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fit価格は2026年度24円→8.3円の2段階|10年間の売電単価と卒FIT後の相場

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「太陽光のFIT価格って、今はいくらなの?」「24円と聞いたけれど、昔より上がったの?」――見積もりを取り始めると、まずこの数字でつまずく方が多いです。業者の資料には24円/kWhという数字が大きく書かれている一方で、ネットでは「売電はもう8円台」という話も目にします。どちらも間違いではなく、見ている期間が違うだけなんです。

先に結論をお伝えすると、2026年度の住宅用(10kW未満)のFIT価格は、最初の4年間が24円/kWh、5〜10年目が8.3円/kWhの2段階です。2025年10月に始まった「初期投資支援スキーム」によって、10年一律だった単価が前半高・後半低の形に変わりました。そして10年の固定期間が終わると、売電単価は大手電力の標準プランで7〜9円/kWh程度になります。

この記事では、FIT制度の仕組みから2026年度の単価、2段階方式の読み方、2012年度からの価格推移、卒FIT後の選択肢、住宅用と事業用の違い、申込期限までを順に整理します。導入をすすめる記事ではありません。数字の意味を理解して、ご自身の家で売電がどれくらい効くのかを判断する材料にしてください。

💡 この記事でわかること

・2026年度のFIT価格(住宅用24円→8.3円、事業用19円→8.3円)の正しい読み方
・初期投資支援スキームで「前半だけ高い」理由と、24円を過大評価しないコツ
・2012年度40円から現在までの推移と、卒FIT後の売電単価7〜9円の現実
・2026年度の単価を受けるための申込期限と、設置前に確認すべきこと

目次

FIT制度は「決まった単価で10年買い取る約束」|仕組みと財源の基本

FIT制度は「決まった単価で10年買い取る約束」|仕組みと財源の基本の解説画像

FITは「売電単価を固定する約束」で、相場で決まる値段ではない

FIT(固定価格買取制度)の本質は、太陽光などで発電した電気を、国が定めた単価で一定期間、電力会社が買い取ることを保証する仕組みです。住宅用(10kW未満)の固定期間は10年、事業用(10kW以上)は20年と決まっています。

なぜ「固定」なのかというと、太陽光発電は設置費用が先に大きくかかり、回収は長期間の売電・自家消費で少しずつ進むからです。売電単価が毎月の市場価格で上下すると、設置する側は回収の見通しが立ちません。そこで「この年度に始めた人は、この単価で固定期間ずっと買い取る」と約束することで、導入のリスクを下げています。

よくある誤解が「FIT価格=電気の売値の相場」という理解です。実際には、FIT価格は制度で決めた単価であり、その年度に申し込んだ設備に適用されるものです。すでに稼働している家の単価は、後から制度が変わっても基本的に変わりません。ですから、ご近所で「うちは40円で売っている」という家があっても、それは2012年度ごろに始めた家の固定単価で、今から設置する家には関係がないんです。

判断のコツは、見積書や広告に出てくる売電単価が「どの年度の、どの期間の単価か」を必ず確認することです。年度と期間がセットで書かれていない単価は、比較に使えません。

📖 用語チェック

FIT(固定価格買取制度)=再生可能エネルギーで発電した電気を、国が定めた単価で一定期間、電力会社が買い取ることを保証する仕組み。
余剰売電=家で使いきれずに余った電気だけを売る方式。住宅用の太陽光はこの形が基本です。
卒FIT=固定期間(住宅用は10年)が終わった状態。以降の売電単価は電力会社との個別契約で決まります。

買取の原資は電気を使う全員の「再エネ賦課金」

FITで電力会社が支払う買取費用は、最終的には電気を使う全員が負担する「再エネ賦課金」でまかなわれています。毎月の電気料金明細に載っている、使用量に応じて上乗せされるあの項目です。

この仕組みを知っておくと、FIT価格が年々下がってきた理由が見えてきます。制度が始まったころは太陽光パネルの価格が高く、高い単価で買い取らないと誰も設置しませんでした。その後パネルや工事の費用が下がると、同じ高単価を続ければ設置者だけが得をし、賦課金を払う側の負担だけが膨らみます。そのため、設置費用の低下に合わせて単価を下げていく設計になっているんです。

