「HEMSを入れると補助金が出ると聞いたけれど、いくらもらえるのか」「今の家に後付けしても対象になるのか」。hems補助金を調べると、数万円の話と桁が2つ違う話が同じ画面に並びます。どれが自分に当てはまるのか分からなくなる人は少なくありません。
先に結論をお伝えします。2026年度時点で、国がHEMS単体に出す補助金はありません。国の単体制度は2013年に終わりました。現在は「みらいエコ住宅2026事業」などの住宅向け補助事業の中で、HEMSが要件の一つとして組み込まれています。HEMSが必須のGX志向型住宅なら補助額は最大125万円です。ただしこれは住宅全体に対する補助で、HEMSの機器代だけに出るお金ではありません。
この記事では、次の4点を公的な資料と数字で整理します。国の制度の中でのHEMSの位置付け、補助対象になる製品の条件、導入費用の相場、自治体の上乗せ補助の探し方です。導入を勧める記事ではありません。「自分の家では補助金とHEMSをどう考えればいいか」を判断する材料としてお使いください。
・国のHEMS単体補助が2013年に終わり、2026年度は住宅補助の「要件」になっている仕組み
・みらいエコ住宅2026事業でHEMSが必須になる住宅区分と補助額
・補助対象になるHEMS製品の条件(ECHONET Lite AIF仕様・JC-STAR)と導入費用の相場
・江東区・横浜市・さいたま市の例から学ぶ、自治体の上乗せ補助の探し方
hems補助金は2026年度どうなっている?単体の制度が消えて住宅補助に移った経緯

国がHEMSだけに出す補助金は、2026年度時点では存在しない
まず押さえておきたいのは、「HEMSを買って付けたら、国から機器代の一部が戻ってくる」という制度は2026年度時点でないことです。国の直接補助がゼロなので、「HEMS補助金」を国の制度として探しても、単独の申請窓口は見つかりません。
理由は制度の歴史にあります。かつては「住宅・ビルの革新的省エネ技術導入促進事業費補助金(HEMS機器導入支援事業)」という、HEMSそのものを対象にした国の補助がありました。これが2013年に終了しています。その役割を引き継ぐ形で、現在はみらいエコ住宅2026事業など、より大きな枠組みの中でHEMSが要件の一つとして支援されています。
この違いで困るのが、築年数の経った家にHEMSだけを後付けしたい人です。「国の補助が出るはず」と見込んで予算を組むと、あとで対象外と分かって資金計画が崩れます。広告に「HEMS補助金対象」とあっても、「住宅補助事業の要件を満たす製品です」という意味で使われていることがあります。この表現は、機器単体に補助が出るという意味とは限りません。
判断のコツは、見積もりや広告で補助金の話が出たら「どの事業の、どの住宅区分に対する補助か」を必ず聞くことです。事業名と区分が答えられない説明は、年度が古い情報か、自治体の独自制度と混ざっている可能性があります。
なぜHEMSは「住宅の性能」の一部として扱われるのか
HEMSが単体補助から住宅補助の要件に移ったのは、HEMSだけでは省エネが完結しないからです。HEMSは家の中の電気の使い方を「見える化」し、対応機器を制御する司令塔です。断熱性能の高い家や太陽光発電、効率のよい給湯器と組み合わさって、はじめて効果が数字に表れます。
そのため現在の国の支援は、住宅全体の省エネ性能を底上げする事業の中にHEMSを位置付けています。統合先として挙げられているのは、みらいエコ住宅2026事業、ZEH補助金、給湯省エネ2026事業です。関係する省庁は国土交通省・環境省・経済産業省の3つにまたがります。環境省も住宅の省エネ化支援のページで関連制度を案内しています。
よくある失敗は、HEMSを独立した「節電家電」と考えて先に買ってしまうことです。あとから住宅補助の対象になる家を建てる場合、手元のHEMSが対象製品の条件を満たしていないと、要件を満たすために別の製品を入れ直すことになりかねません。
見極め方はシンプルです。新築や大規模な住宅計画が控えているなら、HEMSは住宅会社の提案の中で一緒に決めます。単独で先行購入するのは、住宅補助を使わないと決めてからにしましょう。
「HEMS補助金」の検索結果が食い違って見える3つの理由
検索結果の金額や条件がばらばらに見えるのは、性質の違う3種類の情報が同じ言葉で紹介されているからです。どれかが間違っているとは限りません。
1つ目は、2013年以前の単体制度を解説した古い記事です。当時の条件は現在の制度と無関係なので、年度が書かれていない記事はまず疑ってかかる必要があります。2つ目は、国の住宅補助事業の金額が「HEMS補助金」として紹介されているケースです。GX志向型住宅の最大125万円がHEMSの補助額のように書かれていると、読者は機器代に125万円出ると誤解しやすくなります。3つ目は自治体の独自補助です。後で詳しく触れますが、横浜市の定額8,000円のように、市区町村ごとに金額も方式も違います。
