毎月の電気代の検針票を見て、「再エネ賦課金って何にいくら取られているんだろう」と気になったことはないでしょうか。基本料金でも従量料金でもない、けれど毎月確実に引かれている項目。しかもここ数年、じわじわと金額が増えている感覚がある方も多いはずです。
結論から言うと、2025年度の再エネ賦課金の単価は3.98円/kWhでした。そして2026年度は4.18円/kWhに改定され、この制度が始まってから初めて単価が4円を超えることになります。月300kWhを使う家庭なら、2025年度は月額1,194円、2026年度は月額1,254円。年間にすると15,048円が電気代に上乗せされている計算です。
この記事では、再エネ賦課金がそもそもどういうお金なのか、なぜ単価が毎年変わるのか、2023年度だけ大きく下がったのはなぜか、そして今後廃止される見込みはあるのかまで、公表されている数字と計算式をもとに整理します。導入をすすめる立場でも制度を批判する立場でもなく、あなたが自分の電気代を理解して判断するための材料をお渡しします。
・2025年度3.98円/kWh、2026年度4.18円/kWhという単価の中身と、自分の家の負担額の出し方
・単価が毎年上下する理由(回避可能費用という仕組み)と、2023年度だけ1.40円まで下がった理由
・FIT制度・FIP制度との関係、賦課金が何に使われているのか
・減免制度の対象と、廃止の見通し。いま家庭でできる負担の減らし方
再エネ賦課金2025年度は3.98円/kWh、2026年度は4.18円に

まず押さえたい「1kWhあたり3.98円」の意味
2025年度の再エネ賦課金の単価は3.98円/kWhです。この「/kWh」がポイントで、定額ではなく、電気を使った量に比例して増える仕組みになっています。つまり電気をたくさん使う家庭ほど負担額が大きくなります。
なぜ使用量に比例するのかというと、この賦課金が「再生可能エネルギーで作られた電気を電力会社が買い取るための費用を、電気を使う人みんなで分け合う」という設計だからです。電力会社の解説でも、再エネ賦課金は「再生可能エネルギーを電力会社が決まった金額で買い取るための費用を、利用者が一部負担するもの」と説明されています。負担を公平に配分する物差しとして、使った電力量が選ばれているわけです。
具体的な金額に直すと、月300kWhを使う家庭で3.98円×300kWh=1,194円/月。年間では14,328円になります。オール電化などで月400kWhを超える家庭なら、さらに上乗せされます。「毎月1,000円ちょっと」と聞くとそれほどでもないように感じますが、年間で見ると1万円台のお金が動いていることになります。
判断のコツとしては、まず検針票を1枚手元に出して、自分の家の月間使用量(kWh)を確認することです。そこに単価を掛ければ、自分の家がいくら払っているかが正確に出ます。世帯人数や住宅の断熱性能によって使用量は倍近く違うので、他人の平均値ではなく自分の家の数字で把握することが出発点になります。
2026年度は4.18円/kWh、制度開始以来はじめて4円を超える
2026年度の単価は4.18円/kWhに改定されました。2025年度の3.98円から0.20円の値上がりで、この制度が始まってから初めて4円を超えることになります。
0.20円と聞くと小さく感じますが、使用量を掛けると意味のある金額になります。月300kWhの家庭なら4.18円×300kWh=1,254円/月、年間15,048円。2025年度と比べると月60円、年間720円の増加です。月400kWhの家庭では4.18円×400kWh=1,672円/月となり、年間では20,064円。2025年度比で年間約1,000円の増加という試算が示されています。
ここでよくある勘違いが「電力会社を変えれば賦課金も変わる」というもの。実際には再エネ賦課金の単価は全国一律で、大手電力でも新電力でも4.18円/kWhで変わりません。地域による差もありません。この点は後の章で詳しく扱います。
2026年度の単価そのものと、その家計へのインパクトについては、以下の記事でさらに細かく試算しています。

再エネ賦課金=正式名称は「再生可能エネルギー発電促進賦課金」。再生可能エネルギーで発電された電気を電力会社が買い取るための費用を、電気を使うすべての人が使用量に応じて負担する仕組み。2012年に始まり、単価は国が年1回決めて全国一律で適用される。