具体例でいえば、太陽光を載せていない賃貸住まいの世帯も、毎月の電気代の中で賦課金を負担しています。「太陽光を載せないと損」という営業トークを聞くことがありますが、賦課金は載せても載せなくても払うものなので、それ自体は設置の判断材料になりません。判断材料になるのは、自分の家の発電量と自家消費で、設置費用を回収できる見込みがあるかどうかです。

賦課金の年度ごとの単価と家計への影響は、別の記事で詳しく整理しています。

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住宅用は「余った分だけ売る」前提で単価を読む

住宅用太陽光のFITは、発電した電気をまず家で使い、余った分を売る余剰売電が基本です。つまりFIT価格が適用されるのは、発電量のすべてではなく「使いきれなかった分」だけです。

この前提が大事な理由は、売電収入の大きさが「単価×余剰量」で決まるからです。昼間に家族が在宅していて冷暖房や家電をよく使う家は、発電した電気の多くを自家消費するため、売電に回る量が少なくなります。逆に日中不在の共働き世帯では、多くが売電に回ります。同じFIT価格でも、家の暮らし方によって売電収入の大きさがまったく違ってくるんです。

失敗しやすいのが、業者の試算で「発電量すべてを売電単価で計算している」ケースです。余剰売電の家で発電量全体に24円/kWhを掛けた試算は、実態より売電収入が大きく見えます。見積もりの段階で「自家消費と売電の割合をどう想定しているか」を確認しましょう。

見極めの目安は、日中の在宅状況です。在宅時間が長い家は自家消費の価値が大きく、売電単価の高低の影響は相対的に小さくなります。日中不在が多い家は、売電単価の影響を強く受けます。

2026年度のFIT価格は住宅用24円→8.3円、事業用19円→8.3円

住宅用(10kW未満)は「4年24円+6年8.3円」の合計10年

2026年度の住宅用(10kW未満)のFIT価格は、最初の4年間が24円/kWh、5〜10年目の6年間が8.3円/kWhで、固定期間は合計10年です(出典:ソーラーパートナーズの2026年度FIT解説)。

数字の読み方として押さえたいのは、24円/kWhは「10年間ずっとの単価」ではないという点です。5年目からは8.3円/kWhに下がり、この単価で残り6年を過ごします。年数で見ると、高い単価の期間は4年、低い単価の期間は6年で、低い期間のほうが長いんです。

よくある失敗は、パンフレットの「売電単価24円」を見て、それを10年分に当てはめて回収を計算してしまうことです。5年目以降、同じ量を売っても売電収入は前半の3分の1強まで下がります。この落差を知らずに「思ったより売電収入が少ない」と感じる家庭が出るのは、制度上当然の結果です。

判断のコツは、試算表を「1〜4年目」と「5〜10年目」に分けて見ることです。業者の試算が2段階に分かれていなければ、分けて計算し直してもらうよう頼んでください。それだけで、見通しの甘い試算を見抜けます。

📊 2026年度FIT価格の違いを比較
項目 住宅用(10kW未満) 事業用・屋根設置(10kW以上)
前半の単価 24円/kWh(最初の4年) 19円/kWh(最初の5年)
後半の単価 8.3円/kWh(5〜10年目) 8.3円/kWh(6〜20年目)
固定期間 10年 20年
申込期限(2026年度) 2027年1月5日(火) 2026年12月11日(金)

出典:ソーラーパートナーズ「2026年度FIT買取価格」解説(2026年度時点)。電気とエネルギーの教科書で表に整理。

事業用・屋根設置(10kW以上)は「5年19円+15年8.3円」の合計20年

2026年度の事業用・屋根設置(10kW以上)は、最初の5年が19円/kWh、残り15年(6〜20年目)が8.3円/kWhで、固定期間は20年です。

住宅用と比べると、前半の単価は住宅用の24円/kWhより低く、そのかわり前半の期間が5年と1年長く設定されています。後半の単価は住宅用と同じ8.3円/kWhですが、期間が15年と長いのが特徴です。事業用は設置規模が大きく、kWあたりの設置費用が住宅用より抑えやすいため、前半単価も低めに置かれていると読めます。