この3つを混同すると、「国から125万円もらえると思ったら新築向けの話だった」「自治体の補助を国の制度と勘違いし、住んでいる市では対象外だった」という行き違いが起きます。
情報を読むときは、実施主体(国か自治体か)、年度、対象(住宅全体か設備単体か)の3点をメモしながら読み進めてください。この3点が揃わない情報は、判断材料から外して構いません。
自分が対象になりうるかは「新築の計画があるか」でまず分かれる
最初の分かれ道は、これから建築確認申請を伴う住宅づくりをするかどうかです。この記事で扱う国の住宅区分は、工事着手や建築確認申請の時期で管理されます。着手は2025年11月28日以降、建築確認申請は2026年12月31日までが期限です。いずれも予算上限に達すれば前倒しで締め切られます。
みらいエコ住宅2026事業のHEMS要件は、GX志向型住宅・長期優良住宅・ZEH水準住宅という「住宅の区分」に付いています。住み慣れた家にHEMSだけを足したい場合、国の住宅区分の条件に当てはめるのは現実的ではありません。この場合の入口は、自治体の独自補助になります。
失敗しやすいのは、住宅の計画段階で補助金の話を後回しにし、建築確認申請の時期が過ぎてから気づくパターンです。また、住宅補助は住宅会社などの登録事業者が手続きを進めます。施主が後から個人で追加申請する形にはなりません。
確認しておくべき点は2つです。1つは、自分の計画がどの住宅区分を目指しているか。もう1つは、申請手続きを担う事業者が決まっているかです。この2つが決まっていれば、HEMSの要件を満たすかどうかは事業者と一緒に確認できます。
HEMS=ホームエネルギーマネジメントシステム。家庭内の電気の使用量を数値で見える化し、対応する家電や設備を遠隔操作・自動制御する仕組み。
ECHONET Lite AIF仕様=HEMSのコントローラーとエアコン・給湯器などの機器が、メーカーをまたいで正しく通信できることを確認するための共通仕様。みらいエコ住宅2026事業では、この仕様の認証を受けた製品であることが要件になっています。
最大125万円の条件は?みらいエコ住宅2026事業で見るHEMS必須の住宅区分
GX志向型住宅はHEMSが必須、補助額は最大125万円
2026年度のみらいエコ住宅2026事業で、HEMSが必ず求められるのはGX志向型住宅です。補助額は最大125万円で、3つの住宅区分の中でいちばん大きな枠になっています。対象世帯の限定はなく、すべての世帯が対象です。
HEMSが必須になっている理由は、この区分の性格にあります。GX志向型住宅は、断熱性能や設備の効率に加えて、家全体のエネルギーを管理できることまで含めて高い水準を求める区分です。発電・給湯・空調を個別に高性能にするだけでなく、それらをまとめて制御する司令塔としてHEMSが位置付けられています。
具体的に注意したいのは、125万円は「HEMSに対する補助」ではないことです。断熱や設備を含む住宅の性能に対する補助で、HEMSはそのための条件の一つにすぎません。HEMSを付けただけで125万円が出るわけではなく、他の性能要件をすべて満たしてはじめて対象になります。
判断のコツは、住宅会社の提案書に「GX志向型住宅として申請する前提か」を明記してもらうことです。前提が曖昧なまま仕様を決めると、HEMS以外の要件が足りずに下の区分での申請になり、資金計画がずれます。
長期優良住宅80万円・ZEH水準住宅35万円~40万円は世帯が限られる
GX志向型住宅以外の2区分は、補助額と対象世帯の条件が変わります。長期優良住宅は80万円、ZEH水準住宅は35万円~40万円です(2026年度)。どちらも若者夫婦世帯または子育て世帯に限定されています。HEMSは「条件により必須」とされ、GX志向型住宅のように一律で必須ではありません。
区分ごとに世帯要件があるのは、制度が省エネ性能の向上に加えて、住宅取得の支援という目的も持っているためです。性能のハードルが最も高いGX志向型住宅は世帯を問わず、ほかの2区分は支援する世帯を絞っている、という設計になっています。
数字で比べると、GX志向型住宅の最大125万円と長期優良住宅の80万円には45万円の差があります。ただ、この差額だけを見て区分を選ぶのは危険です。子育て世帯でも若者夫婦世帯でもない家庭は、そもそも下の2区分に申請できません。一方でGX志向型住宅を目指すと、HEMSを含む設備の費用が補助額の差以上に増えることもあります。
見極めるときは、①自分の世帯がどの区分に申請できるか、②その区分でHEMSが必須かどうか、の順に確認してください。区分ごとのHEMSの扱いは、みらいエコ住宅2026事業の公式サイトで事業者と一緒に確認するのが確実です。
