電気代の明細を見て、「再エネ発電賦課金」という行に毎月1,000円を超える金額が乗っていることに気づいた——そんな方は多いはずです。契約プランを見直しても、電力会社を乗り換えても、この行だけは同じ金額のまま残ります。理由は単純で、これは電力会社が決めている料金ではなく、国が全国一律で決めている単価だからです。
結論から書きます。2026年度の再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)の単価は1kWhあたり4.18円で、適用期間は2026年5月検針分から2027年4月検針分までです。前年度の3.98円から0.2円/kWhの値上がりで、制度が始まった2012年度の0.22円と比べると19倍の水準になりました。月300kWhを使う家庭で月1,254円、月400kWhの家庭で月1,672円、年間では20,064円がこの項目だけでかかる計算です。
この記事では、単価そのものの数字だけでなく「なぜこのお金を集めているのか」「自分の家はいくら払っているのか」「減らす手段は本当にあるのか」「廃止の話はどこまで進んだのか」までを、資源エネルギー庁と経済産業省の公表資料をもとに整理します。設備を売る立場ではないので、導入を勧める話はしません。判断材料だけを数字で置いていきます。
・2026年度の単価4.18円/kWhと、適用がいつからいつまでか
・自分の家の負担額を検針票から確認する手順
・0.22円が4.18円になるまでの年度別の推移と、その理由
・賦課金を減らせる手段と、減らせない手段の見分け方
・産業用の減免制度と、「廃止」論議の現在地
2026年度の再エネ賦課金は4.18円/kWh、5月検針分から1年間適用されます

単価4.18円/kWhは2027年4月検針分まで動きません
2026年度の再エネ賦課金単価は1kWhあたり4.18円に設定されました。経済産業省の公表資料では、この単価は「再エネの導入状況や卸電力市場価格等を踏まえ」て決められたと説明されています。重要なのは適用期間で、2026年5月検針分から2027年4月検針分までの1年間、この単価が続きます。
年度の区切りと検針の区切りがずれている点が、毎年ちょっとした混乱を生みます。4月に「今年度から値上げ」というニュースが流れても、4月検針分の請求にはまだ前年度の単価が使われているからです。実際に明細の数字が変わるのは5月検針分から、つまり多くの家庭では5月または6月に届く請求からになります。
「4月の請求が思ったより上がっていないから、値上げは見送られたのだろう」と受け取ってしまうと、翌月に想定外の増額に驚くことになります。年度替わりの時期は、明細の「検針期間」がいつからいつまでかを確認したうえで単価を照らし合わせるのが確実です。
| 正式名称 | 再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金) |
| 2026年度の単価 | 4.18円/kWh(全国一律) |
| 適用期間 | 2026年5月検針分~2027年4月検針分 |
| 負担する人 | 全ての電気利用者(低圧・高圧を問わず) |
前年度から0.2円の値上がりで、初めて4円を超えました
2025年度の単価は3.98円/kWhでした。2026年度は4.18円ですから、上げ幅は0.2円/kWhです。1kWhあたり0.2円と聞くと小さく感じますが、賦課金は使用量に単価を掛けて計算されるため、電気を多く使う家庭ほど増加額も比例して大きくなります。月に何百kWhも使う家庭では、この0.2円が毎月の請求に無視できない差として現れます。
そして2026年度は、制度開始以来はじめて単価が4円を超えた年度でもあります。これまで積み上がってきた再生可能エネルギーの買取費用が、そのまま単価の水準に反映されている形です。数字の大きさそのものより、「1kWhあたりの固定コストが4円を超えた状態が1年間続く」という事実のほうが家計への影響としては重要です。
判断のコツとしては、値上げのニュースに反応して契約プランをいじる前に、自分の家の月間使用電力量(kWh)を確認することです。賦課金は単価×使用量でしか決まらないため、使用量を把握していないと、値上げが自分の家計にいくらの影響を与えるのかを見積もれません。
電力会社を変えても、この単価だけは変わりません
