが寒さ・結露・音に悩む家 | 外窓自体が劣化・故障している家 |
10年間の削減額は内窓と樹脂窓交換でほぼ横並び
光熱費の削減額で比べると、内窓設置の10年間の削減額は約24.4万円程度、樹脂窓への交換は約22~24万円程度という試算があり、大きな差はありません。どちらを選んでも、冷暖房費を下げる効果は同じくらい期待できるということです。
削減額がほぼ横並びになるのは、どちらの方法でも最終的な窓の熱貫流率が2.00と2.15という近い水準に収まるからです。熱の出入りの量が同じくらいなら、冷暖房費の削減額も近い値になります。前提となる地域や窓の数が同じ試算で比べると、方式の違いより「どの窓に施工するか」のほうが削減額を大きく左右します。
見落としやすいのは、光熱費の削減額だけで方式を決めてしまうことです。削減額が同じくらいなら、次に比べるべきは費用と工事の手軽さ、そして日々の使い勝手です。内窓は窓の開け閉めが2回になり、掃除するガラスが増える一方、外窓交換はそうした手間は増えません。
自分の家に合うほうを選ぶには、「光熱費の削減」「工事の規模」「日常の手間」の三つを並べて比べることです。削減額に差がない以上、工事の負担と使い勝手のどちらを優先するかで判断すると、選んだ後の後悔が少なくなります。
内窓は外窓に触れないので工事が手軽になりやすい
内窓の大きな利点は、既存の外窓を交換せずに断熱性能を上げられ、施工が簡易であることです。外窓には手を付けず、室内側の窓枠に新しい窓を取り付けるだけなので、工事の規模を小さく抑えやすくなります。
外窓の交換は、既存のサッシを外して新しい窓を取り付けるため、外壁との取り合いの処理が必要になる場合があります。一方で内窓は室内側だけで工事が完結するので、足場を組む必要がなく、外壁に手を加えることもありません。住みながらの工事でも負担が小さく済みやすい方式です。
ただし「簡易」と聞いて、窓枠に奥行きがなくても付けられると考えるのは早計です。内窓を取り付けるには、既存の窓枠に内窓の枠を固定できるだけの奥行きが必要で、足りなければふかし枠と呼ばれる部材で奥行きを補います。カーテンレールやブラインドとの干渉、窓の開閉方向によっては、取り付けに工夫が必要になることもあります。
マンションの場合は、外窓が共用部分とされていることが多く、外窓の交換には管理組合の手続きが必要になるケースがあります。内窓は室内側の工事になるため比較的検討しやすいものの、工事前に管理規約を確認しておくのが安心です。
| 分類・方式 | 内窓(二重窓)・樹脂サッシ |
| 選べるガラス | Low-E複層ガラス、Low-E三層ガラスに対応 |
| 断熱性能 | ガラス種類や既設窓(外窓)との組合せにより異なる(メーカー公式FAQ) |
| 2026年の補助対象 | S・SSグレードが先進的窓リノベ2026の補助対象 |
| 向いている用途 | 外窓を交換せずに、既存窓の内側から断熱性能を上げたい場合 |
製品の詳しいラインナップはメーカー公式の製品ページで確認できます。ここで挙げたのは代表例の一つで、他社にも同じ仕組みの内窓があります。製品名よりも、枠の材質・ガラスの種類・性能グレードの三点で比べるのが中立的な選び方です。
2026年の補助金で内窓はいくら戻る?Sグレード以上だけの新ルール
先進的窓リノベ2026では内窓の対象がS・SSグレードに絞られた
2026年度の国の窓リフォーム補助金である「先進的窓リノベ2026事業」では、内窓の補助対象がSグレードとSSグレードのみ(Uw1.5以下)になりました。前年まで対象だった内窓のAグレードは補助対象から除外されています。2026年の主な変更点は、特大サイズの追加、内窓Aグレードの除外、補助単価の見直しの三つです。
グレードは窓の断熱性能で区分されており、数字の小さいUw値ほど高性能です。国が補助対象を高性能な内窓に絞ったのは、補助金の効果を断熱性能の高い工事に集中させるためと考えられます。つまり、2026年に補助金を使って内窓を付けるなら、以前より高い性能の製品を選ぶ必要があるということです。
ここで困るのが、前年の情報をもとに計画を立てていた場合です。「内窓ならAグレードでも補助が出る」という前提で見積もりを比べていると、2026年には対象外になり、想定していた補助額が受け取れないことがあります。インターネット上には前年の情報も多く残っているので、年度を確認しないまま比較するのは危険です。
見積もりを取るときは、内窓の性能がSグレードかSSグレードかを必ず確認し、見積書にもグレードを明記してもらいましょう。制度の詳細は先進的窓リノベ2026事業の公式サイトで確認できます(2026年度時点の内容で、今後変わる可能性があります)。

「内窓を1枚入れるだけなのに、なぜ見積もりが10万円を超えるのか」——二重窓の費用を調べ始めた人が最初にぶつかるのが、この金額の違和感です。カーテンやシートなら…
補助額はグレード×サイズで決まり、SSの特大は140,000円