| 項目 | GX志向型住宅 | 長期優良住宅 | ZEH水準住宅 |
|---|---|---|---|
| 補助額 | 最大125万円 | 80万円 | 35万円~40万円 |
| HEMSの扱い | 必須 | 条件により必須 | 条件により必須 |
| 対象世帯 | すべての世帯 | 若者夫婦世帯・子育て世帯 | 若者夫婦世帯・子育て世帯 |
期限は2026年12月31日でも、予算が尽きれば前倒しで締め切られる
カレンダー上の期限は、交付申請の予約期限が2026年11月30日、交付申請期限が遅くとも2026年12月31日です。ただしこの日付は「この日まで確実に受け付ける」という意味ではありません。予算上限に達した時点で、期限前でも受付が終了します。
国の住宅補助は事業ごとに予算の総額が決まっていて、申請が集中すると早く枠が埋まります。前例として、2025年度に実施された子育てグリーン住宅支援事業は7月22日の時点で予算上限に達しました。受付開始から4か月弱での終了です。
この仕組みで損をするのは、「年末までに申請すれば大丈夫」と考えて、仕様決めや契約をのんびり進めた家庭です。建物の工事が進んでいても、申請の段階で枠が残っていなければ補助は受けられません。住宅ローンの借入額を補助込みで組んでいた場合、差額を自己資金で埋めることになります。
対策として、契約前に「予算の消化状況をどこで確認するか」「予約申請をいつ出す予定か」を事業者に聞いておきましょう。補助金を前提にしない資金計画も一つ作っておくと、枠が埋まったときに慌てずに済みます。
窓・給湯の補助とワンストップで申請できる意味
みらいエコ住宅2026事業は、先進的窓リノベ2026事業、給湯省エネ2026事業とワンストップで申請できる仕組みになっています。HEMSを含む住宅の補助と、窓や給湯器の補助を別々の窓口に出す必要がありません。
複数の事業を一体で運用しているのは、3つの制度がいずれも住宅の省エネ化という同じ目的を持っているからです。熱が逃げやすい窓、消費エネルギーの大きい給湯、それらを管理するHEMSは、組み合わせるほど効果が出ます。そこで、申請の手間を減らして同時に使いやすくしています。
ただし、ワンストップで申請できることと、同じ工事に補助が重なることは別の話です。同じ設備に複数の事業から二重に補助を受けられるとは限りません。どの工事をどの事業で申請するかは、登録事業者が振り分けます。「全部に補助が出る」と思い込んで見積もりを比べると、実際の補助額との差に驚くことになります。
窓の断熱改修と補助額の考え方は、次の記事で数字を使って整理しています。

冬になると窓際だけ空気が冷たい、朝カーテンを開けるとガラスがびっしり濡れている——そういう家で「壁の断熱材を入れ直すべきか」と考える前に、まず見るべきは窓です。…
確認のコツは、見積書で工事ごとに「申請する事業名」を書いてもらうことです。事業名が工事の横に並んでいれば、補助の重複や申請漏れに気づけます。
そのHEMS、補助対象外かもしれません|製品リストとJC-STARの確認手順

条件はECHONET Lite AIF仕様の「コントローラ」であること
みらいエコ住宅2026事業でHEMSとして認められるのは、「ECHONET Lite AIF仕様」に対応する「コントローラ」です。さらに、一般社団法人エコーネットコンソーシアムのホームページに掲載されている製品であることが求められます。
この条件がある理由は、HEMSの価値が「つながること」にあるからです。エアコンや給湯器はメーカーがばらばらでも、共通の仕様で通信できなければ、家全体を管理する司令塔として働けません。ECHONET Lite AIF仕様は、コントローラーとスマートメーター、エアコン、給湯器などの機器が正しくやり取りできるかを確認する枠組みで、対応する機器は100種類以上に広がっています。
見落としやすいのは、「スマートホーム機器」「電力モニター」と呼ばれる製品の中に、この仕様の認証を受けていないものが混ざっている点です。電気の使用量をスマートフォンで見られる、家電を遠隔で操作できる、という機能が同じでも、仕様の認証がなければ補助の要件は満たしません。
判断のコツは、製品名の「HEMS」という表記を信用しすぎないことです。カタログや商品ページに「ECHONET Lite AIF仕様」と「コントローラ」の2語が揃っているかを見ましょう。そのうえで、次に説明する公式の掲載リストで型番を照合してください。
性能が足りていても、掲載リストになければ対象外
公式の案内で最も強く注意されているのが、この点です。性能を満たす製品であっても、掲載されていない(認証を受けていない)製品は補助対象になりません。判定の基準は「性能」ではなく「リストに載っているかどうか」です。