ここで注意したいのは、「事業用のほうが20年固定だから有利」と単純に考えてしまうことです。20年の大半、正確には15年間は8.3円/kWhで売ることになり、長期の固定は安心材料である一方、高い単価が続くわけではありません。また10kW以上の設備は、住宅の屋根に載せるには大きく、一般的な戸建てで該当するケースは多くありません。

判断のコツとして、戸建ての屋根に載せる場合は、まず住宅用(10kW未満)の区分で考えるのが基本です。10kWの境目をまたぐかどうかで適用される単価も固定期間も変わるため、設計容量が境目付近なら、どちらの区分になるかを見積もり段階で必ず確認してください。

「2026年度の単価」を受けられるのは申込期限までに手続きした設備

2026年度の単価を受けるための申込期限は、住宅用(10kW未満)が2027年1月5日(火)、事業用(10kW以上)が2026年12月11日(金)と案内されています(出典:同上)。

期限がある理由は、FIT価格が年度ごとに決まる制度だからです。年度の単価は、その年度の手続きを期限までに終えた設備に適用されます。期限を過ぎると、翌年度の単価で扱われることになります。

ありがちな失敗は、「今年度中に工事すれば今年度の単価」と思い込むことです。単価を決めるのは工事の完了日ではなく、手続きの期限です。とくに年末は工事や書類の依頼が集中し、業者側の申請作業が遅れることもあります。秋以降に検討を始める場合は、スケジュールに余裕がないことを前提に動いたほうが安全です。

確認しておくべきは、「申請の手続きを誰が、いつまでに行うのか」を契約前に書面で決めておくことです。申請は業者が代行するケースが一般的ですが、期限を過ぎた場合の扱いまで事前に話しておくと、あとで揉めずに済みます。

なぜ最初の4年だけ高いのか?初期投資支援スキームの狙いと読み方

なぜ最初の4年だけ高いのか?初期投資支援スキームの狙いと読み方の解説画像

2段階方式は「初期投資を早く回収しやすくする」ための設計

2段階の単価は、2025年10月に導入された「初期投資支援スキーム」によるものです。この仕組みは、導入初期の売電単価を高くすることで、太陽光発電の初期投資を回収しやすくすることを目的としています。従来の10年一律価格から、前半高・後半低の2段階方式に変更されました(出典:ソーラーパートナーズ)。

なぜ前半を高くするのかというと、太陽光発電の支出は設置時に一度に出ていくのに対し、収入は長い年月をかけて入ってくるからです。お金の出入りの時期がずれていると、設置者は長期間「持ち出し」の状態になります。前半の収入を厚くすれば、そのずれを小さくでき、ローンを組んだ家庭の負担感も和らぎます。

具体的には、設置直後の4年間に売電収入が集中するため、設置費用の一部を早めに取り戻せる構造です。ただし、後半の6年で単価が下がるので、10年全体で見れば「総額が大きく増えた」というよりは「受け取る時期を前倒しした」と捉えるのが実態に近いでしょう。

判断のコツは、2段階方式を「儲かる仕組み」ではなく「回収の時期をならす仕組み」として理解することです。設置費用の総額が妥当かどうかは、この方式とは別に見極める必要があります。

📋 初期投資支援スキームのプロフィールカード
分類・方式 FIT制度の単価設計(前半高・後半低の2段階方式)
導入時期 2025年10月
単価(2026年度・住宅用) 最初の4年24円/kWh → 5〜10年目8.3円/kWh
向いている考え方 設置直後の回収を早めたい家庭。10年全体の総額ではなく「受け取る時期」が変わる制度として読む

実は「24円に値上がりした」わけではない

意外と知られていないのですが、24円/kWhという数字は「FIT価格が上がった」ことを意味していません。価格推移の資料では、2025年度下半期の住宅用を10円/kWhと整理しつつ、初期投資支援スキームを適用した場合は10年を通じて均した加重平均の単価で示す、という扱いがされています(出典:PPSネットのFIT価格推移)。