内窓の補助額は、性能グレードと窓の大きさの組み合わせで決まります。最も高いのはSSグレードの特大サイズで140,000円、最も低いのはSグレードの小サイズで22,000円です。一戸あたりの補助額は5万円から最大100万円までとされています。
サイズごとの区分は、面積で4段階に分かれています。特大は4.0㎡以上、大は2.8~4.0㎡、中は1.6~2.8㎡、小は0.2~1.6㎡です。窓が大きいほど、そしてグレードが高いほど補助額が大きくなる仕組みで、断熱効果の大きい工事ほど手厚く補助されるように設計されています。
| サイズ区分 | 窓の面積 | SSグレード | Sグレード |
|---|---|---|---|
| 特大(G) | 4.0㎡以上 | 140,000円 | 76,000円 |
| 大(L) | 2.8~4.0㎡ | 89,000円 | 52,000円 |
| 中(M) | 1.6~2.8㎡ | 58,000円 | 34,000円 |
| 小(S) | 0.2~1.6㎡ | 36,000円 | 22,000円 |
よくある勘違いは、小さな窓1か所でも補助金が受け取れると思い込むことです。一戸あたりの補助額には下限の5万円があるため、たとえばSグレードの小サイズ1窓(22,000円)だけでは下限に届きません。複数の窓を組み合わせて、合計が下限を超えるように計画する必要があります。
判断のコツは、自宅の窓をサイズ区分に当てはめて、どの窓を何グレードで施工すれば補助額がいくらになるかを、見積もりの段階で施工業者に計算してもらうことです。補助額はグレードの差でも大きく変わるので、SとSSの両方で見積もりを出してもらうと比べやすくなります。
内窓の設置費用は1窓5~15万円程度、補助金で負担はどこまで下がるか
内窓の設置費用は、1窓あたり5~15万円程度が目安とされ、そのうち施工費は3~7万円程度といわれます。窓の大きさ、ガラスの種類、施工条件、時期によって変動するため、あくまで目安として捉えてください。補助金を活用すると、条件によっては実質負担が3万円台まで下がる例もあります。
費用に幅が出るのは、窓の大きさとガラスのグレードで材料費が大きく変わるうえ、窓枠の奥行きが足りない場合のふかし枠の追加など、現場ごとに必要な作業が違うからです。高性能なガラスを選ぶほど本体価格は上がりますが、補助額も大きくなるため、補助後の実質負担で比べると差が縮まることがあります。
注意したいのは、特定の業者の見積もり額や「補助金で実質○万円」という広告の数字を、そのまま相場として受け止めてしまうことです。実質負担は窓のサイズ・グレード・枚数で変わり、下限5万円に届かない工事では補助そのものが出ません。広告の数字は、条件がそろった一例にすぎません。
費用を比べるときは、同じ窓・同じグレードの条件で複数の見積もりを取り、「工事費の総額」と「補助後の実質負担」の両方を並べて比較することです。費用の内訳や回収年数については、関連記事でより詳しく整理しています。
失敗パターン:位置要件や着手日を満たさず補助の対象外になる
補助金で起こりやすい失敗が、工事の条件を満たさずに対象外になるパターンです。内窓の補助対象は「既存窓の内側に新たな内窓を新設する、または既存内窓を交換する工事」で、既存の外窓の開口面から屋内側へ50cm以内に平行に設置するものに限られます。
対象外になる工事も明記されています。開口面と平行でない内窓の設置、開口面から50cm超で設置する内窓、既存の外窓1つに対して3つ以上の内窓を新しく取り付ける工事です。また、対象となるのは補正予算案の閣議決定日である2025年11月28日以降に着手した工事に限られます。出窓の内側に角度をつけて付けるような特殊な設置や、着手日の前に工事を始めてしまったケースは、補助を受けられない可能性があります。
原因の多くは、補助金の条件を確認しないまま工事の内容を決めてしまうことです。対策は、工事を始める前に、設置位置が要件を満たすか、製品のグレードが対象か、着手日が要件の範囲内かを施工業者と一緒に確認することです。申請は登録事業者を通じて行うのが一般的なので、補助金の申請に対応しているかも事前に聞いておきましょう。
もう一つの注意点は予算です。2026年9月23日時点で予算の約25%が配分されており、残額に達した時点で申請受付は終了します。対象住宅は戸建住宅、分譲集合住宅、賃貸集合住宅と幅広いものの、予算がなくなれば受け付けられません。検討中なら早めに見積もりを取り、予算の消化状況を公式サイトで確認しておくと安心です。
補助対象外になる原因は、内窓がAグレード、開口面から50cm超・平行でない設置、外窓1つに3つ以上の内窓、2025年11月28日より前の着手、一戸あたりの合計が下限5万円未満、のいずれかであることが多いです。工事を始める前に施工業者と条件を一つずつ確認しましょう。
内窓が効く家・効きにくい家の分かれ目はどこにある?