補助事業は申請の数が多く、1件ごとに製品の性能を審査していては処理が間に合いません。そこで、第三者の認証を受けてリストに載った製品だけを対象にするという線引きがされています。みらいエコ住宅2026事業のHEMS要件のページで、この考え方が示されています。
よくあるのは、施主が高機能な電力管理機器を自分で選び、住宅会社に「これを付けてほしい」と依頼するケースです。機能は十分でも、エコーネットコンソーシアムのホームページに型番が掲載されていなければ要件を満たしません。GX志向型住宅の申請が通らない原因になります。原因は「性能が高ければ対象になる」という思い込みです。
対策:製品を決める前に型番を掲載リストで照合し、照合結果を登録事業者にも確認してもらいます。同じシリーズでも型番が違えば掲載状況が変わることがあるため、シリーズ名ではなく型番単位で確認します。
判断のポイントは、リストの確認を「施主」「事業者」の両方で行うことです。どちらか一方の確認だと、型番の読み違いに気づけません。
2026年7月1日以降の建築確認申請はJC-STAR★1以上が必須
2026年度の途中から、HEMSにはセキュリティの要件も加わりました。建築確認申請が2026年6月30日以前の場合、JC-STAR★1以上の適合ラベル取得は「推奨」です。2026年7月1日以降の建築確認申請では「必須要件」になります。この記事を書いている2026年9月時点で新たに建築確認申請を出す家は、原則として必須側に当たります。
セキュリティが問われるのは、HEMSが家の設備を遠隔で操作する機器だからです。IP通信を使う機器の防御が甘いと、外部から不正に操作される入口になりえます。JC-STARは、IoT製品が一定のセキュリティ水準を満たしているかを示すラベル制度で、IP通信を使うHEMSにはこの認証が求められます。
ここで起きやすい行き違いは、年度前半に仕様を決めた計画です。ECHONET Lite AIF仕様の掲載リストには載っていても、JC-STARのラベルがない製品を選んでいた場合を考えてみてください。建築確認申請が7月1日以降にずれ込むと、その製品は要件を満たさなくなります。設計変更などで申請日が後ろにずれるのは珍しくありません。
確認のコツは、「建築確認申請の予定日」と「製品のJC-STAR取得状況」を並べて見ることです。申請日が7月1日の前か後か微妙な計画なら、最初からJC-STAR★1以上の製品を選んでおくと、日程が動いても製品を選び直さずに済みます。
契約前に確認しておく順番
ここまでの条件を整理すると、契約前の確認は「住宅区分 → 製品の掲載 → セキュリティ」の順に進めるのが効率的です。前の段階で対象外と分かれば、後の確認は不要になります。
この順番にするのは、条件の大きさが違うからです。住宅区分でHEMSが必須でなければ、製品の細かな認証を急いで調べる必要はありません。一方、GX志向型住宅を目指すなら、製品の掲載とJC-STARの2つを両方満たさないと要件が崩れます。
公式リストはエコーネットコンソーシアムのホームページで確認できます。照合した日付と型番をメモしておくと、あとで事業者とやり取りするときに話が早くなります。
HEMSの導入費用は本体4万円台から|後付けで15万〜20万円になる内訳
本体だけなら4万円台~、タッチパネル付きは8~9万円台
HEMSの本体価格は、機能によって幅があります。基本的な機能だけの製品で4万円台~、タッチパネルモニター付きの高機能タイプで8~9万円台が相場です。ただしこれは本体の価格で、家に取り付けて使える状態にするまでの総額ではありません。
価格差が出るのは、表示と操作の手段が違うからです。タッチパネル付きのタイプは、家の中に専用の画面を持ち、スマートフォンを開かなくても使用量を確認できます。基本タイプは、表示や操作をスマートフォンなど手持ちの端末に任せる分、本体の価格を抑えています。
よくある勘違いは、本体価格だけを見て「本体を買えばすぐ導入できる」と考えることです。実際には、電気の使用量を測る仕組みを分電盤側に用意したり、配線工事をしたりする費用がかかる製品が少なくありません。導入費用の相場は、本体と工事を含めて10~30万円と幅広く見ておく必要があります。
見極めのコツは、見積もりを「本体」「計測に必要な機器」「工事費」に分けてもらうことです。この3つが一式でまとめられた見積もりは、他社との比較ができません。家族が普段スマートフォンで確認するなら、専用画面の有無で差額を払う価値があるかも考えてみてください。
後付けは分電盤2万~3万円と施工費約3万円が上乗せされる
すでに住んでいる家にHEMSを後付けする場合、総額は約15万〜20万円になるケースが多いとされています。内訳の目安は、HEMS本体機器が10万〜15万円、分電盤が2万~3万円、施工費用が約3万円です。