再エネ賦課金の単価は全国一律で、毎年度、経済産業大臣が決定します。大手電力会社と契約していても、新電力と契約していても、地域が北海道でも沖縄でも、1kWhあたりの単価は同じ4.18円です。対象も「全ての電気利用者」で、低圧の一般家庭も高圧の事業所も区別なく負担します。
ここを誤解したまま乗り換え比較サイトを眺めると、判断を間違えます。電力会社の切り替えで下がる可能性があるのは基本料金と電力量料金の部分であって、賦課金の行はまったく動きません。「賦課金が安いプラン」という比較軸は、制度上そもそも存在しないのです。
逆にいえば、賦課金は「自分の使い方でしかコントロールできない項目」ということでもあります。契約先を変えても動かない代わりに、使用量を減らせば減った分だけ確実に下がる。この性質を理解しておくと、後半の削減策の話が読みやすくなります。
そもそもこのお金は誰に届いているのか
集めたお金は再生可能エネルギーの買取費用に回っています
再エネ賦課金は、固定価格買取制度(FIT)で買い取られた再生可能エネルギー電気の買取費用をまかなうための仕組みです。経済産業省の説明では、買取に要した費用を「電気の使用者から広く集められる再エネ賦課金によってまかなうもので、毎月の電気料金とあわせて徴収されます」と明記されています。
お金の流れは三段階です。まず電気の使用者が電気料金と一緒に賦課金を支払い、次にそれが電気事業者が買取制度で電気を買い取るための費用に回され、最終的に再生可能エネルギーで電気をつくっている側に届きます。つまり、電力会社が利益として取っている手数料ではなく、通過していくお金です。
この構造を知っておくと、「なぜ電力会社に文句を言っても単価が下がらないのか」が腑に落ちます。単価を決めているのも、集めたお金の使い道を決めているのも国の制度側で、電力会社は徴収の窓口を担っているにすぎません。問い合わせ先を間違えて時間を使ってしまうのは、よくあるすれ違いです。
FIT(固定価格買取制度)=再生可能エネルギーでつくった電気を、一定価格で一定期間買い取ることを国が保証し、再エネの導入を促す制度。買取に必要な費用は再エネ賦課金でまかなわれる。
再エネ賦課金=そのFITの買取費用を、電気を使う人全員で分担するために電気料金に上乗せされている単価。全国一律で、毎年度、経済産業大臣が決定する。
2026年度のFIT買取価格から、単価の背景が見えます
買取価格は電源ごとに設定されます。2026年度の事業用太陽光発電(250kW以上、屋根設置を除く)は入札で決まり、上限価格は9.6円/kWhとされています。同じ年度の賦課金単価が4.18円/kWhですから、「買い取る側の価格」と「みんなで負担する単価」が別の数字として並存していることになります。
買取価格は年々引き下げられてきましたが、賦課金単価はそれでも上がってきました。理由は在庫の積み上がりです。買取価格が高かった時期に認定された設備は、その当時の価格で一定期間買い取られ続けます。新規の買取価格が下がっても、過去に積み上がった買取義務がすぐ消えるわけではないため、総額としての費用はしばらく残り続けるのです。
この時間差を理解していないと、「再エネのコストは下がっているのに、なぜ負担は増えるのか」という疑問が解けません。制度の性質上、単価は数年単位の遅れをもって効いてきます。買取価格の詳細は資源エネルギー庁の買取価格・期間等のページで年度ごとに公表されています。
2027年度以降は支援の対象範囲が変わる予定です
制度は固定されたものではなく、支援の対象範囲は段階的に見直されています。2027年度以降は、250kW以上のFIP認定対象が支援の対象外となる予定とされています。大規模な電源については、市場での取引を前提とした仕組みに軸足が移っていく流れです。
家庭にとって直接の影響がすぐ現れるわけではありませんが、賦課金の将来的な水準を考えるうえでは押さえておきたい変化です。新規に積み上がる買取義務の範囲が絞られれば、長い目で見た費用の増え方は変わってきます。ただしそれが単価の低下として現れる時期は、現時点で確定した話ではありません。
注意点として、こうした制度変更は年度ごとに公表される資料で内容が更新されます。数年前の解説記事に書かれている対象範囲が、今も同じとは限りません。制度まわりの数字を確認するときは、年度が明記されている一次資料に当たるのが確実です。
検針票のどこを見れば自分の負担額がわかるか

計算式は「単価×使用電力量」の掛け算ひとつだけです