適用期間は「5月検針分から翌年4月検針分まで」
再エネ賦課金の単価は年度で切り替わりますが、切り替わるタイミングは4月1日ではありません。2026年度の4.18円/kWhは、2026年5月検針分から2027年4月検針分までに適用されます。
なぜ1か月ずれるのかというと、検針は前月分の使用量を対象にするからです。5月の検針で確定するのは主に4月に使った電気。そのため、新年度の単価は5月の検針から反映されるという設計になっています。
これを知らないと起きる勘違いがあります。「4月の請求書を見たけど賦課金が上がっていないから、値上げの話は嘘だったのでは」というものです。実際には5月検針分から適用されるので、4月の請求ではまだ前年度の単価が使われています。値上げの影響を確認したいなら、5月以降の請求書を見るのが正解です。
単価を決めるのは経済産業大臣で、原則として毎年3月に発表されます。つまり「3月に発表→5月検針分から適用」という流れです。ニュースで単価改定を見かけたら、実際に自分の請求に反映されるのは2か月ほど後になると覚えておくと混乱しません。家計簿をつけている方は、この時間差を頭に入れて年度比較すると数字がきれいに揃います。
そもそも何のために払っているお金なのか
再エネの買取費用を全員で分け合う仕組み
再エネ賦課金は、太陽光や風力で作られた電気を電力会社が買い取るための費用に充てられています。集められた賦課金は、電力会社が再エネ由来の電力を買い取るFIT制度の財源の一部として使われる、という位置づけです。
なぜこんな仕組みが必要なのか。理屈はシンプルで、太陽光・風力・水力・地熱といった再生可能エネルギーは、火力発電などに比べて発電コストが割高だからです。そのまま市場に任せると誰も再エネに投資しません。そこで国は「再エネで発電した電気を、電力会社が一定価格で買い取ることを約束する」というルールを作りました。そして買い取りにかかった費用のうち、市場価格を上回る分を賦課金として国民が負担する、という設計にしたわけです。
つまり再エネ賦課金は、税金ではなく「再エネを増やすための費用を電気の利用者で分担するお金」です。電気を使っている限り、太陽光パネルを設置していてもしていなくても、電力会社から買った分には賦課金がかかります。
ここで確認しておきたいのは、自分がどの立場にいるかです。太陽光発電を持たず電気を買うだけの家庭は、純粋に負担する側。逆に太陽光を設置して売電している家庭は、買電分では負担しつつ売電分では制度の恩恵を受ける側になります。同じ制度でも立ち位置によって損得の見え方が変わる、というのがこの制度の特徴です。
再エネ賦課金は「再エネ普及のための費用を、電気の使用量に応じて全員で分担するお金」です。電力会社を変えても、地域が違っても単価は同じ。減らせるのは単価ではなく、あくまで自分の使用量(kWh)だけです。
使い道は「買取費用」だけではない
賦課金の使い道を細かく見ると、再エネの買取費用のほかに事務費も含まれています。単価の計算式は「(買取費用等 − 回避可能費用等 + 広域的運営推進機関事務費)÷ 販売電力量」で、この最後の項目が事務費にあたります。
広域的運営推進機関事務費というのは、OCCTO(電力広域的運用推進機関)の運営費用のことです。全国の電力の需給調整や、再エネ賦課金の管理を担う組織で、その運営コストも賦課金に含まれています。
ここで意外に思われるのが「回避可能費用等」がマイナス項目として入っている点です。これは「火力発電などで発電した場合に、避けられたはずの費用」を意味します。再エネで発電した分だけ、火力発電の燃料を使わずに済んだ。その節約分は買取費用から差し引いてよい、という考え方です。
この構造を理解しておくと、単価が毎年上下する理由がわかります。買取費用が増えても、回避可能費用がそれ以上に増えれば単価は下がる。逆に買取費用がほぼ横ばいでも、回避可能費用が減れば単価は上がる。分子の引き算がカギになっているわけです。「再エネが増えたから賦課金が上がった」という単純な話ではない、という点は押さえておきたいところです。
電力会社を変えても単価は変わらない