理由は単純で、前半の24円と後半の8.3円を期間で均すと、一律単価の時代とかけ離れた水準にはならないからです。前半に厚く、後半に薄く配分し直しただけなので、10年全体の受取額が大きく跳ね上がったわけではありません。

失敗パターンとして多いのは、2022年度ごろの10円/kWh前後の時期と、現在の24円/kWhを並べて「今が始めどき」と判断してしまうことです。比べている期間が違うので、この比較は成り立ちません。比べるなら「10年全体でいくら受け取れるか」をそろえる必要があります。

見極めのコツは、営業資料で24円という数字が強調されていたら、「後半の8.3円も含めた10年分の試算を見せてください」と頼むことです。それを出せない試算は、前半だけを切り取った説明になっている可能性があります。

後半8.3円の期間は「売るより使う」ほうが家計に効く

5〜10年目の8.3円/kWhという単価は、家庭が電力会社から買う電気の単価と比べると低い水準です。そのため、この期間は発電した電気を売るより、家で使って買う電気を減らすほうが、家計へのプラスが大きくなります。

仕組みとしては、自家消費した電気は「買わずに済んだ電気」になり、その価値は購入単価(基本料金以外の従量部分や賦課金、燃料費調整額を含む)で効いてきます。一方、売電した電気の価値は売電単価の8.3円/kWhです。買う単価のほうが高いので、同じ1単位の電気なら自家消費のほうが得、という理屈です。

具体的には、5年目以降は、洗濯機や食洗機を日中に回す、エコキュートの沸き上げを昼間に寄せられる機種なら設定を見直す、といった「昼間に使う工夫」の価値が上がります。前半4年の感覚のまま「たくさん売る」ことを意識していると、後半で損をしやすくなります。

判断のコツは、設置時点から「5年目以降の暮らし方」を想定しておくことです。蓄電池を後から追加するかどうかの検討も、この時期の自家消費をどう増やすかという視点で考えると整理しやすくなります。

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FIT価格は2012年度40円から何が変わったか|14年分の推移を表で読む

住宅用は2012年度40円→2016年度24円→2022年度10円と下がってきた

住宅用(10kW未満)のFIT価格は、2012年度が40円/kWh、2016年度が24円/kWh、2022年度が10円/kWh、2025年度下半期が10円/kWhと推移しています(出典:PPSネット)。

ここまで下がった理由は、第1章でお話ししたとおり、設置費用の低下に合わせて単価を下げる設計だからです。制度開始当初は設置費用が高く、高単価でなければ投資が成り立ちませんでした。パネルや工事の費用が下がるにつれ、同じ回収期間を確保するのに必要な単価も下がっていった、という流れです。

具体例として、2012年度に始めた家は10年間40円/kWhで売電し、すでに固定期間を終えています。こうした家が「売電で元が取れた」と話すのを聞くことがありますが、それは当時の高単価と当時の設置費用の組み合わせでの話です。今の単価と今の設置費用の組み合わせとは、前提がまったく違います。

判断のコツは、過去の成功談や失敗談を聞いたときに「それは何年度の単価の話か」を確認することです。年度が違えば、参考にできる部分とできない部分がはっきり分かれます。

📊 FIT価格の推移(電気とエネルギーの教科書調べ)
年度 住宅用(10kW未満) 事業用(10kW以上)
2012年度 40円/kWh 42円/kWh
2016年度 24円/kWh 31円/kWh
2022年度 10円/kWh 11円/kWh
2025年度下半期 10円/kWh 11.5円/kWh
2026年度 24円/kWh(4年)→8.3円/kWh(6年) 19円/kWh(5年)→8.3円/kWh(15年)※屋根設置

出典:PPSネット「FIT買取価格の推移」、ソーラーパートナーズ「2026年度FIT買取価格」をもとに作成。2025年度下半期の一律表記と、2026年度の2段階表記は比べ方が異なる点に注意。