再エネ賦課金の計算方法は「再エネ賦課金=再エネ賦課金単価(円/kWh)×1ヶ月の使用電力量(kWh)」です。基本料金のような固定部分はなく、割引も段階制もありません。使った分に単価を掛けるだけの、家庭の電気料金の中ではもっとも単純な項目です。
2026年度の単価4.18円/kWhで計算すると、月300kWhを使う家庭で1,254円、月400kWhの家庭で1,672円になります。年間では、月400kWhの家庭で20,064円です。自分の家の使用量がこの間にあるなら、負担額もこの間に収まると考えて差し支えありません。
この単純さは、裏を返せば「使用量を減らせば必ず減る」ことの保証でもあります。時間帯や契約プランによって計算方法が変わる項目ではないので、節電の効果がそのまま賦課金の減額として現れます。判断材料としては、まず自分の月間kWhを3ヶ月分ほど並べて平均を出すところから始めるのが実用的です。
検針票には金額が直接書いてあります
毎月送付される「電気ご使用量のお知らせ(検針票)」には、再エネ賦課金が独立した項目として記載されており、支払い金額が一目でわかるようになっています。紙の検針票が廃止されている契約でも、Webの明細ページに同じ項目があります。名称は「再エネ発電賦課金」「再生可能エネルギー発電促進賦課金」など事業者によって表記が少し違いますが、指しているものは同じです。
確認すべきは3つ、「検針期間」「使用電力量(kWh)」「賦課金の金額」です。この3つが揃えば、金額を使用量で割ることで、自分の請求に適用されている単価が合っているかを自分で検算できます。単価が公表値と食い違っていれば、検針期間が年度替わりをまたいでいる可能性が高いところです。
明細を見る習慣がない家庭ほど、値上げのニュースに対して過剰に反応したり、逆に気づかないまま負担が増えていたりします。年に一度、5月または6月の明細だけでも確認しておくと、その年度の負担水準の感覚がつかめます。
失敗パターン:古い単価のまま計算して負担額を読み違える
実際によく起きるのが、去年調べた単価をそのまま使って今年の負担額を見積もってしまうケースです。2025年度の3.98円で計算していると、2026年度の実際の負担より少なく見積もることになります。使用量が多い家庭ほど、この誤差は積み上がります。
原因は、賦課金が「年に一度しか変わらないが、必ず毎年変わる」項目だからです。燃料費調整額のように毎月動く項目は自然と気にかけますが、年一回の変更は記憶から抜けやすい。しかも変わるタイミングが4月ではなく5月検針分なので、年度替わりの実感ともずれます。
対策はシンプルで、家計の年間試算をつくるときは「賦課金の単価は毎年5月検針分で更新される」とメモしておくことです。試算の前提として使った単価が何年度のものかを、表の欄外にでも書いておくと、翌年の見直しがずっと楽になります。
0.22円が4.18円へ——制度開始からの推移が示すもの
年度別に並べると、上昇の勾配が見えます
再エネ賦課金は2012年に始まった制度です。初年度の単価は0.22円/kWhでした。そこから2026年度の4.18円/kWhまで、19倍の水準に上がっています。以下は当サイトが公表値を年度順に整理したものです(電気とエネルギーの教科書調べ)。
- 2012年度:0.22円/kWh(制度開始)
- 2014年度:0.75円/kWh
- 2016年度:2.25円/kWh
- 2019年度:2.95円/kWh
- 2022年度:3.45円/kWh
- 2023年度:1.40円/kWh
- 2024年度:3.45円/kWh
- 2025年度:3.98円/kWh
- 2026年度:4.18円/kWh
制度開始から数年の伸び方が急で、そのあと数年は横ばいに近い水準が続き、2023年度に大きく下がってから再び上昇に転じているのが読み取れます。単調に上がり続けているわけではない、という点はニュースの見出しからは伝わりにくい部分です。
| 項目 | 2012年度 | 2023年度 | 2026年度 |
|---|---|---|---|
| 単価 | 0.22円/kWh | 1.40円/kWh | 4.18円/kWh |
| 位置づけ | 制度開始の初年度 | 直近で単価が大きく下がった年度 | 初めて4円を超えた年度 |
| 2012年度との比較 | 基準 | 上回る | 19倍 |
| 前年度からの動き | — | 3.45円/kWhから低下 | 3.98円/kWhから0.2円上昇 |