再エネ賦課金の単価は全国一律です。東京電力でも、新電力でも、再エネ賦課金の単価は4.18円/kWhで変わりません。北海道でも沖縄でも同じです。
これは制度の性質上そうなっています。国が年度ごとに単価を決定し、原則として全国一律で適用されるからです。電力会社は徴収を代行しているだけで、自社の裁量で単価を上げ下げすることはできません。
ここで起きやすい失敗があります。「電力会社を乗り換えれば賦課金も安くなる」と期待して切り替え、請求書を見て賦課金の欄が全く同じ単価だったことに驚くケースです。切り替えで安くなるのは基本料金と従量料金の部分であって、賦課金の単価ではありません。
ただし、切り替えに意味がないわけではありません。基本料金・従量料金の単価が下がれば電気代総額は下がりますし、料金プランによっては使用量そのものを見直すきっかけになります。「賦課金は減らせないが、電気代総額は減らせる」と切り分けて考えるのが正しい理解です。電気料金がどんな部品でできているのかは、以下の記事で分解しています。

単価はどうやって決まるのか、計算式を分解する

4つの要素で決まる単価の中身
再エネ賦課金の単価は、再エネ特措法で定められた計算式で算定されます。具体的には「(買取費用等 − 回避可能費用等 + 広域的運営推進機関事務費)÷ 販売電力量」です。国が年度ごとに決定しており、原則として全国一律で適用されます。
4つの要素をそれぞれ見ていきます。買取費用等は、FIT制度・FIP制度に基づく再エネ発電の買取費用と補助額です。回避可能費用は、火力発電などで発電した場合の避けられたはずの費用で、電力市場価格と連動します。広域的運営推進機関事務費はOCCTOの運営費。販売電力量は全国の電力需要家への販売電力量です。
この4つのうち、年ごとに大きく振れるのが回避可能費用です。電力市場価格に連動するため、燃料価格や需給の状況で毎年変わります。買取費用は認定済みの発電所からの買取なので比較的読みやすく、事務費と販売電力量も急激には変わりません。だから単価の変動要因は、ほぼ回避可能費用の増減で説明できます。
判断のコツとしては、「来年の賦課金はどうなるか」を考えるとき、再エネの導入量ではなく電力市場価格の方を見るということです。再エネが増えるスピードは急には変わりませんが、市場価格は年単位で大きく動きます。ニュースで燃料価格の話題を見たら、それが翌年度以降の賦課金に効いてくる、という順序で捉えると理解しやすくなります。
市場価格が高いと賦課金は下がる、という逆相関
この制度でいちばん理解されにくいのが、「電力市場価格が高いほど賦課金は安くなる」という関係です。直感に反しますが、計算式を見れば理由がわかります。
再エネ賦課金単価は、再エネ買取費用と回避可能費用との差額をメインに算出されます。そのため電力の市場価格が安いと賦課金単価は上昇し、市場価格が高いと賦課金単価が下落する、という算定式になっています。
もう少し噛み砕くと、こういうことです。市場価格が高いということは、火力で発電すると高くつくということ。再エネで発電した分だけ「高い火力を回さずに済んだ」節約額が大きくなり、その節約額(回避可能費用)が買取費用から差し引かれます。結果として国民が負担する差額は小さくなります。
逆に市場価格が安いときは、火力で発電しても安く済むので、再エネで代替した節約額は小さい。差し引かれる額が小さくなり、賦課金負担は大きくなります。この関係を知っておくと、燃料価格が高騰したニュースを見たときの受け止め方が変わります。燃料が高騰すれば燃料費調整額は上がりますが、賦課金の方は下がる方向に働く。電気代全体では相殺し合う部分があるということです。
単価が読みにくい理由と、見るべき指標
「来年の賦課金はいくらになりそうか」を予想するのが難しいのは、分子の引き算の片方が市場任せだからです。買取費用は積み上がっていく一方ですが、そこから引かれる回避可能費用は国際情勢や燃料価格で毎年振れます。
そのため、単価の見通しを立てるときは2つを分けて考える必要があります。ひとつは構造的な上げ圧力で、これは認定済みのFIT発電所が稼働している限り続きます。もうひとつは市場価格による年ごとの上下で、こちらは読めません。長期では上がりやすく、単年では下がることもある、という二層構造です。