後付けで費用が膨らむのは、分電盤まわりに手を入れる必要があるためです。HEMSで回路ごとの使用量を把握するには、分電盤で電気を計測できる状態にしなければなりません。既存の分電盤が対応していなければ、交換や機器の追加が発生します。新築なら最初から対応した分電盤を選べますが、後付けではその分が追加工事になります。
| HEMS本体機器 | 10万〜15万円(後付けの目安) |
| 分電盤 | 2万~3万円 |
| 施工費用・工事期間 | 約3万円・1~2日程度 |
| 総額の目安 | 15万〜20万円のケースが多い(設置条件・時期により変動) |
分電盤の工事は、配線に触れる作業です。自分で分電盤を開けて計測機器を取り付けるのは避け、電気工事の資格を持つ業者に依頼してください。工事期間は1~2日程度が目安で、その間は一時的に電気を止める時間が発生することもあります。
確認しておくべき点は、今の分電盤がそのまま使えるかどうかです。現地調査の段階で「分電盤の交換が必要か」を聞いておくと、見積もりが後から膨らむのを防げます。
工事不要型は49,940円程度の例もあるが、できることが違う
分電盤の工事をしない「工事不要型」のHEMSもあり、販売価格が49,940円程度の製品例があります。価格は販売時期や販売経路で変わるため、目安として捉えてください。後付けの総額15万〜20万円と比べると、初期費用を抑えられるのが特長です。
工事が不要になるのは、スマートメーターと通信して家全体の電気の使用量を取得するなど、分電盤に計測機器を組み込まない方式をとっているためです。その分、分電盤に計測ユニットを入れるタイプとは、測れる範囲や制御できる機器が変わってきます。分電盤側で計測するタイプには、分岐回路(コンセント)ごとに電気使用量を確認できる製品があります。
失敗しやすいのは、「部屋ごとの無駄を突き止めたい」という目的なのに、家全体の使用量しか見られない製品を選ぶケースです。逆に、全体の使用量の推移が分かれば十分な家庭が、回路ごとの計測のために高額な工事を選ぶのも費用のかけすぎです。
判断のコツは、HEMSで何を知りたいかを先に一文で書き出すことです。「月々の使用量の推移を見たい」なら工事不要型が候補になります。「どの部屋のどの機器が電気を使っているか知りたい」なら回路ごとに計測できるタイプです。補助の要件を満たす必要がある場合は、どちらの方式でも前章の掲載リストの確認が欠かせません。
補助金と導入費用は、そもそも対象が違うと考える
ここまでの費用と補助額を並べるときは、「補助金でHEMS代が埋まるか」という発想を捨てるのが正解です。国のみらいエコ住宅2026事業の補助は住宅全体に対するもので、HEMSの機器代を補填する設計ではありません。
国の補助は、GX志向型住宅なら最大125万円という大きな額です。ただしそれは断熱や設備を含む住宅の性能に対して出ます。HEMSの導入費用10~30万円のうち、いくらが補助で賄われたかを切り出して計算することはできません。自治体の補助はHEMSそのものを対象にしていることがありますが、金額は後で紹介する例のように数千円から数万円の規模です。
具体的に考えてみましょう。自治体の補助が「設置費用の5%(上限20,000円)」なら、補助額は設置費用が大きいほど増えますが、上限で頭打ちになります。後付けの総額15万〜20万円のケースで5%を当てはめると、上限には届きません。補助は費用の一部を軽くするもので、導入するかどうかの判断を変えるほどの額ではない場合が多いのです。
見極めのポイントは、「補助金がなくてもHEMSを入れる理由があるか」を先に考えることです。理由があるなら補助金は割引として活用し、理由がないなら補助金を理由に導入しない。この順番で考えると、後悔が少なくなります。
自治体の上乗せ補助はどう探す?江東区・横浜市・さいたま市の3例から学ぶ
江東区は国の補助確定が前提で、設置費用の5%(上限20,000円)
東京23区の一つである江東区では、区内の住宅へのHEMS導入に対して、設置費用の5%(上限20,000円)を補助する制度が案内されています。2026年9月の当サイト調べ時点の内容です。対象はECHONET Lite AIF仕様の認証を受けたHEMSです。
この制度で押さえておきたいのは対象者の条件です。「みらいエコ住宅2026事業において補助対象住宅として補助金の確定を受けた方」とされています。つまり、国の住宅補助と切り離して単独で使える制度ではありません。国の補助が確定した住宅に、区が上乗せする形になっています。
この条件を知らずに動くと、行き違いが起きます。区の補助だけを当てにして、国の住宅補助の対象にならない家でHEMSを付けてしまうと、区の補助も受けられません。また、国の補助が「確定」してからの手続きになるため、申請の順番とタイミングを管理しておく必要があります。