同じ「24円」でも2016年度と2026年度では意味が違う

表を見ると、2016年度の住宅用と2026年度の住宅用前半は、どちらも24円/kWhです。ただし、2016年度は10年間ずっと24円/kWhの一律単価、2026年度は最初の4年だけ24円/kWhで、残り6年は8.3円/kWhです。

数字が同じでも意味が違うのは、単価の「かかる期間」が違うからです。一律単価の時代と2段階の時代を、同じ物差しで並べることはできません。推移表を読むときは、単価の横に「何年間の単価か」を必ず添えて考える必要があります。

失敗しやすいのは、「2016年度と同じ24円に戻ったなら、あのころの家と同じくらい売電できる」と考えてしまうことです。実際には、10年全体の売電収入は2016年度に始めた家よりずっと小さくなります。設置費用が当時より下がっている点を加味しても、「当時と同じ条件」とは言えません。

判断のコツは、推移表の単価を「10年総額」の感覚に置き換えて比べることです。数字を見かけの単価だけで比べないことが、推移表と上手につきあう一番の方法です。

事業用は42円から11.5円へ、下げ幅は住宅用より大きい

事業用(10kW以上)は、2012年度42円/kWh、2016年度31円/kWh、2022年度11円/kWh、2025年度下半期11.5円/kWhと推移しています(出典:PPSネット)。2012年度の出発点は住宅用の40円/kWhより高かったものの、2022年度には11円/kWhまで下がりました。

事業用の下げ幅が大きいのは、大規模な設備ほど設置費用の低下が効きやすいからだと考えられます。パネル枚数が多いと、部材の大量調達や工事の効率化による費用削減が大きく出ます。そのぶん、必要な単価も下がりやすいんです。

具体例としては、広い屋根を持つ倉庫や工場で10kW以上を載せる場合、2026年度は屋根設置で前半19円/kWh、後半8.3円/kWhになります。住宅用と比べて前半単価は低いものの、固定期間が20年と長いため、長期の見通しを立てやすいのが特徴です。

判断のコツとして、住宅の話題で事業用の単価が引き合いに出されたときは、区分が違うことを意識してください。戸建ての屋根に載せる規模なら、比較すべきは住宅用の数字です。

11年目からの売電単価は7〜9円|卒FIT後に選べる3つの道

大手電力の標準買取は7〜9円/kWhに収まる

固定期間の10年が終わると、売電単価は電力会社との個別契約で決まります。大手電力の標準プランは、東北エリア9円/kWh、東京エリア8.5円/kWh、中部エリア7〜9円/kWh、関西エリアと北海道エリアが8円/kWh、中国エリアと九州エリアが7円/kWh、四国エリアが7.15円/kWhとされています(出典:エネチェンジの卒FIT買取価格まとめ)。

こうした単価になる理由は、固定期間が終わった電気は、もはや国が単価を保証する対象ではないからです。電力会社は自社の調達コストや事業方針に照らして買取価格を決めるため、FIT期間中より低い水準に落ち着きます。

具体的に見ると、2026年度に住宅用で始めた家の後半単価8.3円/kWhと、卒FIT後の大手標準の7〜9円/kWhは、ほぼ同じ水準です。つまり今から始める家では、5年目以降の時点で、すでに卒FITに近い単価で売電していることになります。

判断のコツは、卒FITを「大きな収入減の崖」ではなく、「後半単価とほぼ地続きの状態」として捉えることです。今から設置する家庭にとって、11年目の変化は、昔の40円時代に始めた家ほど大きくありません。

📊 卒FIT後の売電単価を比較
買取先の種類 単価の目安 条件・注意点
大手電力の標準プラン 7〜9円/kWh エリアで差。手続きが少なくシンプル
新電力・セット契約 10〜23円/kWh程度(変動あり) 電気の購入契約や蓄電池購入が条件のことが多い
キャンペーン型の新電力 14.6円/kWh程度(キャンペーン時) 期間限定の単価。終了後の単価を要確認
都市ガス系の新電力 最大23円/kWh程度(蓄電池併用時) 蓄電池の購入・併用が前提の高単価