やりがちな失敗が、直近1年の動きだけを見て「もう上がり続けるしかない」あるいは「また下がるだろう」と決めつけることです。実際には2022年度から2024年度にかけて、下がってから元に戻るという大きな往復がありました。単年の動きは方向性の根拠になりません。
実用的な見方としては、賦課金の単価を3年分並べて傾向を見ること。そして家計の見通しを立てるときは、直近の単価をそのまま来年も続くものとして計算しておくことです。予想を当てにいくより、変動する前提で余裕を持たせる方が家計管理としては現実的です。
0.22円から4.18円へ:15年の推移と2026年度値上げの理由
制度開始時は0.22円、そこから右肩上がりに
制度が始まったのは2012年です。当時の単価は0.22円/kWhでした。それが2026年度には4.18円/kWhになっており、約19倍に増えています。
なぜここまで増えたのか。理由は制度の設計そのものにあります。FIT制度で認定された再エネ発電所が増えれば増えるほど、電力会社が買い取る電気の量は増え、その買取費用も膨らみます。導入が進めば、それだけ電力会社が買い取る再エネの量は増え、負担額も増大していく傾向がある、というのが構造です。
実際の推移を見ると、2012年度0.22円、2013年度0.35円、2014年度0.75円、2015年度1.58円と、初期は毎年ほぼ倍のペースで増えました。その後2016年度2.25円、2017年度2.64円、2018年度2.90円、2019年度2.95円、2020年度2.98円と伸びが緩やかになり、2021年度3.36円、2022年度3.45円と推移しています。
この初期の急増は、太陽光の導入ラッシュと連動しています。制度開始当初の買取価格は高く設定されていたため、事業者にとって参入の妙味が大きかった。その結果として認定量が一気に伸び、買取総額が膨らみました。買取価格はその後、コスト低減と競争入札の導入により次第に低下しています。
2023年度だけ1.40円まで下がった理由
2023年度の単価は1.40円/kWhでした。前年の2022年度は3.45円だったので、2.05円の下落。率にすると59%の減少で、制度開始以来はじめての下落です。
この年だけグラフが大きく凹むため、「賦課金は下がる可能性もある制度なんだ」と受け取られることがあります。ただし実態は、制度そのものが変わったわけではなく、計算式の一部が異常な値を取った結果でした。
原因は回避可能費用の急増です。2023年度の回避可能費用は2022年度の2.4倍まで上昇しました。国際的な資源価格の高騰が最初の要因となり、そこにウクライナ情勢が追い打ちをかけている状況が原因、と説明されています。
前の章で見た計算式を思い出してください。回避可能費用は分子から引かれる項目です。それが2.4倍になれば、引かれる額が大きく増えるので、単価は下がります。1.40円という数字は、再エネのコストが下がったからではなく、火力の燃料が高くなったから出た数字だったわけです。市場価格が落ち着きを取り戻した後、2024年度は3.49円に回復し、その後2025年度3.98円、2026年度4.18円と上昇傾向をたどっています。
2023年度の1.40円を「基準」だと思って比較すると、その後の値上げ幅を実態より大きく感じてしまいます。2023年度は燃料価格高騰による一時的な数字であり、2022年度の3.45円と2024年度の3.49円を並べれば、実質的にはほぼ横ばいで元の水準に戻っただけだとわかります。比較の基準年を間違えないことが大切です。
電気とエネルギーの教科書調べ:単価推移15年分の一覧
公表されている年度別単価をまとめました。2012年の制度開始から2026年度までの推移です。右の欄を見ると、どの年に何が起きたのかが読み取れます。
| 年度 | 単価 | この年の動き |
|---|---|---|
| 2012年度 | 0.22円/kWh | 制度開始 |
| 2013年度 | 0.35円/kWh | 認定発電所が増加 |
| 2014年度 | 0.75円/kWh | 太陽光の導入が加速 |
| 2015年度 | 1.58円/kWh | 初期の急増期 |
| 2016年度 | 2.25円/kWh | 上昇ペースが鈍化 |
| 2017年度 | 2.64円/kWh | 買取価格の低減が進む |
| 2018年度 | 2.90円/kWh | 上昇が続く |