問い合わせ先は江東区環境部環境対策課です。条件の詳細は江東区の公式ページで確認できます。区内で新築を計画しているなら、国の申請を担う事業者に「区の上乗せ補助も使う予定」と伝え、書類の控えを受け取っておきましょう。
横浜市はスマートハウス設備の一つとして定額8,000円
横浜市では、スマートハウス関連設備の設置補助の対象の一つとしてHEMSが含まれており、補助額は定額8,000円と紹介されています。対象設備には、太陽光発電、エネファーム、リチウムイオン蓄電池、HEMSが並んでいます。
江東区の「設置費用の5%」と違い、定額方式なので、どの製品を選んでも補助額は変わりません。高価な製品を選んでも補助は増えない一方、安価な製品でも同じ額を受け取れます。対象者は、市内に住所を有する方、または市内での住宅購入・建築を計画している市外居住者とされています。これから横浜市に住む予定の人も対象に含まれる点が特徴です。
気をつけたいのは、複数の設備を同時に設置すると、合計の上限額が設定される場合があることです。太陽光や蓄電池とHEMSをまとめて申請するとき、個別の補助額を単純に足した金額にならないことがあります。
判断のコツは、HEMS単体の補助額よりも「一緒に入れる設備を含めた補助の合計」で考えることです。横浜市で太陽光や蓄電池も検討しているなら、組み合わせたときの扱いを市の担当窓口で確認してから、設備の構成を決めましょう。
さいたま市は上限24,000円で、国・県の制度と併用できる
さいたま市では、地球温暖化対策活動に取り組んだ方への支援金の枠組みで、HEMSに対して上限24,000円の補助が案内されています。対象は市内に住所を有する市民です。3つの例の中では、上限額がいちばん大きい制度です。
この制度の特徴は、併用の範囲が広いことです。国のみらいエコ住宅2026事業、先進的窓リノベ2026事業、給湯省エネ2026事業と併用できるとされています。さらに、埼玉県の家庭における省エネ・再エネ活用設備導入補助金や、埼玉県窓断熱リフォーム支援事業とも併用可能です。国・県・市の3段階で支援を組み合わせられる構造になっています。
併用できる制度が多いほど、手続きの順番を誤ったときの影響も大きくなります。制度ごとに申請の時期(工事の前か後か)や必要書類が異なり、1つの申請に必要な書類が別の申請の完了を待たないと揃わないこともあります。
最新の条件はさいたま市の公式ページで確認してください。使いたい制度を国・県・市の順に並べ、それぞれの申請時期を1枚の表にしておくと、申請漏れを防げます。
| 項目 | 江東区 | 横浜市 | さいたま市 |
|---|---|---|---|
| 補助額 | 設置費用の5%(上限20,000円) | 定額8,000円 | 上限24,000円 |
| 制度の枠組み | 区の独自補助 | スマートハウス関連設備の補助 | 地球温暖化対策活動支援金 |
| 前提・併用 | みらいエコ住宅2026事業の補助確定が前提 | 市外居住者も購入・建築計画があれば対象 | 国の3事業・県の制度と併用可能 |
自分の住む自治体の制度を探す手順
3つの例から分かるのは、自治体のHEMS補助は金額も方式も前提条件もばらばらだということです。当サイトで全国の一覧を作らないのは、自治体の補助が年度ごとに変わり、一覧はすぐに古くなるからです。探し方を身につけるほうが確実です。
手順としては、まず「市区町村名 HEMS 補助金」で検索し、自治体の公式ドメインのページを探します。見つからない場合は、「スマートハウス」「省エネ設備」「地球温暖化対策」といった言葉で探してください。3つの例のように、HEMSが独立した制度名ではなく、設備補助や支援金の中の1項目として載っていることがあるためです。次に、都道府県の制度も同じ方法で調べます。さいたま市の例のように、県と市の制度を併用できる地域があります。
探すときに陥りやすいのが、補助金をまとめたサイトの情報だけで判断することです。まとめサイトは更新が追いつかず、前年度の金額や終了した制度が残っていることがあります。最終的には、自治体の公式ページで年度と受付状況を確認してください。
公式ページで見るべき点は4つです。①対象年度、②予算の残りや受付状況、③申請の時期(工事の前か後か)、④国の補助の確定などの前提条件です。この4点をメモしておけば、事業者との打ち合わせで条件をすぐ伝えられます。
補助金が出てもHEMSで得をするとは限らない|向く家と向かない家
HEMSで得られるのは「見える化」と「自動制御」
HEMSを入れて得られる効果は、大きく分けて2つです。家庭内のエネルギー使用を数値で確認できる「見える化」と、対応機器を遠隔操作・自動制御して電気代の節約につなげる「自動制御」です。その結果として、より快適な住環境に近づけることも利点に挙げられています。