効果が大きく出るのは築年数の古いアルミ単板の家
内窓の効果が最も大きく出るのは、築20年以上でアルミサッシと単板ガラスの窓が使われている住宅です。こうした家では窓からの熱損失が大きく、熱貫流率6.51の窓を2.00まで下げられるので、改善の幅がそのまま大きな効果になります。冬の断熱改修による体感効果も実感しやすいとされています。
効果の大きさは、改善前と改善後の差で決まります。もともとの窓の性能が低いほど、内窓を付けたときの差が大きくなり、光熱費の削減も体感の変化も大きくなります。単板ガラスの窓がリビングに大きく取られている家は、内窓の恩恵を受けやすい典型です。
反対に、すでに樹脂サッシと複層ガラスの窓が使われている比較的新しい家では、改善前の性能がある程度高いため、内窓を足しても伸びしろは小さくなります。熱貫流率2.15の窓を二重窓の2.00相当にする程度では、光熱費の差もわずかにとどまる可能性があります。
自分の家がどちらに当てはまるかは、窓ガラスの枚数とサッシの材質、そして築年数の三つで判断できます。ガラスが1枚でアルミサッシの家は内窓の優先度が高く、すでに複層ガラスの樹脂窓なら、窓以外の断熱や使い方の見直しを先に検討してもよいでしょう。
読者タイプ別:内窓を優先すべき人・後回しでよい人
内窓が向くかどうかは、家の条件だけでなく、住む人の悩みや暮らし方でも変わります。冬の寒さと結露に悩む人、窓から入る音が気になる人、冷暖房費を抑えたい人は優先度が高く、住み替えを予定している人や窓の不満が少ない人は後回しでもよいタイプです。
たとえば、築年数の古い戸建てで冬に窓際が冷え、毎朝結露を拭いている家族は、内窓の効果を最も実感しやすいタイプです。在宅時間が長く一日中冷暖房を使う家庭は、光熱費の削減額も大きくなりやすいでしょう。幹線道路沿いに住み、夜の車の音が気になる人も、断熱と防音を同時に改善できる点で内窓と相性がよいといえます。
一方で、数年以内に住み替えを考えている人は、光熱費の削減額が工事費に届く前に家を離れることになるかもしれません。賃貸住宅に住んでいる人は、取り付けに貸主の許可が必要になるケースが多く、手軽な簡易内窓を選ぶなど別の方法を検討することになります。窓の開け閉めを頻繁にする部屋では、2枚の窓を操作する手間が負担になる場合もあります。
判断のコツは、「窓の悩みの大きさ」と「その家に住み続ける期間」を掛け合わせて考えることです。悩みが大きく長く住む予定なら内窓の優先度は高く、悩みが小さいか住む期間が短いなら、費用の少ない方法から試すのが合理的です。
内窓の効果を打ち消す「すき間」と「換気不足」
内窓を付けても期待したほどの効果が出ない場合、原因として多いのがすき間と換気不足です。内窓がきちんと閉まっていない、枠との間にすき間が残っている、という状態では空気層が成り立たず、断熱効果も防音効果も弱まります。
内窓の効果は、内窓と外窓の間に閉じ込めた空気が動かないことで生まれます。すき間があると、室内の空気が空気層に出入りして熱を運び、内窓がないのと近い状態に戻ってしまいます。また、室内の湿った空気が空気層に入ると、外窓の内側で結露が起こる原因にもなります。
よくあるのは、内窓の片側だけを閉め忘れて半開きのまま過ごしていたり、網戸の出し入れのために内窓を開けっぱなしにしていたりするケースです。施工の段階で窓枠がゆがんでいてすき間ができていることもあります。内窓の効果が薄いと感じたら、まず閉め方と枠のすき間を確認してみてください。
換気とのバランスも大切です。内窓で気密性が上がると、室内の湿気がこもりやすくなる面もあります。換気扇や換気口を適切に使い、室内の湿度を上げすぎないようにすることで、内窓の結露防止の効果を十分に引き出せます。内窓の手間やデメリットについては、下の記事でも詳しく整理しています。

断熱リフォームを調べていると、内窓(二重窓)はほぼ必ず「まずここから」とすすめられます。工事は1窓あたり1時間ほどで終わり、壁を壊さず、補助金の対象にもなる。た…
内窓を付ける前に確認しておきたい手順と判断材料
最初に確認するのは窓枠の奥行きと窓の開き方
内窓を付けられるかどうかを最初に左右するのは、既存の窓枠の奥行きと、窓の開き方です。内窓は既存の窓枠に新しい枠を固定するため、枠を取り付けるだけの奥行きが必要で、足りない場合はふかし枠で補うことになります。