2023年度だけ大きく下がったのは、市場価格が高かったからです
2022年度の3.45円/kWhから2023年度の1.40円/kWhへ、単価は大きく下がりました。翌2024年度には再び3.45円/kWhに戻っています。この動きだけを見ると意味が読めませんが、単価の決め方を知ると理解できます。
経済産業省の説明にあるとおり、単価は「再エネの導入状況や卸電力市場価格等を踏まえ」て設定されます。卸電力市場の価格が高い局面では、電力会社が再エネ電気を市場で売って回収できる金額も大きくなるため、賦課金で埋めるべき差額が小さくなります。2023年度の低い単価は、その時期の市場価格が高かったことの裏返しです。
ここから引き出せる判断のコツは、「賦課金が下がった年は、電気料金全体が安くなった年とは限らない」ということです。市場価格が高いから賦課金が下がったのであって、燃料費調整額など他の項目はむしろ上がっている可能性があります。賦課金の行だけを見て家計の良し悪しを判断しないほうが実態に合います。
実は、上昇の主因は「単価」ではなく「積み上がった量」です
意外と知られていませんが、単価が上がってきた主因は買取価格そのものではありません。買取価格は年々引き下げられてきました。それでも単価が上がるのは、FITで認定された設備が年々増え、それぞれが決められた期間ずっと買い取られ続けるからです。過去の契約が積み上がった総量が、今の単価をつくっています。
この構造は、住宅ローンの残高に少し似ています。新規の金利が下がっても、過去に借りた分の返済はそのまま続く。だから「今年の買取価格が安いのに、なぜ負担が増えるのか」という疑問には、「今年の価格ではなく、過去10年分の契約の合計を払っているから」が答えになります。
したがって、単価の将来を読むときに「新しい買取価格が下がったから来年は下がるはず」と考えるのは早計です。見るべきは、既存の買取義務がいつ満了していくかと、卸電力市場価格がどう動くかの2点です。この2つが噛み合ったときにだけ、2023年度のような低下が起こります。

電気代のうち約12%——世帯によって効き方が変わります
月300kWhで1,254円、月400kWhで1,672円が目安です
2026年度の単価4.18円/kWhで計算すると、月300kWhを使う家庭の負担は1,254円、月400kWhの家庭は1,672円です。年間に直すと、月400kWhの家庭で20,064円になります。参考までに、単価が3.98円/kWhだった2025年度時点で、標準的な家庭の年間負担は約1.9万円とされていました。
使用量の目安としては、単身世帯なら300kWhを下回ることが多く、家族世帯やエアコンを長時間使う家庭では400kWhを超える月も出てきます。自分の家がどちら寄りかは検針票のkWhを見ればすぐわかるので、「うちはいくらか」を人の平均で考える必要はありません。
注意したいのは、この金額が「削減対象として認識されにくい」ことです。基本料金や電力量料金と違い、賦課金は交渉も選択もできません。そのため家計簿上は固定費のように扱われがちですが、実際には使用量に完全連動する変動費です。ここを固定費だと思い込むと、削減の発想が出てこなくなります。
2026年度の再エネ賦課金は、電気代全体の約12%を占める水準です。基本料金や電力量料金と違って交渉の余地はありませんが、使用量に完全連動するため、使用量を減らせば減った分だけ確実に下がります。
電気代全体の約12%という位置づけ
2026年度の水準では、再エネ賦課金は電気代全体の約12%程度を占めます。請求額のうち1割を超える部分が、この項目にあたる計算です。電気代の内訳のなかで、基本料金・電力量料金・燃料費調整額に次ぐ規模を占める項目になったといえます。
この割合が意味するのは、「電気代を下げたいなら、賦課金も含めた総使用量に手をつけるのが最短」ということです。プラン変更で下げられるのは残りの部分だけですから、比較サイトで見つけた節約額の上限は、構造的に決まっています。
見極めのコツとしては、明細の各項目を1年分並べてみることです。燃料費調整額は月ごとに揺れ、賦課金は年に一度だけ段差ができる。この違いが見えると、どの項目が自分の意思で動かせるものかがはっきりします。
オール電化・EV・在宅時間が長い家庭ほど影響が大きくなります
賦課金は使用量に比例するため、電気で給湯も調理もまかなうオール電化の家庭は、ガス併用の家庭より負担が大きくなります。電気自動車を自宅で充電している家庭、在宅勤務で日中も空調を動かしている家庭も同様です。単価が0.2円上がったとき、影響を最も強く受けるのはこうした世帯です。