見える化に意味があるのは、電気の無駄遣いは目に見えないからです。月に一度の請求額だけでは、どの時間帯に、どの機器が電気を使っているかは分かりません。HEMSで使用量を数値で確認すると、電気の使用傾向がつかめます。分岐回路ごとに計測できる製品なら、部屋や機器の単位まで絞り込めます。
ただし、見える化は「気づくための道具」で、それだけでは電気代は下がりません。数字を見て行動を変える、あるいは自動制御に任せる仕組みがあって、はじめて節約につながります。導入直後は画面を毎日見ていても、数か月で見なくなる家庭も珍しくありません。
判断のコツは、家族の中で「数字を見て行動を変える人」がいるかを考えることです。見る人がいなければ、見える化の価値は小さくなります。その場合は、人の手を介さずに働く自動制御の機能と、対応している機器の数を重視して製品を選びましょう。
実は、電気代の節約額だけで見ると導入メリットは大きくない
意外と知られていないのは、HEMSを電気代の節約額だけで評価すると、導入費用に見合うとは言いにくいことです。HEMSの解説でも、導入費用と削減できるエネルギー費用のバランスでは、金銭面だけを見ると導入メリットが大きいとはいえない、と指摘されています。
理由は、費用と節約の規模の差にあります。後付けの総額は15万〜20万円のケースが多い一方、節電効果については、販売事業者が約6%の電力削減という目安を公表している程度です。この割合は家の使い方で大きく変わるうえ、そもそも電気の使用量が少ない家庭では、削減できる電気代の絶対額が小さくなります。
業者のサイトでは「HEMSで電気代が下がる」という点が強調されがちです。しかし、節約額で初期費用を回収できるかは、電気の使用量、料金単価、使い方の変化の有無で決まり、一律には言えません。「何年で元が取れる」という説明を受けたら、前提にしている使用量と単価を必ず確認してください。
見方を変えると、HEMSの価値は節約額以外にあります。住宅補助の要件を満たすための部品であること、太陽光や蓄電池を持つ家で発電した電気の使い方を最適化できること、家族が使い方を振り返る材料になることです。これらに価値を感じるかどうかで、判断すると後悔が少なくなります。
対応家電が少なく、買い替えが必要になって費用が膨らむ
HEMSの弱点として挙げられるのが、対応機器の問題です。HEMSに対応した電気機器はまだ少なく、既存の製品では対応できないものが多いとされています。そのため、導入と同時に家電の買い替えが必要になるケースがあります。
これは、HEMSが機器を制御するには、機器側も共通の仕様で通信できる必要があるためです。ECHONET Lite AIF仕様に対応する機器は100種類以上に広がっていますが、家にある古いエアコンや給湯器が対応しているとは限りません。対応していない機器は、使用量を見ることはできても、HEMSから制御できないことがあります。
「エアコンや給湯器を自動で制御して節約できる」と聞いてHEMSを後付けしたものの、手持ちの機器が対応しておらず、使えるのは見える化だけだった、というケースです。原因は、HEMS本体の機能だけを確認し、家の機器が対応しているかを確かめなかったことにあります。対応機器への買い替えを追加すると、費用が当初の見積もりを大きく超えます。
対策:導入前に、制御したい機器の型番を書き出し、HEMSとの対応可否を事業者に確認してもらいます。対応していない機器は、買い替えの予定時期と合わせて導入のタイミングを決めます。
もう一つの注意点は操作の難しさです。操作が難しくて機能を使いこなせない、思ったよりも節電効果が得られない、というデメリットも指摘されています。家族の誰が設定や操作を担うのかも、導入前に決めておきましょう。
太陽光・蓄電池・エコキュートがある家ほど意味が出る
HEMSが力を発揮しやすいのは、電気を「つくる・ためる・使う」設備がそろった家です。製品によっては、気象情報と連動してエコキュートの沸き上げを最適化し、売電期間が終わった後も太陽光発電の電気を効率よく使えるようにする機能があります。
これは、太陽光のある家では「発電した電気をいつ使うか」で家計への効果が変わるからです。発電量は天気で変わり、家の電気の使い方は時間帯で変わります。この2つのずれを人の手で調整するのは難しく、HEMSが天気や使用状況を見て機器を動かすことで、発電した電気を家の中で使う割合を高められます。
反対に、太陽光も蓄電池もなく、電気の使用量も少ない家庭では、HEMSで最適化できる対象そのものが少なくなります。この場合、HEMSの導入よりも、断熱や家電の買い替えのほうが電気代への効果が分かりやすいこともあります。
太陽光や蓄電池と補助金の関係は、次の記事で2026年度の制度に沿って整理しています。

判断のコツは、家にある設備を「つくる(太陽光)」「ためる(蓄電池)」「使う(エコキュートなど)」に分けて書き出すことです。2つ以上そろっていれば、HEMSで最適化できる余地が生まれます。1つもなければ、先に他の省エネ対策を検討する価値があります。