| 2019年度 | 2.95円/kWh | 伸びが緩やかに |
| 2020年度 | 2.98円/kWh | ほぼ横ばい |
| 2021年度 | 3.36円/kWh | 上昇が再加速 |
| 2022年度 | 3.45円/kWh | 燃料高騰前の水準 |
| 2023年度 | 1.40円/kWh | 初の下落(回避可能費用が2.4倍) |
| 2024年度 | 3.49円/kWh | 元の水準に回復 |
| 2025年度 | 3.98円/kWh | 過去最高を更新 |
| 2026年度 | 4.18円/kWh | 制度開始以来はじめて4円を超える |
この表で目を引くのは、やはり2023年度の凹みです。ここを除いて眺めると、3.45円から4.18円へと緩やかに上がってきた、というのが実態に近い姿になります。賦課金は「毎年必ず上がるもの」でも「いつか自然に下がるもの」でもなく、買取費用の積み上がりという上げ圧力と、市場価格という変動要因の綱引きで決まっています。
2026年度が値上げになった3つの理由
2026年度に単価が上がった理由は、大きく3つに整理できます。
1つ目は、比較の基準として使われがちな2023年度が1.40円と異常に低かったことです。2023年度は化石燃料価格急騰による一時的な要因で下がった数字であり、通常の水準ではありませんでした。1.40円から4.18円まで並べれば約3倍に見えますが、2022年度の3.45円から4.18円という比較なら、増え方の印象はずいぶん変わります。同じ事実でも、どこを起点にするかで見え方が変わるということです。
2つ目は、電力市場価格が落ち着きを取り戻したことです。2023年度の異常な高騰の後、市場価格は2023年以前の水準に近づいてきました。その結果、回避可能費用が減少し、買取費用から差し引かれる額が小さくなっています。言い換えると、2026年度の値上げは「再エネの買取が急に増えたから」というより「燃料が安くなって、火力を回避する価値が下がったから」という側面が強いということです。
3つ目は、構造的でもっとも重い理由です。FIT制度で認定された発電所には買取期間が設定されており、太陽光は一般的に20年。2012年に制度が始まったので、初期に認定された発電所は2032年ごろまで買取期間が続く計算になります。いま新規の認定を絞ったとしても、すでに動いている発電所からの買取費用は契約期間が終わるまで発生し続けます。買取単価は制度開始時より下がっていますが、買い取る「量」が増えれば総額は増える。この量の効果が効いています。
FIT制度・FIP制度と賦課金の関係
FIT制度=2012年に始まった固定価格買取
FIT制度は2012年7月に始まった、再生可能エネルギーの固定価格買取制度です。対象は太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス発電で、経済産業大臣の認定を受けた設備が対象になります。
仕組みは、電力会社が再エネ由来の電力を一定期間、定められた価格で買い取ることを約束するというもの。太陽光は一般的に20年、風力も20年など、電源によって買取期間が異なります。この買取にかかる費用の財源が、再エネ賦課金です。
制度の狙いは再生可能エネルギーの普及と導入促進でした。発電コストが火力より高い再エネでも、買取価格が保証されていれば投資判断ができる。この読みは当たり、日本の太陽光発電は大きく伸びました。
一方で買取価格の推移を見ると、制度開始時は高額だったものが、コスト低減と競争入札の導入により次第に低下しています。つまり「初期に認定された発電所ほど高い単価で買い取られている」構造になっており、これが賦課金が下がりにくい一因にもなっています。太陽光発電そのものの仕組みについては、以下の記事で詳しく解説しています。

FIP制度=2022年に始まった市場連動型
FIP制度は2022年4月から始まった新しい制度です。再生可能エネルギーで発電した電力を、FIT制度のように固定価格で買い取るのではなく、一定の補助額(プレミアム)を付与する仕組みになっています。
大きな違いは、事業者が自ら電力市場に参加して売電する点です。売電価格は市場価格に連動して変動し、そこに補助額が上乗せされます。FIT制度が固定価格での全量買取だったのに対し、FIP制度は変動する市場価格に補助を乗せる形。事業者はバランシング義務も負います。