出典:エネチェンジ「卒FIT後の買取価格」。新電力の単価は条件・時期で変わるため、契約前に最新の条件を確認してください。

新電力の高単価は「条件つき」がほとんど

新電力の中には、10〜23円/kWh程度と、大手の標準より高い単価を示すところがあります。ただし、その多くは電気の購入契約とのセットや、蓄電池の購入・併用を条件にしています(出典:エネチェンジ)。

高い単価が出せる理由は、買取単価だけで採算を取っているのではなく、電気の販売契約や蓄電池の販売とセットで利益を出す仕組みになっているからです。買取単価の高さは、いわば顧客を獲得するための入口です。

具体例として、蓄電池併用時の最大23円/kWh程度という単価は、蓄電池を購入することが前提です。蓄電池の購入費用を含めて計算すると、単価の高さだけでは有利かどうか判断できません。また、キャンペーンの14.6円/kWh程度という単価も、期間が終われば元の単価に戻るのが一般的です。

判断のコツは、新電力の買取単価を見るときに「その単価を受けるために、ほかに何を契約・購入する必要があるか」を必ず並べて書き出すことです。条件を含めた総額で比べて、はじめて大手の標準プランとの比較ができます。

⚠️ 失敗しやすいポイント①:高単価だけを見て買取先を切り替える

状況:卒FITの案内が届き、最大23円/kWh程度の広告を見て、蓄電池とセットの契約に申し込む。
原因:高単価の前提となる蓄電池の購入費用と、電気の購入単価の変化を計算に入れていない。単価だけを比べて「倍以上で売れる」と判断してしまう。
対策:「条件なしの大手標準」と「条件つきの新電力」を、蓄電池費用や購入電気代の変化も含めた総額で比べる。条件の説明が曖昧な契約は、すぐに決めない。

売らずに「使う」のが3つ目の道

卒FIT後の選択肢は、大手に売る、新電力に売る、そして売らずに自家消費を増やす、の3つに整理できます。3つ目の自家消費は、売電単価が7〜9円/kWh程度まで下がった状態では、有力な選択肢になります。

理由は第3章と同じで、買う電気の単価のほうが売る単価より高いからです。余った電気を安く売って、夜に高く買い戻すくらいなら、昼間に使う量を増やしたほうが家計への効果は大きくなります。

具体的な方法としては、日中に家電を動かす時間の工夫が最も手軽です。そこから先に進むなら、蓄電池で昼の余剰を夜に回す方法や、昼間に沸き上げできるエコキュートを活用する方法があります。ただし蓄電池は高額で、売電単価の低さだけを理由に買うと回収に長い年月がかかることがあります。

判断のコツは、まず費用のかからない「使う時間の工夫」から始め、それでも余剰が多いと分かってから設備の追加を検討することです。順番を逆にすると、必要以上の設備投資になりやすくなります。

住宅用と事業用で何が違う?10kWの線引きと自家消費の考え方

10kWを境に単価・期間・前半の長さがすべて変わる

FITでは10kW未満が住宅用、10kW以上が事業用として扱われ、2026年度は単価・固定期間・前半の長さのすべてが異なります。住宅用は4年24円/kWh+6年8.3円/kWhの10年、事業用・屋根設置は5年19円/kWh+15年8.3円/kWhの20年です。

線引きがある理由は、設備の規模で設置費用の構造も利用の目的も違うからです。住宅用は自宅で使い余った分を売る前提、事業用はより大きな規模での発電を前提として、それぞれに合う単価が設定されています。

具体例として、広い屋根の戸建てで設計容量が10kW前後になる場合、どちらの区分に入るかで条件が大きく変わります。前半単価は住宅用が高く、固定期間は事業用が長いため、どちらが有利かは一概に言えません。区分によって手続きや求められる要件が異なる場合もあります。

判断のコツは、境目付近の容量を検討しているときほど、両方の区分での試算を並べてもらうことです。容量を少し変えるだけで区分が変わるなら、「どちらの区分が自分の家の使い方に合うか」を基準に決めましょう。