奥行きが重要なのは、内窓の枠を固定する場所が確保できないと、内窓がぐらついたり、すき間ができたりして、断熱効果が下がるからです。また、既存の窓が外側に開くタイプか、内側に開くタイプかによっても、内窓の形や取り付け方が変わります。内倒しの窓や開き窓では、内窓との干渉に注意が必要です。
やりがちな失敗は、窓の近くにあるカーテンレールやブラインド、エアコンの配管などとの干渉を見落とすことです。内窓を取り付けた後にカーテンが閉まらなくなったり、窓の開閉が引っかかったりすると、使い勝手が下がります。取り付けの可否は現地で採寸しないと判断できないため、施工業者の現地調査を受けるのが確実です。
判断のコツは、現地調査の際に、奥行きが足りるか、ふかし枠が必要か、周辺の設備と干渉しないかを一つずつ確認してもらうことです。ふかし枠が必要になると追加費用がかかるので、見積もりにその費用が含まれているかも合わせて確認しておきましょう。
見積もりで比べるべきは「総額」「グレード」「補助後の負担」
複数の見積もりを比べるときは、工事費の総額、内窓の性能グレード、補助後の実質負担の三つをそろえて比べるのが基本です。総額だけで比べると、グレードの低い内窓を選んで補助金の対象から外れたり、必要な工事が含まれていなかったりすることがあります。
見積もりの条件がそろっていないと、正しい比較ができません。同じ窓でも、ガラスの種類やグレードが違えば本体価格も補助額も変わります。A社はSSグレードの複層ガラス、B社はSグレードのガラス、というように条件が違う見積もりを総額だけで比べると、安い方が実は性能も補助額も低かった、ということが起こります。
よくある状況として、一番安い見積もりを選んだものの、補助対象外のグレードだったために補助金が受け取れず、補助後の負担が他社より高くなってしまった、というケースがあります。また、「補助金の申請は自分でやってください」と言われ、手続きに戸惑うこともあります。
見積もりを依頼するときは、施工する窓・サイズ・グレードを同じ条件にそろえて依頼し、見積書にガラスの種類と性能グレード、ふかし枠などの追加工事の有無、補助金の申請代行の可否を明記してもらいましょう。業者選びでは特定の会社を推すのではなく、これらの基準で中立的に比べるのが後悔しないコツです。
内窓以外の選択肢と組み合わせて考える
内窓は窓の断熱に効果の大きい方法ですが、家全体の快適さや光熱費を考えるなら、ほかの対策との組み合わせも視野に入れると判断しやすくなります。窓の対策を先に済ませ、残った寒さや暑さを別の方法で補う、という順番が合理的です。
家の熱の出入りは、冬の約58%、夏の約73%が窓からです。裏を返せば、残りは壁・屋根・床・換気などから出入りしています。窓の対策をしても足元が冷える場合は床下の断熱、天井からの暑さが気になる場合は天井の断熱など、窓以外の部位に原因が残っていることがあります。
やりがちなのは、窓以外の対策を先に大がかりに行い、最も大きな熱の出入り口である窓を後回しにしてしまうことです。工事の規模と費用に対して得られる効果を考えると、熱の出入りの過半を占める窓から手を付けるほうが、費用あたりの効果は大きくなりやすいといえます。
判断のコツは、まず内窓で窓の対策を済ませてから、残った不満がどこにあるかを見極めることです。暖房の設定温度を上げる前に窓を疑う、という考え方は家全体の省エネにも通じます。予算が限られる場合は、手軽な簡易内窓で効果を試してから本格的な内窓を検討する方法もあります。
まとめ
内窓の効果は、窓の構成と施工する場所でほぼ決まります。最初の一歩として、自宅の窓ガラスが1枚か2枚か、サッシがアルミか樹脂かを確かめ、冷暖房を最も長く使う部屋の大きな窓を一つ特定してみてください。そのうえで、同じ窓・同じグレードの条件で見積もりを取り、工事費の総額と補助後の実質負担を並べて比べれば、自分の家にとって内窓が見合うかどうかを数字で判断できます。
※補助金の内容・金額は2026年度時点のものです。最新情報は公式サイトでご確認ください。

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