この変更の狙いは、市場メカニズムを導入して効率化を図ることです。需要が高く価格が上がる時間帯に発電・売電するインセンティブが生まれるため、電力系統全体にとって望ましい行動を促せます。
需要家側のメリットとして、FIT制度下で発生していた再エネ賦課金の負担が軽減されるという点が挙げられています。ただしFIP制度は2022年開始の新しい制度であり、対象は新規案件が中心です。既存のFIT発電所は買取期間が終わるまでFIT制度のまま続くので、賦課金への影響が現れるには時間がかかります。
| 項目 | FIT制度 | FIP制度 |
|---|---|---|
| 開始年 | 2012年7月 | 2022年4月 |
| 買取方式 | 固定価格での全量買取 | 市場価格+補助額(プレミアム) |
| 売電先 | 電力会社が買い取る | 事業者が自ら電力市場で売る |
| 収入の安定性 | 高い(価格が固定) | 市場価格により変動 |
| 賦課金への影響 | 買取費用が賦課金の主な財源 | 負担が軽減される方向 |
| 対象電源 | 太陽光・風力・水力・地熱・バイオマス | 太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスなど |
「再エネを自立した電源に」という方向転換
FITからFIPへの流れが意味しているのは、再エネへの優遇を段階的に減らしていくという方針転換です。FIT制度の手厚い保護から、再エネを自立した電源にするため優遇を削減していく、という考え方が背景にあります。
なぜこの転換が必要だったのか。理由は賦課金の増加です。固定価格で全量を買い取り続ければ、導入が進むほど国民負担は増えます。太陽光の発電コスト自体は制度開始時より大きく下がったので、いつまでも高い保護を続ける必要性は薄れました。
ここで意外と知られていないのが、この転換の効果が家計に現れるまでのタイムラグです。FIP制度は2022年開始ですが、賦課金の大部分はいまも既存のFIT発電所の買取に充てられています。2012年から2021年に認定された発電所が、それぞれの買取期間が終わるまで残り続けるからです。
だから「FIP制度が始まったのに賦課金が上がるのはおかしい」という感覚は、制度の変わり目としては自然な現象だと理解できます。新制度が効いてくるのはこれから、というのが実際のところです。制度の切り替えは、10年単位の時間をかけて効いてくるものだと捉えておくのが現実的です。
家庭の電気代への影響と、いま打てる手
月300kWhと月400kWhの負担額を比べる
実際の負担額を使用量別に見てみます。2026年度の4.18円/kWhで計算すると、月300kWhの家庭は月額1,254円、年間15,048円。月400kWhの家庭は月額1,672円、年間20,064円です。
この2つの差は418円。年間では5,016円の差になります。使用量が100kWh違うだけで、賦課金だけでこれだけの開きが出るということです。これは制度が「使った量に比例する」設計だからこそ生まれる差です。
自分の家がどのあたりに位置するかは、季節でも変わります。エアコンを使う夏と冬は使用量が伸びるので、賦課金も比例して増えます。年間を通してならすと、全国標準家庭(年間3,600kWh)で年間15,048円という水準です。
判断のコツは、賦課金を「電気代の一部」として捉えることです。再エネ賦課金は毎月の電気代のうち一定の比率を占めており、基本料金・従量料金と並ぶ固定的な構成要素になっています。つまり賦課金だけを減らそうとするより、電気の使用量そのものを見直す方が確実に効きます。
単価は動かせない。動かせるのは使用量だけ
ここまで見てきたとおり、賦課金の単価は国が全国一律で決めるので、個人の側では動かせません。動かせるのは掛け算のもう一方、つまり使用量(kWh)だけです。
計算式に戻ると「再エネ賦課金額 = 使用電力量(kWh)× 単価(円/kWh)」。単価が固定なら、負担を減らす手段は使用量を減らすことに限られます。しかも使用量を減らせば、賦課金だけでなく従量料金も燃料費調整額も同時に減ります。3つの項目に一度に効くのが、使用量削減の強みです。