自家消費の割合が大きい家ほどFIT価格の影響は小さい

住宅用の余剰売電では、FIT価格が効くのは売電に回る分だけです。そのため、自家消費の割合が大きい家ほど、FIT価格の高低が家計に与える影響は小さくなります。

これは第1章でお話しした「単価×余剰量」の仕組みから来ています。余剰量が小さければ、単価が変わっても売電収入の変化は小さいままです。逆に余剰量が大きい家は、前半24円/kWhの恩恵も、後半8.3円/kWhへの下落の影響も、どちらも大きく受けます。

具体例として、日中在宅の多い家庭は冷暖房や家事で発電分を多く使うため、FIT価格の数字にそれほど一喜一憂する必要はありません。日中不在が多い家庭は売電の比率が高く、2段階方式の前半・後半の落差をそのまま受けることになります。

判断のコツは、今の電気の使い方を、平日昼間の使用量が多いか少ないかで見直してみることです。電力会社のWebサービスで時間帯別の使用量が見られる場合は、それを確認すると自家消費の見込みがつかみやすくなります。

Q すでにFITで売電している家の単価も、2026年度の単価に変わりますか?
A 変わりません。FITは始めた年度の単価を固定期間ずっと適用する制度です。2016年度に始めた家なら、固定期間の終わりまで当時の単価が続きます。2026年度の2段階方式は、今年度に手続きする設備に適用されるものです。
Q 前半の4年が24円なら、4年で設置費用を回収できますか?
A 回収できるかどうかは、設置費用・発電量・自家消費の割合で決まり、単価だけでは判断できません。2段階方式は回収の時期を前倒ししやすくする仕組みで、4年での回収を保証するものではありません。前提条件をそろえた試算で確認してください。

「売電収入を増やすために容量を大きくする」は失敗しやすい

売電単価が高い前半に目を向けて、「容量を大きくしてたくさん売れば得」と考える方がいます。ところが今の単価水準では、この考え方で容量を増やすと回収が遅れるケースが出てきます。

理由は、容量を増やすと設置費用が増えるのに対し、増えた発電分の多くは売電に回り、しかも5年目以降は8.3円/kWhでしか売れないからです。自家消費に使える量には家庭ごとの上限があるので、容量を増やした分はほとんど「安く売る電気」になってしまいます。

業者によっては、屋根いっぱいに載せる提案をすることがあります。屋根の面積を有効に使うこと自体は悪くありませんが、「なぜその容量なのか」の根拠が売電収入だけなら、後半の単価を踏まえた試算で見直す必要があります。

判断のコツは、容量違いで2〜3パターンの試算を出してもらい、10年全体の収支と回収年数を比べることです。容量が大きいほど得になるとは限らないことが、数字で見えてきます。

⚠️ 失敗しやすいポイント②:前半24円だけで回収を計算する

状況:見積もりの試算表が「売電単価24円/kWh」で10年分計算されており、それを信じて契約する。
原因:2026年度の住宅用は5〜10年目が8.3円/kWhに下がるのに、前半の単価だけで回収を見積もっている。発電量全体に売電単価を掛けている試算も同じ誤りを含む。
対策:試算を「1〜4年目」「5〜10年目」「11年目以降(卒FIT)」の3期間に分け、自家消費と売電の割合も明記してもらう。この形で出せない試算は採用しない。

売電単価が下がった時代に「やらなきゃよかった」と感じる家庭の共通点は、別の記事でも詳しく整理しています。

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申込期限はいつ?今から設置する人が確認すべき5つのこと

住宅用は2027年1月5日(火)が2026年度の期限

2026年度の単価を受けるための申込期限は、住宅用(10kW未満)が2027年1月5日(火)、事業用(10kW以上)が2026年12月11日(金)と案内されています(出典:ソーラーパートナーズ)。

期限が年末年始をはさむ時期に設定されているため、実務上は「年内に書類をそろえる」くらいの感覚で動くのが無難です。業者の申請作業は年末に集中しやすく、書類の不備があると差し戻しで日数がかかります。