申請は誰がする?hems補助金の手続きの流れと読者タイプ別の考え方
みらいエコ住宅2026事業の申請者は、施主ではなく登録事業者
みらいエコ住宅2026事業の申請は、施主が自分で行うものではありません。ハウスメーカーや工務店などの登録事業者が申請します。HEMSを含む住宅の補助を受けたい場合、まず登録事業者と契約することが出発点になります。
事業者が申請する仕組みになっているのは、補助の対象が住宅の性能だからです。断熱の仕様、設備の型番、HEMSの掲載状況など、確認すべき項目は建築の専門知識がないと判断しにくいものが多くあります。そこで、設計と施工を担う事業者が要件を確認し、まとめて申請する形がとられています。
よくある勘違いは、「自分で書類を揃えて出せば補助が受けられる」と考え、登録していない事業者と契約してしまうことです。この場合、国の住宅補助は受けられません。個人では申請できない補助を、事業者の代行で受け取る流れは、エコキュートの補助金でも同じ構造です。

給湯器の調子が悪くなってエコキュートへの買い替えを調べ始めると、「補助金が最大14万円出る」という情報にはすぐ行き当たります。ところが次に「では、その申請書はど…
確認のコツは、契約前に「この事業の登録事業者か」「補助金は施主に還元されるのか、工事代金から差し引かれるのか」を聞くことです。補助金の受け取り方は事業者との契約で決まるため、書面で残してもらうと安心です。
予約期限の2026年11月30日を基準に、契約の時期を考える
2026年9月の時点で国の住宅補助を使いたいなら、交付申請の予約期限である2026年11月30日を基準に動くのが現実的です。交付申請期限は遅くとも2026年12月31日ですが、予算上限に達し次第、受付は終了します。
期限を「年末」と考えずに予約期限で考えるのは、予約申請には一定の準備が必要だからです。住宅の仕様が決まり、HEMSを含む設備の型番が確定していないと、要件を満たしているかを確認できません。さらに、2026年7月1日以降の建築確認申請ではJC-STAR★1以上が必須になるため、製品選びの手間も増えています。
具体的に困るのは、秋以降に住宅会社を探し始めた家庭です。設計の打ち合わせ、仕様の確定、製品の確認を進めている間に予算の枠が埋まる可能性があります。前例として、2025年度の子育てグリーン住宅支援事業は7月22日の時点で予算上限に達しました。
判断のコツは、補助金を「受けられたら得をするもの」と位置付け、補助金がなくても成り立つ資金計画を用意しておくことです。そのうえで事業者には、予約申請の予定時期と、予算の消化状況をどこで確認しているかを聞いておきましょう。
読者タイプ別:あなたはどのルートで考えるべきか
HEMSと補助金の関係は、家の状況によって考えるべきルートが変わります。自分がどのタイプに当たるかを先に決めると、調べる範囲を絞れます。
新築を計画中の人は、国のみらいエコ住宅2026事業が中心です。世帯を問わないGX志向型住宅を目指すならHEMSは必須です。子育て世帯・若者夫婦世帯なら、長期優良住宅やZEH水準住宅という選択肢もあります。HEMS製品の掲載とJC-STARの確認を事業者と進め、江東区のように国の補助確定を前提にした上乗せがないかも調べます。
太陽光や蓄電池がある既存住宅の人は、HEMSで発電した電気の使い方を最適化できる余地があります。国の住宅区分に当てはめるのは難しいため、自治体の独自補助を探すのが入口です。横浜市のように、太陽光や蓄電池とセットの設備補助の中にHEMSが含まれている地域もあります。
太陽光も蓄電池もない既存住宅の人は、HEMSを急いで導入する理由は小さいかもしれません。電気代を下げたいなら、使用量の大きい家電の見直しや断熱を先に検討し、将来太陽光を載せるときにHEMSを一緒に考えるのが順番として自然です。
どのタイプでも共通するのは、補助金の有無ではなく「HEMSで何をしたいか」を先に決めることです。目的が決まれば、必要な機能と費用、使える補助が自然と絞り込まれます。
迷いやすい疑問に先回りして答える
最後に、HEMSと補助金について迷いやすい点を整理します。どれも、制度の対象が「住宅」なのか「設備」なのかを区別すると答えが見えてくる疑問です。
まとめ
最初の一歩として、HEMSで何をしたいかを一文で書き出してみてください。そのうえで「市区町村名 HEMS 補助金」で自治体の公式ページを検索すれば、自分の家に関係する制度だけが残ります。
※補助額・要件は2026年9月時点で確認した内容です。制度は年度ごとに変わるため、最新情報は各事業・自治体の公式サイトでご確認ください。

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