使用量を減らす具体的な方向は3つあります。1つ目は消費電力の大きい機器(エアコン・給湯・冷蔵庫)の使い方を見直すこと。2つ目は断熱を改善して冷暖房の負荷そのものを下げること。3つ目は太陽光発電で自家消費し、買電量を減らすことです。
3つ目については補足が必要です。太陽光を設置しても、買電した分には賦課金がかかります。減るのは買電量に比例した分だけです。設置費用の回収は日照条件・設置容量・自家消費率で大きく変わるため、「賦課金対策のために設置する」という発想では判断を誤りやすい点に注意してください。断熱による負荷低減については、以下の記事で数字を整理しています。

「賦課金が高いから太陽光を入れれば得になる」という短絡は避けたいところです。太陽光を設置しても買電分の賦課金はかかり続けますし、設置費用の回収年数は屋根の向き・日照・自家消費率で大きく変わります。賦課金の削減額だけを根拠に導入を決めると、想定と実際がずれる原因になります。設置の可否は発電量の試算と設置費用の両方を並べて判断してください。
「電力会社の切り替え」で減らせるもの・減らせないもの
電力会社の切り替えで賦課金の単価は変わりません。単価は全国一律なので、大手電力でも新電力でも4.18円/kWhです。ただし、切り替えに全く意味がないわけではありません。
切り替えで動くのは基本料金と従量料金の部分です。契約アンペアの見直しや、時間帯別料金プランへの変更で電気代の総額は変えられます。特に生活リズムが夜型・昼型に偏っている家庭は、プランの選び直しで効果が出やすい傾向があります。
ここで起きやすい失敗が、切り替えの効果を賦課金の欄で確認しようとすることです。請求書の「再エネ発電賦課金」の欄は切り替え前後で単価が変わらないので、「安くならなかった」と誤解してしまいます。効果を確認したいのは基本料金と従量料金の欄です。
もうひとつの注意点は、燃料費調整額の扱いが電力会社によって異なることです。上限を設けている会社とそうでない会社があり、燃料価格が高騰したときの請求額に差が出ます。切り替えを検討するなら、賦課金ではなくこちらを比較材料にする方が実用的です。
読者タイプ別・いま確認しておきたいこと
状況によって、次にやることは変わります。3つのタイプに分けて整理します。
まず、電気を買うだけの一般家庭。やることは検針票で自分の使用量を確認し、賦課金の実額を把握することです。そのうえで、使用量が季節でどれくらい振れているかを見ます。夏冬の突出が大きいなら、冷暖房の使い方と断熱に改善余地があります。
次に、太陽光発電の導入を検討している家庭。賦課金の削減を導入理由の中心に置かないことが大切です。減るのは買電量に比例した分だけで、設置費用の回収は日照・容量・自家消費率で決まります。賦課金は判断材料のひとつにとどめ、発電量の試算と設置費用を主軸に検討してください。
最後に、事業として電気を使っている方。次章で扱う減免制度の対象になるかを、電気使用原単位で確認する価値があります。特別高圧・高圧で受電していて、売上に対する電気使用量が突出しているなら、一度要件を確認してみる意味があります。
賦課金の単価は自分では動かせません。だからこそ、把握すべきなのは「単価がいくらか」ではなく「自分の家が毎月何kWh使っているか」です。使用量がわかれば負担額は計算できますし、削減の効果も見積もれます。まずは検針票の使用量の欄を確認するところから始めてください。
減免制度と、廃止をめぐる議論の現在地
減免制度はあるが、対象は一般家庭ではない
再エネ賦課金には減免制度がありますが、対象はエネルギー多消費事業者のみで、一般家庭は対象外です。特別高圧・高圧で受電している事業者が対象になります。
減免率は業種によって分かれています。農業・林業・漁業などの第一次産業と、製造業・鉱業・建設業などの第二次産業が8割減免、それ以外の業種は4割減免が適用されます。ただし業種に該当すれば自動で適用されるわけではなく、電気の使い方に関する要件があります。
具体的には、製造業は電気使用原単位(売上高当たりの電気使用量)が平均の8倍を超える事業を行う者、非製造業は電気使用原単位が平均の14倍を超える事業を行う者が対象です。つまり「売上に対して極端に電気を使う事業」に限定されています。