具体的な失敗例としては、秋に契約して工事日程を組んだものの、申請に必要な書類の準備が遅れ、期限ぎりぎりになってしまうケースです。期限を過ぎると翌年度の単価が適用されるため、想定していた単価と違う条件で始めることになります。

判断のコツは、契約前に「申請はいつ出す予定か」「期限に間に合わなかった場合の単価はどうなるか」を業者に確認し、書面に残しておくことです。制度の最新の手続き情報は、資源エネルギー庁(省エネルギー・新エネルギー)のページから確認できます。

契約前に確認したい5つのチェック項目

FIT価格の数字を正しく使うには、契約前に確認すべき項目がいくつかあります。ここでは「単価の読み違い」と「試算の甘さ」を防ぐための5項目に絞って整理します。

確認が必要な理由は、太陽光の見積もりは、単価・発電量・自家消費・設置費用・維持費といった複数の前提の掛け合わせでできているからです。どれか1つが楽観的だと、試算全体が甘くなります。

🔧 見積もりを見極める5つの手順
Step1:適用される区分と年度を確認する(住宅用10kW未満か、2026年度の単価か)
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Step2:試算が「1〜4年目24円/kWh」「5〜10年目8.3円/kWh」の2段階で計算されているか確認する
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Step3:自家消費と売電の割合の想定が、家の昼間の使い方と合っているか確認する
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Step4:11年目以降(卒FIT後)の売電単価を7〜9円/kWh程度で見込んでいるか確認する
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Step5:申請の担当者と提出時期、期限(住宅用は2027年1月5日)に間に合わない場合の扱いを書面で確認する

この5つを順に確認するだけで、「前半の単価だけで計算した試算」「自家消費を無視した試算」「卒FIT後を考えていない試算」を見抜けます。どれかの説明が曖昧なまま契約を急かされる場合は、一度持ち帰って比較するのが賢明です。

10年より先の維持費も試算に入っているか

FIT価格の試算は10年で区切られがちですが、太陽光発電の設備はそれより長く使うものです。そのため、固定期間の後の売電単価と、設備の維持費を含めて考えないと、長期の収支が見えてきません。

理由は、パネル本体より先に、電気を家庭用に変換するパワーコンディショナなどの機器が交換時期を迎えることが多いからです。こうした機器の交換費用は、売電単価が下がった時期に発生するため、試算に入っていないと「売電収入が減ったタイミングで出費が来る」形になります。

具体的な失敗例は、10年分の売電収入だけで「元が取れる」と判断し、11年目以降の機器交換費用を想定していなかったケースです。卒FIT後の単価が7〜9円/kWh程度であることを考えると、この時期の出費は家計への影響が相対的に大きくなります。

判断のコツは、見積もりの段階で「10年目以降に想定される交換部品と費用の目安」を聞いておくことです。維持費の見通しまで含めて説明できる業者の試算は、信頼しやすいと言えます。

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まとめ

⚡ この記事の結論

2026年度のfit価格は住宅用で最初の4年24円/kWh、5〜10年目8.3円/kWhです。売電より自家消費をどう増やすかで判断しましょう。

✅ 要点チェック
  • ✔ 住宅用:4年24円+6年8.3円の10年固定
  • ✔ 事業用・屋根:5年19円+15年8.3円の20年固定
  • ✔ 2段階方式:総額増ではなく回収の前倒し
  • ✔ 卒FIT後:大手標準は7〜9円/kWh程度
  • ✔ 申込期限:住宅用は2027年1月5日(火)

まずは手元の見積もりの試算が「1〜4年目」「5〜10年目」「11年目以降」の3期間に分かれているかを確認してみてください。分かれていなければ、それを業者に依頼することが、数字で判断するための最初の一歩になります。

※FIT価格・申込期限は2026年度時点の情報です。制度は年度ごとに見直されるため、最新情報は資源エネルギー庁などの公式サイトでご確認ください。

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電気とエネルギーの教科書編集部です。テーマに関する基礎知識や選び方を、公式情報など確認できる情報をもとに編集しています。掲載後も定期的に見直し、変更があれば更新します。

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