一方で、オール電化の家庭は深夜の安い電力量料金を活かせるプランを使っていることが多く、電力量料金の単価は低く抑えられている場合があります。ところが賦課金は時間帯に関係なく一律なので、深夜に使っても昼に使っても同じ4.18円/kWhが乗ります。「深夜だから何を使っても安い」とは言い切れないのは、この項目があるからです。
読者タイプ別に整理すると、単身・共働きで日中不在の家庭は賦課金の影響も小さく、優先度は低め。家族世帯で在宅時間が長い家庭、オール電化やEV充電のある家庭は、使用量の削減が賦課金と電力量料金の両方に効くため、取り組む価値が大きい、という順序になります。

再エネ賦課金を減らす手段は、実質2つしかありません
使用量そのものを減らす(省エネで10〜20%の削減余地)
もっとも確実なのが、電気の使用量を減らすことです。賦課金は使用量に単価を掛けるだけなので、使用量が減れば同じ割合で負担も減ります。具体的な手段としては、LED照明への切り替え、エアコンの設定温度の工夫(夏28℃・冬20℃)、待機電力の削減、断熱対策が挙げられ、これらで電力使用量を10〜20%削減できるとされています。
優先順位をつけるなら、使用時間が長い機器から手をつけるのが効率的です。照明と空調は稼働時間が長いため、単価の低い改善でも積み上がります。逆に、たまにしか使わない機器を我慢しても、kWhとしての効果は小さく、生活の窮屈さだけが残ります。
古い家電を使い続けている家庭では、買い替えが使用量そのものを下げることもあります。ただし買い替え費用と削減量の釣り合いは機器と使用状況次第なので、「買い替えれば必ず得」とは言えません。年式が古く稼働時間が長い機器から順に検討する、という判断軸が現実的です。
断熱は空調の使用量に直接効く分野です。窓まわりの対策は費用対効果の幅が大きいので、事前に効果の目安を把握してから進めるのが安全です。

「新電力に切り替えれば賦課金も安くなる」という誤解が根強くあります。単価は全国一律で経済産業大臣が決めるため、どの事業者と契約しても4.18円/kWh(2026年度)で変わりません。乗り換えで下がるのは基本料金と電力量料金の部分だけです。賦課金の削減を目的に契約先を変えても、狙った効果は出ません。
自家消費に切り替える(太陽光発電で購入量を減らす)
もうひとつの方向が、電力会社から買う量そのものを減らすことです。屋根に太陽光パネルを設置し、発電した電気を自家消費すれば、購入するkWhが減り、その分だけ賦課金の計算対象も減ります。余った電力は売電もできますが、売電価格は低下傾向にあるため、売って稼ぐより「買わずに済ませる」効果のほうが主になっています。
ここで重要なのが自家消費率です。日中に発電した電気を、日中に家の中で使えなければ自家消費にはなりません。共働きで日中誰もいない家庭では、発電量が多くても自家消費率が上がらず、期待した削減にならないことがあります。設置容量や日照だけでなく、生活時間帯との噛み合わせが効きます。
設置費用は条件によって幅があり、回収の見通しも屋根の向き・面積・日照・自家消費率で変わります。「何年で元が取れる」と一律に言える性質のものではないので、複数の前提を置いた試算で幅を確認してから判断するのが妥当です。仕組みそのものを理解しておくと、見積書の読み方も変わります。

蓄電池を組み合わせる(貯めて時間帯をずらす)
蓄電池は、太陽光発電でつくった電気を貯めて、夜間や電気料金が高い時間帯に使うための設備です。日中の発電を夜に回せるので、自家消費率が上がり、購入するkWhがさらに減ります。日中不在の家庭にとっては、自家消費率の低さを補う手段になり得ます。
ただし、蓄電池は設備費用が大きく、容量と価格の釣り合いを見誤ると回収の見通しが長期化します。停電時のバックアップという価値をどう評価するかによっても判断が変わるため、電気代の削減額だけで採算を語るのは適切ではありません。必要な機能と予算の優先順位を先に決めるべき設備です。
判断のコツは、「賦課金を減らすために蓄電池を買う」という順序で考えないことです。賦課金の削減はあくまで副次的な効果であり、主目的は自家消費率の改善か停電対策のどちらかになります。目的が曖昧なまま容量を決めると、使いこなせない設備が残ります。

実は、値上げのたびに得をしているのは節電している家庭です