申請は毎年11月1日から11月30日の間に、各地域の経済産業局へ行います。減免率は優良基準(省エネ実績)を満たすかどうかでも変わります。事業者の方は、自社が要件に該当するかを電気使用原単位で確認するのが最初の一歩になります。
電気使用原単位=売上高あたりの電気使用量のこと。同じ電気の使い方でも売上が大きい企業は原単位が小さく、売上に対して電気を大量に使う企業ほど原単位が大きくなる。減免制度はこの数値が業界平均の8倍(製造業)・14倍(非製造業)を超えることを要件としている。
廃止の時期は決まっていない
「再エネ賦課金は廃止されるのか」という疑問について、現在のところ具体的な廃止時期は決定されていません。政治家から「廃止を含め抜本的見直し」という発言はありますが、公式な廃止予定日は発表されていない状況です。
廃止が難しい理由は3つあります。1つ目は、FIT認定発電所には最大20年の買取期間が決められており、その期間中は買取費用が発生し続けること。2つ目は、2012年開始のFIT発電所は2032年まで買取期間が続く可能性があり、それまでは賦課金の大幅な減額が難しいこと。3つ目は、既存の買取契約を無視して廃止するのは法的にも政治的にも困難であることです。
実際に進んでいるのは、廃止ではなく負担を軽減する方向での段階的な対応です。2024年度以降、国はその方向で動き出しているとされています。FIP制度の導入も、新規案件に市場メカニズムを取り入れて賦課金負担を抑える試みのひとつです。
読者として持っておくべき前提は、「数年以内に賦課金がなくなる」というシナリオは現実的ではない、ということです。家計の見通しを立てるなら、賦課金は当面続く固定的なコストとして織り込んでおく方が安全です。
制度への批判:逆進性とコストの高止まり
再エネ賦課金には批判もあります。主なものは2つで、低所得層への逆進性と、コストの高止まりです。
逆進性というのは、低所得世帯ほど電気代が家計に占める比率が大きいため、同じ単価でも負担感が重くなるという指摘です。2025年度の3.98円/kWhで一般家庭では年間2万円弱の負担となっており、特に低所得層への逆進性の指摘やコストの高止まりなどが制度の持続性を揺るがせている、と整理されています。
コストの高止まりについては、競争入札の導入によって買取価格が下がるはずだったものの、期待されたほどには低下していないという見方があります。初期に高い単価で認定された発電所が長期契約で残り続ける構造も、この評価に影響しています。
ここで押さえておきたいのは、これらの批判は制度の是非を論じるものであって、いま電気を使う人が払う金額を変えるものではないということです。当サイトは制度の賛否に立ち入りませんが、こうした議論があることは、今後の制度見直しを見ていくうえで知っておいて損はありません。一次情報は資源エネルギー庁の再エネ賦課金のページで確認できます。
まとめ:再エネ賦課金2025年度3.98円から2026年度4.18円へ
再エネ賦課金は、再生可能エネルギーの買取費用を電気の利用者全員で分担する仕組みです。2012年の0.22円/kWhから始まり、2026年度は4.18円/kWhと約19倍になりました。単価は「(買取費用等 − 回避可能費用等 + 事務費)÷ 販売電力量」で決まるため、電力市場価格が高い年は下がり、安い年は上がるという関係があります。2023年度に1.40円まで落ちたのは、燃料価格の高騰で回避可能費用が2.4倍に増えたためでした。
この制度で家庭ができることは限られています。単価は全国一律で国が決めるため、電力会社の切り替えでも地域の違いでも変わりません。動かせるのは掛け算のもう一方、つまり使用電力量だけです。月100kWhぶんの使用量の違いは、賦課金だけでも月額418円の差になりますし、従量料金や燃料費調整額も同時に減るので、実際の効果はそれより大きくなります。
最初の一歩としておすすめしたいのは、検針票を1枚手元に出して、使用電力量の欄と再エネ発電賦課金の欄を確認することです。自分の家の実額がわかれば、削減の目標も具体的に立てられます。
※本記事の単価・制度内容は執筆時点で公表されている情報に基づきます。単価は年度ごとに改定されるため、最新の値は資源エネルギー庁の公式ページでご確認ください。

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