逆説的ですが、単価が上がるほど、節電の1kWhあたりの価値も上がります。2012年度なら1kWh減らして浮く賦課金は0.22円でしたが、2026年度は4.18円です。同じ節電行動の見返りが、制度開始時の19倍になっているということです。
この視点は、節電を「我慢」ではなく「単価の高いコストの削減」として捉え直させてくれます。電力量料金と賦課金の両方が同時に減るため、1kWhの削減が家計に与える効果は、電力量料金だけを見て考えるより大きくなります。
注意点として、これは「節電すれば賦課金の制度負担から逃れられる」という話ではありません。使用量を減らしても、制度自体は続きます。あくまで自分の負担額をコントロールする話であって、制度への賛否とは別の議論です。
減免されるのは誰か、「廃止」の話はどこまで進んだのか
産業用・公益事業向けには減免制度があります
高圧以上の産業用需要家には、賦課金の減免制度が用意されています。対象として挙げられているのは、病院、福祉施設、教育機関、電力多消費事業者など、社会的に重要な事業を営む施設です。申請して認定を受けることで、一部または全部の賦課金が免除される場合があります。
電力多消費事業者については、電力使用量と売上高の比率で判定する基準が設けられており、一定の条件を満たす場合に減免措置の対象になり得ます。ここは事業内容によって扱いが変わる領域なので、該当しそうな場合は資源エネルギー庁が公表している賦課金制度のページで最新の要件を確認する必要があります。
制度が設けられている理由は、電気を大量に使う事業ほど賦課金の負担が国際競争力や事業継続に直接響くためです。裏を返せば、それだけ単価の水準が事業コストとして無視できないところまで来ている、ということでもあります。
一般家庭は対象外で、全世帯が負担します
一般家庭には減免の仕組みがありません。低圧・高圧を問わず全ての電気利用者が対象で、家庭は全世帯が負担する設計です。所得や世帯構成による軽減もないため、電気を使う限り必ず発生します。
この「例外なし」の設計が、家庭側の対策を使用量のコントロールに一本化させています。申請すれば安くなる制度がない以上、書類を探したり相談窓口に問い合わせたりする時間は、使用量の把握と削減に回したほうが結果につながります。
なお、家庭向けに賦課金の減免を持ちかけるような話には注意が必要です。制度上、一般家庭を対象とした減免は存在しません。「手続きすれば賦課金が免除される」という説明が出てきたら、その時点で内容を疑ってよい部分です。
「廃止」の議論は動いているが、時期は決まっていません
制度の見直しをめぐる動きはあります。首相が国会で「再生可能エネルギー賦課金のあり方について、今後の技術の進展や、その必要性について検証する」と発言し、経済産業大臣も見直しの意向を表明しています。背景には、2025年度に単価が3.98円/kWhと過去最も高い水準に達し、標準的な家庭の年間負担が約1.9万円に上っていたことがあります。
ただし、現在のところ廃止の時期は具体的に決まっていません。見直しの狙いについては「賦課金制度の廃止」ではなく「制度の正当性の再構築」にあるとの分析もあり、制度がそのままなくなると想定して家計の計画を立てるのは現実的ではありません。
家庭としての向き合い方は、「廃止されるかもしれないから待つ」ではなく、「4.18円/kWhが少なくとも2027年4月検針分まで続く」という確定している事実をもとに考えることです。制度の将来は不確実ですが、目の前の1年間の単価は確定しています。判断材料として使えるのは後者のほうです。
まとめ:4.18円時代に家計ができること
最初の一歩としておすすめしたいのは、直近3ヶ月の検針票を並べて、月間使用電力量(kWh)の平均を出すことです。その数字に4.18円を掛ければ、自分の家がこの1年間に負担する賦課金の見通しが出ます。単価は動かせませんが、掛け算のもう一方は自分で動かせます。値上げのニュースに反応して契約先を探す前に、この1枚の数字を確認するほうが、結果として家計に効きます。
制度の水準や見直しの議論は年度ごとに更新されます。単価と適用期間、FITの買取価格は資源エネルギー庁・経済産業省の公表資料が一次情報なので、判断の前には経済産業省の公表ページで最新の年度の値をご確認ください。

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